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ランやジャンプで発症する膝下の痛み「ジャンパー膝」【コンディショニングのひみつ⑲】

トレーニングをしていると耳にする「コンディショニング」という言葉を、詳しく紐解いていく「コンディショニングのひみつ」連載。第19回は、ランニング障害〜ジャンパー膝〜について。

ランニング障害

膝下が痛むジャンパー膝とは?

ランニング障害について考える4回目のテーマは「膝蓋腱炎」。ランナーだけでなく、バスケットボールやバレーボールなど、ジャンプを伴う競技を行うアスリートが発症しやすい障害の一つで、別名「ジャンパー膝」と呼ばれている。

膝のスポーツ障害はほかにもランナー膝(腸脛靱帯炎)、半月板損傷、前十字靱帯損傷、分裂膝蓋骨などいくつも存在するため、ジャンパー膝であるかどうかを正しく見極めるためにも、まずは症状の特徴を理解しておこう。

ジャンパー膝の症状の特徴

ジャンパー膝の疼痛・圧痛が出る場所は、膝蓋骨と脛骨の頭をつなぐ膝蓋腱の付着部。ちょうど膝のお皿の真下にあたる弾力のある部分で、場合によっては腫れや熱を伴うこともある。

ランニング障害 疼痛が表れるのは、膝蓋骨と脛骨をつなぐ膝蓋腱のあたり。大腿四頭筋が引っ張られることで膝蓋骨周辺の組織に過度のストレスがかかり、微細損傷を引き起こす。

うつ伏せになって片膝を曲げた際に、曲げた方のお尻が上がるようであればジャンパー膝が疑われる。これは太腿の前側に起こる、引っ張られるような痛みから逃れるための現象で、判断に欠かせないチェック方法の一つである。

基本的にはオーバーワークにより膝関節の曲げ伸ばしが頻繁に行われることで、膝蓋腱に過度の牽引力がかかり、膝蓋骨周辺に微細損傷が起こるというのが原因である。しかしさらに掘り下げると、誘因は内的なもの外的なものがほかにも複数考えられ、当てはまるものから順にアプローチしていくことが治癒への近道となる。

内的要因

・年齢(12〜20歳ぐらいの若年層が多い)
・性別(男性)
・大腿四頭筋の柔軟性低下
・コアの筋力不足
・ランニングフォームの崩れ(着地スキル)
・同様の既往歴がある

外的要因

・路面状況(アスファルトなど)
・オーバーワーク
・休息時間の不足

ジャンパー膝であるかどうかのジャッジと骨の損傷有無は医師による診断が必要だが、筋力や柔軟性の低下、ランニングフォーム不良などは改善の余地がある。原因をおよそ特定したところで、治療と予防のアプローチに移ろう。

痛みの発症・再発を防ぐ治療と予防策

もしも疼痛が運動の前後に生じる、あるいは運動中も不快に感じる痛みが続く場合は、ジャンプやダッシュといった動作を休止すること。そのうえで、下のイラストにある膝裏マッサージ大腿前面のストレッチ、さらに局所のアイシングを行うことが重要となる。

マッサージ

ランニング障害

片膝を両手で抱えるようにして持ち、親指以外の4本を膝裏に当てる。指の腹で優しく圧をかけ、筋のこわばりをほぐす。逆も。

ストレッチ

ランニング障害

片膝を曲げて床に座り、両手を背部の床についてカラダを支える。腿の前側が伸びているのを感じよう。逆脚も同様。

筋トレに移るのは疼痛が消失してから。膝が内側に入っていないか鏡で確認しながら、股関節を優位に稼働させるスクワットやランジ、カラダの軸を安定させるコアトレーニング、ランニングフォーム改善による正しい着地の習得など、筋力強化を狙うトレーニングを継続的に行うことで再発防止につながる。


復習テスト

ランニング障害

答え:膝のお皿の下

取材・文/黒澤祐美 漫画/コルシカ 監修/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ代表)

初出『Tarzan』No.826・2022年1月27日発売

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