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筋トレ効果を最大化するには「起始・停止」に着目せよ

筋肉の起始・停止

カラダ作りに関する知識を深める「ストレングス学園」。第30回からは、今回はカラダを動かす筋肉の部位と動きの関係性、さらにトレーニングへの効果について深掘りしていこう。

問1. 筋肉の付着部のうち、カラダの中心部に近いのは?

  1. 起始部
  2. 停止部

    我々が普段“筋肉”と呼びカラダを動かす骨格筋は、中央で膨らんだ「筋腹」と、筋肉の始まりと終わりにある「起始・停止」という大きく3つの部位に分かれる。

    なかでも起始・停止は骨のどこに付着するかによってカラダの動きが定められるため、トレーニングの効果を確実に得るなら、これらの位置を把握することが不可欠といえる。

    骨に付着する部位のうち、起始部はカラダの中心側にあって可動性は少ない。対する停止部は中心からより遠位にあり、筋収縮にともない大きく可動する。

    答えは①で、ほとんどの筋肉において、起始・停止は書物にかかわらず共通だが、唯一、腹直筋の場合は起始・停止が逆の場合がある。通常は骨盤側をカラダの中心と見なして起始、肋骨側を停止とすることが多いが、肋骨側を中心と見なして起始、骨盤側を停止としていることもある。

    問2. 次のうち筋肉が骨に付着する部位を選べ

    1. 筋腹
    2. 筋膜

      トレーニングを行ううえで、まず大前提として知るべきは「筋肉は必ず関節をまたいで骨格を支える」ということ。

      さらにその効果を最大・最速で得るならば、筋肉をより大きな可動域で収縮させて伸ばす―つまり、起始・停止をより近づけ、できるだけ離す(=ストレッチはこれに当たる)意識を持つことが、成功のカギといえるのだ。

      さらに詳しく見ていくと、関節をまたいだ筋肉の起始・停止は、答え③の「腱」によって骨(正確には結合組織の骨膜)に付着する。腱自体にも多少の伸縮性はあるが、筋肉のそれと比すれば微々たるもの。

      例えばアキレス腱は、硬直した下腿三頭筋腱に強く引っ張られすぎると断裂する。予防のためには筋肉の適度な柔軟性をキープするのに加え、前側で拮抗する前脛骨筋をしっかり収縮させる動的ストレッチなども意識して取り入れよう。

      問3. 上腕二頭筋の起始・停止で、正しい組み合わせはどれか?

      1. 肩甲骨―橈骨
      2. 上腕骨―尺骨

        腕を曲げると力こぶとして現れる上腕二頭筋は、肩関節を構成する肩甲骨の2つの突起(烏口突起・関節上突起)を起始とする。対する停止部は、前腕の親指側・橈骨の内側上部に隆起した橈骨粗面だ。よって答えは①

        筋トレ効果を高めるためには起始・停止を最大限に収縮・伸張させる、という点は先ほど述べた通りだが、上腕二頭筋を鍛えるアームカールにおいては、前腕を回外する(外にねじる)動きを加えることで橈骨粗面が肩関節により近づき、起始と停止が最短距離となる。

        筋肉の起始・停止

        アームカールで上腕二頭筋の起始・停止を正しく伸び縮みさせるには、肘の位置を動かさないのも重要なポイントだ。

        加えて重要なのは、起始・停止の位置を意識しながらトレーニングを行うということ。これによって脳から神経細胞を経由して大量の信号が送られ、より多くの筋が動員されるというわけだ。筋トレは集中して行ってこそ、と肝に銘じておきたい。

        取材・文/オカモトノブコ イラストレーション/モリタクマ 監修/齊藤邦秀

        初出『Tarzan』No.837・2022年7月7日発売

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