ゴムを巻いて2分待つだけ。リカバリー法「フロッシング」って?
ドイツのスポーツ理学療法士、スヴェン・クルーゼが考案したメソッドが、ゴムを巻くだけのリカバリー法「フロッシング」。カラダを圧迫しながら皮膚や関節、筋肉を動かすことで筋膜の状態が改善され、痛みが軽減し筋出力が向上する
取材・文/本田賢一朗 撮影/小川朋央
初出『Tarzan』No.830・2022年3月24日発売
ゴムバンドの圧迫で筋膜を改善
筋膜ケアがリカバリーを変える。そんな可能性を秘めたアイテム《コンプレフロス》を手掛けているのが、元サッカー日本代表で、〈サンクトジャパン〉代表取締役の秋田豊さん。
「選手時代、カラダを分解して修理したくなるほど、特にシーズン終盤のコンディショニングは難しくて…。このバンドがあればもう少し選手を続けられたかもしれません」と言う彼が5年ほど前に出合ったのがフロッシングというリカバリー法。
ドイツのスポーツ理学療法士、スヴェン・クルーゼが考案したメソッドで、天然ゴム製のバンドをカラダに巻きつけて圧迫しながら皮膚や関節、筋肉を動かすことで筋膜の状態が改善され、痛みが軽減し筋出力が向上するというものだ。《コンプレフロス》もこの理論に基づいて開発されている。
コンプレフロス
「アイシングにマッサージと、さまざまなリカバリーがありますが、どれも手間と時間がかかる。でも、フロッシングはたったの2分。回復に時間がかかる故障の応急処置を一人でできて、効果が非常に高いことは衝撃でした」
現在指揮を執るチームでも、復帰に3週間はかかるとされる肉離れを起こした選手が2週間でスプリントができるまで回復。強度の高いトレーニングの継続が可能になったという。「おかげでJ2に上がれた」と秋田さんも笑う。
いわてグルージャ盛岡の選手もフロッシング中
日本のプロ野球12球団やスポーツの世界大会の各国選手団などでも採用。また、日本に2500万人はいるとされる変形性膝関節症など、筋膜が原因の一つとされている慢性的な痛み、非特異性疾患にも有効とされていて、アスリートのみならず一般分野でも、フロッシングの活躍が期待されている。
カラダのケアの価値観が変わる、新常識だ!