リモートワーカーは要注意。心の疲れを予防する8つの提案
日頃から気を付けるべきは、精神的な疲れ。リモートワークで知らず知らずのうちにあなたのメンタルも蝕まれているかも?簡単にできるメンタルケアで、タフな心を育てよう。
取材・文/石飛カノ イラストレーション/イオクサツキ 編集/阿部優子 撮影協力/UTUWA
初出『Tarzan』No.831・2022年4月7日発売

教えてくれた人
吉野聡(よしの・さとし)/精神科医、日本医師会認定産業医。〈新宿ゲートウェイクリニック〉院長。社会復帰を治療のゴールとし、インフォームドコンセントを重視した安全で根拠のある医療を提供。
目次
気持ちのメリハリをどうつけるかが課題。
わざわざ対面しなくてもPCの前に座っていれば仕事がサクサク進行していく。そんなリモートワークの働き方は、一見効率的なよう。でもメンタルにじわじわ負担をかけている可能性もあり。
「疲れない心を作るためには自分の時間を確保することがとても重要だと思います。勤務時間外に仕事のメールや電話を拒否することを“繫がらない権利”と言いますが、今、必要なのがまさにそれ。リモートでいつでも誰かと繫がることができるという状況は、実はひどく心を疲れさせるのです」(吉野さん)
自己管理能力と言ってしまうと身もフタもないが、ようは気持ちのメリハリをどうやってつけるかが心の疲れ予防対策になりそうだ。ここでは8つの対策方法を紹介する。
1.仕事の後に筋トレや料理をする。
仕事が終わりかけたとき「パパ、遊んで!」と子どもが駆け寄ってくる。これはこれで、仕事終了のいい合図。でも独身の場合、誰からも邪魔をされないため、ずっと仕事に没頭してしまうケースも多々ある。
この場合は敢えて仕事を強制終了させるきっかけを作ろう。ポイントは「ながら」ではできない作業をすること。たとえば料理。あるいは筋トレ。仕事とは無関係の作業に没頭することで、気持ちの切り替えが効率的にできるはず。
2.目標とする人と一緒に同じランチメニューを食べる。
マインドセットとは、これまでの経験や思い込みによる思考パターンのこと。「努力次第でできる」と考えるか「どうせ無理」と考えるかで仕事や人生の成果は大きく異なる。前者のようなマインドセットを獲得するためのひとつの方法は、憧れている人、こうなりたいというロールモデルの真似をすること。
憧れの先輩と食事に行って同じメニューを頼む。そんな小さなアクションでもいい。真似て行動することで変わりたいという願望が具体化する。
3.リモートワーク後にいったん外出する。
コロナ禍の時に「通勤時は自分だけの時間を過ごしていたことに気づいた」という人も少なくはないはず。
リモート生活では仕事が終わってドアを開けた瞬間、そこに家族がいる。つまり、自分時間はゼロ。そこでおすすめしたいのが、リモートワーク後に一度外出すること。近所を散歩して、その後「ただいま」と家に帰るまでが仕事と設定すると、結構スッキリする。
4.リモート会議の間は1時間以上空ける。
リアル会議の場合、終了後には同僚と雑談するなど情報を整理する時間がある。
ところが、リモート会議の場合、多くの人は会議と会議の間を詰めすぎる傾向がある。3時〜4時の会議の後に4時〜5時の会議を入れるのは、リアル会議ではまずないスケジュール。情報を整理する時間がないので気持ちの切り替えやモヤモヤ発散もできない。会議の間は1時間以上空けるべし。
5.レーズンエクササイズをする。
昨日上司のパワハラを受けた。明日あの上司に会うと思うと気持ちが沈む。そんな過去や未来に囚われている思考を今の自分に引き戻す作業が、いわゆるマインドフルネスだ。レーズンエクササイズはそのメソッドのひとつ。
レーズンひと粒を視覚、触覚、味覚で観察し味わい、目の前のことに集中する。今このときの自分の感情を認めれば、気持ちが落ち着くはず。
6.2回に1回はカフェやシェアオフィスを利用する。
最近、リモートワークで会社からの監視の目が厳しくなっているのは、誰にも強制されずひとりコツコツ作業できる人間が限られているから。
でも、カフェやシェアオフィスという場に行けば仕事モードの人だらけ。人は周囲と同じことをやっているときはあまり疲れず、「みんながやってるから自分もやらなきゃ」というモードになる。図書館・自習室の原理と同じ。
7.異業種の人とミニ会食をしてみる。
すべての予定をキャンセルするか、大人数ではしゃぐか。こうしたギャップが大きいほど人は疲れる。0か100かではなく、30と70くらいの配分で構える。たとえば、異業種の人との少人数の会食ならよしとする。我慢が少なければその後の暴走も抑制できるはずだ。
8.眠れないときはベッドから出て単純なゲームをする。
ベッドの中に入ったはいいが明日の仕事の心配や過去の失敗が頭に浮かんで眠れない。そのままじっとベッドの中にいても無駄な抵抗。睡眠は追いかければ追いかけるほど逃げていくからだ。
一度寝るのを諦めてベッドから出よう。そして簡単な作業をしてみよう。自分が大好きな趣味に走ると脳が興奮するので、レゴなどのクラシカルなゲームがおすすめだ。過去にも未来にも思考が向かなくなれば自然に眠気が襲ってくる。