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“スリップインするだけ™”じゃない!《スケッチャーズ スリップ・インズ》快適学。
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健康管理を怠ったまま、肌だけはピカピカなどというはずはない。けれど、それがなぜか、理由をきちんと説明できる? 実は運動のほかにも、健康美の実現に役立つ工夫はあるのです。
小林智子さん
こばやし・ともこ/皮膚科医。医学博士。都内クリニックなどで皮膚科の臨床に従事する傍らYouTubeやTwitter、Instagramでも美容・健康など皮膚科学に基づく美容・健康情報を発信中。近著に『すっぴん肌が好きになる 肌トラブル大全』(WAVE出版)
40歳を過ぎたころからメイクの乗りが悪くなったり、肌から透明感が失われていくのを苦々しく思う女性が増える。いわゆるくすみが募った状態だ。
老化現象の一つだから、遅かれ早かれ誰にでも訪れるが、くすみの始まりと進行が速い人と遅い人がいるのはなぜだろう? 日焼けの新定番についての記事でもお話をお聞きしたアンチエイジングにも通じる皮膚科専門医、小林智子先生に再登場を願おう。
「くすんだ肌とはキメが荒くなった肌です。近寄ってよく見ると、肌には細かい溝が縦横に走り、溝に囲まれた部分は盛り上がっています。この盛り上がった部分のサイズにばらつきが少なく溝が浅いと、光の反射が散乱しにくいので、肌に透明感やツヤが生まれます」
ところが、年とともに新陳代謝のペースは低下し、乱れがちにもなっていく。このため紫外線に反応してできたシミ(メラニン)がなかなか消えなかったり、血行不良があるといかにも老いた顔貌に。
だが、このときの肌には「糖化」という老化現象も進行しつつある。
「体内で余った糖とタンパク質が結合すると『終末糖化産物』(AGEs)と呼ばれる老化物質に変わります。これが皮下のコラーゲン線維に異常な結合をもたらし、肌は弾力性を失ってシワやたるみが増えます。また、AGEsが増えるとメラニンが作られやすくなってしまうので、シミもおのずと増えていってしまいます」
糖質過多の食生活は肌の老化を加速するようだ。その一方、健全な食生活を心がけ、運動習慣のある人は健康なだけでなく、見た目も若々しいことが多い。
「運動によって代謝がアップしたり、血流がよくなることで美肌効果があることは昔からいわれていました。それが近年、運動によって筋肉から分泌される生理活性物質(マイオカイン)の一つ、『マイオネクチン』が発見され、その分泌量の多い人はシミが少なく、肌も弾力性に満ちていることがわかってきました」
このマイオネクチンは美容にいいだけでなく、健康状態にもよい影響を及ぼすらしい。
マイオネクチンを作れないように操作したマウスと、操作していないマウスに持久運動をさせながら心筋梗塞を起こさせる実験を行ったところ、マイオネクチンを作れないマウスには心筋組織内の細胞死や炎症反応が促進され、心筋梗塞を起こした部位のサイズが増大。心臓の機能は明らかに悪化していたが、操作しなかったマウスの心筋組織障害は改善されていたという研究が2018年に発表されている。
「マイオネクチンを引き出すために、強度の高い運動をする必要はありません。週2回程度、1回30分以上を目標に軽く息がはずむぐらいの持久運動と、たまに適度な筋トレで筋量を維持するよう心がけましょう」
マイオネクチンの分泌量は筋量の多い人ほど多いという。だからといって、これから筋量を増やすのは成長期を過ぎた大人にはかなり困難だ。
そこで、筋量が同じでもマイオネクチンをより多く生み出し、分泌させるような素材の研究が進み、近年南アジアの食材、マンゴージンジャーの抽出物にその効果のあることが判明。いまでは健康食品として発売されている。健康食品・化粧品開発の世界は日進月歩の様相を呈している。
「肌のバリア機能を保証するのは表皮の一番外側、角層ですが、角層細胞の周りを満たす細胞間脂質の約50%がおなじみのセラミドと呼ばれる脂質です。これがあればこそ肌は乾燥から守られています。
セラミドの不足を防ぐには、いままでは化粧品として外から角層に油分を供給するしかありませんでしたが、セラミド(植物型、フィトセラミドとも)を経口摂取しても小腸内でセラミドに再構成されたとする研究が発表されました」
この飲むセラミドも実は既に特定保健用食品として販売されている。エビデンスを伴わないサプリメントもいまだに少なからずマーケットに存在するが、検証に裏打ちされた革命的製品もじりじりと増え続けている。美容に関心の高い向きには、面白い時代になってきたのだ。
取材・文/廣松正浩 取材協力/小林智子(皮膚科専門医)