「海で泳いだこともないけど、トライアスロンをやってみたいという女性もいらっしゃいます!」そんなチャレンジングな人をはじめトライアスリート注目のジムが2022年3月、東京・池袋にオープンした。
流水プールと日本で唯一ここだけが導入している空力分析システムを備えて、トライアスロンの3種目のトレーニングを通しで実戦に近い形で行える《アーストライアスロン》だ。聞くところでは、初ものづくしの予感。どんな未体験ゾーンが待っているのか、体験しに行ってみた。
レースを想定した環境で泳げる
こちら、とにもかくにも気になるのは流水プール。水泳選手やトップアスリートがトレーニングで使用している映像などを見たことはあるものの、一般人には関係ない設備なのだろうと思っていた。それがいよいよトレッドミルのように普段使い出来る日が来るとは!
トライアスロンでいえば、バイクとランをつなげて練習するのは普段出来なくはないけど、スイムもとなると難しい。プールがあるジムにしても着替えや場所の移動をしているうちに心拍が落ち着いてしまうため実戦的なトレーニングにはなりづらい。その点で流水プールはまさしく実戦向き。
また、泳ぎ自体にも違いがある。屋内プールはターンをすることになるし、特に公営プールなら他の人との順番待ちで立ち止まることも往々にしてある。海でのレースはターンはなく、潮の流れや波があるなかノンストップで泳ぎ続けなければならない。プールとオープンウオーターは同じ水泳でも全く違うのだ。
流水プールならば水の抵抗がある中で泳ぐなど、海と近いシチュエーションが体験でき、止まらずに泳ぐことが可能。
トライアスロンではスイムに限らず、目標から逆算したペース維持が大事。流水プールなら疲れてスピードが落ちるとトレッドミルのように後ろに流されてしまうので、スピード感覚をカラダに覚えさせ、かつペースを維持する鍛錬になるというわけだ。
実際には一人で使うので、多くのプール施設では使用できないスマートウオッチやウェットスーツといった実際のレースで必要な装備を着用して泳げる点でも習うようり慣れろの環境がある。
スイムを終えたら、そのままバイクマシンに乗ることができるのはフツーのジムでは出来ない体験。
プールを併設するジムで続けてやるにしても着替えたり、施設間の移動や準備などが結果リカバリーになってしまうところ、これなら心拍を落ち着かせず次の種目へと移る実戦的なトランジションの練習になるというわけ。
プールからバイクへ直行できる
日本唯一の「空力解析システム」によるバイクトレとは?
バイクトレーニングはゲーム形式でサイクリングができるアプリ《ZWIFT》と屋内サイクルトレーナー《Wahoo KICKR》を組み合わせてのスマートバイクシステムを活用。世界中の参加者とバーチャルレースをしながら走力を養う。
画面に現れるコースの勾配などに対応して《Wahoo KICKR》を通して負荷がかかり、リアルな乗り心地が味わえるので、状況に対応してギアのシフトチェンジを行う。そのシミュレーション性がメリットだとバイクコーチの前川広大さんは話す。
教えてくれるコーチ陣
《ZWIFT》とサイクルトレーナーを活用したトレーニング自体は、バイクジムはもちろん、自宅で取り入れている人も少なくはない。
流水プールとともに、こちらのジムが画期的なのは仮想風洞実験シミュレーター《ビオレーサーエアロ》。正面から自転車の乗車姿勢を撮影し、空気抵抗を解析。自転車で効率的に走るフォームを見つけられるシステムだ。日本で唯一《アーストライアスロン》だけが導入しているという。
経験者もさることながら、初心者はまずこの解析システムで空気抵抗を減らし、ラクに速く走れるフォームを見つけることから始める。同じ姿勢でもハンドルを握る位置など些細な違いで空気抵抗が変わることを知れるのが面白い。
「空力の良い乗車姿勢をとればスピードは上がりますが、トライアスロンは距離が長く、その姿勢をキープするのは難しい。スプリント勝負の自転車競技と違い、ラクに時速35〜40km程度で長く走り続けられるフォームを身につけることが大切です」(前川さん)
理想のフォームが分かっても姿勢をとるのがしんどければ、それに必要な筋トレ、ストレッチなど自転車に乗るためのカラダ作りも指導してくれる。そうしてフォームが固まったら、《ZWIFT》はもちろん、ジムから屋外に出て実走するなどパワーを上げる練習を重ねていくという流れだ。
姿勢ひとつで生まれるタイムロスが一目瞭然!
前川さんはほとんどの人が自転車の扱い、ましてや乗車の姿勢をきちんと教わったことはないのでは? と話す。子どもの頃から乗っているもので当たり前がゆえに全員が我流で乗っているというわけだ。
レース用バイクは体格はもちろんカラダの柔軟性をもとに、その人にあった寸法の自分仕様。それだけにバイクコントロールの技術が、パフォーマンスを決める。“自転車に走ってもらえる”フォーム作り、自転車の扱いをバイク専門のコーチから教えてもらえるという点でも心強い。
ただ、この空力解析は自分の体格でフィッティングした自転車、ビンディングシューズで乗るなど“ガチ”めのものでないと正確なデータが取りづらいので、それなりのバイクを持っているのがベスト。仮に自転車はまだ、となるとこのジムを利用するメリットは下がるかもしれない。
トライアスロンに初心者はいない!? だから習うべき
泳ぐ、自転車に乗る、走るは得手不得手はあるにしてもやったことがない人は少ないはず。その意味で、みんなトライアスロンはまったくの初心者ではない。ただ、信じがたい距離と時間でやるからこそテクニックが必要だ。
ラクに長い距離動き続けるためのトライアスロンのテクニックを、最新のテクノロジーと専門のコーチ陣が一緒になって探ってくれる。
また、今後プール底にモニターをつけて泳ぎながらフォーム確認ができるようにしたりなど、さらなる最新鋭の設備を検討中。これまで出来なかったことが全部できるようになり、初心者もトライアスロンに挑戦するハードルは下がるはず!
海でろくすっぽ泳いだことがない人やロードレーサに乗ったことがない人ほど、最適なフォームと動き方を身につけるには最初が肝心。アイアンマンになるなら、鉄は熱いうちに打つべし!
トライアスロン専用ジムに行ってみて…
- プールから上がって、そのままバイクマシンが使えて実戦的。
- 日本唯一の空力解析システムで自転車の効率的な乗車フォーム作りが可能。
- 空力解析は“ガチ”めの自転車がないと、恩恵に与りにくい。
- 設備上使用できる人数は多くないので、スケジュールを取るのは難しそう。
INFORMATION
アーストライアスロン
公式ページ