山小屋でアルバイトすれば痩せられる。理由は…低酸素
マラソン選手などのパフォーマンス強化として知られる高地トレーニング。アスリートのためのもの、というイメージが強いが、実は高地で過ごすだけで、食欲が抑えられ、体重が落ちやすいということがわかってきた。高地でカラダを動かせる山小屋バイトこそ最強のダイエット法?
取材・文/井上健二 取材協力/岩崎真宏(管理栄養士、日本栄養コンシェルジュ協会代表理事、医学博士)
初出『Tarzan』No.835・2022年6月9日発売
高地では食欲が抑制される
高地トレーニングという言葉を聞いたことがあるだろう。
酸素の薄い高地にしばらく滞在すると、酸素を有効活用するために、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンが増える。そのまま平地に戻ると、酸素を使ってエネルギーを効率的に生み出せるようになり、マラソンなど持久系スポーツのパフォーマンスが上がるのだ。
「アスリートじゃないから、そんな話は関係ない!」と思うなかれ。実は高地では食欲が落ち、痩せられることがわかっているからだ。
「高地トレを行うと、選手たちの食欲が落ちることは、スポーツの世界では広く知られています。低酸素の環境では、食欲を促すグレリンというホルモンが減り、食欲を抑えるレプチンやGLP-1、PYYなどのホルモンが増えるため、食欲が落ちてしまうのです」(管理栄養士の岩崎真宏さん)
高地トレは通常標高2000m以上で行われるが、低酸素状態で食欲の低下を報告している研究は、標高2500m以上の高地を対象としているものが多い。
今後、ダイエット目的で、2500m以上の高地に滞在するヘルスツーリズムが出てくる可能性も十分ありそう。それまで待てないなら、日本アルプスの山小屋で働くアルバイトを探してみよう。
わざわざ高地まで出向かなくても、最近は高地の環境を提供する低酸素ルームを備えたジムも増えてきた。
こうしたジムで、ランなどの有酸素運動を行えば、効果倍増。低酸素下でのトレーニングでは、毛細血管が増えたり、体脂肪を分解する成長ホルモンが増えたりするなどして、体脂肪燃焼体質に変身できる。