自律神経に負担を掛けないリモートワーク5つの心得|昼の自律神経メンテ術②
昼のタイミングでも自律神経を意識することは大切。ランチやマッサージでうまく気分転換をしつつ、集中力をキープしたい。さらに日中の過ごし方は、夜の睡眠にも大きな影響を及ぼす。【昼の自律神経メンテ術】では日中に実践できるメソッドを紹介。2つめは「リモートワーク」について。
取材・文/石飛カノ イラストレーション/沼田光太郎 取材協力/吉野 聡(新宿ゲートウェイクリニック院長、吉野聡産業医事務所代表)
初出『Tarzan』No.821・2021年10月7日発売
緊急事態宣言はひとまず明けたけど、勤務形態は引き続きリモートワーク中心。いわゆるニューノーマルな働き方に。自律神経に負担をかけず仕事を進めるためには、これまで以上にセルフマネジメント能力が必要になってくる。
①メールは重要性と緊急性を意識する
まずはメールの対処から。朝イチの仕事が大量の未読メールの処理という人は多い。このとき、簡単に返信しやすい案件から片付けるのはNG、と精神科医の吉野聡さん。
「仕事には重要性と緊急性という2つの軸があります。まず手をつけるべきは重要にして緊急性が高い案件。次にさほど重要ではないが緊急性が高いもの、その次に重要だけど緊急ではないもの、最後に重要でも緊急でもない案件。これが妥当な優先順位です」(吉野先生)
重要でも緊急でもないメールに対処して、“仕事した感”に浸るのは危険。最も求められている仕事が後回しになり、後々無駄に焦って交感神経が疲れてしまうからだ。
② オンライン会議では前後10分の余裕を持つ
本日は10時から部内ミーティング。ジャスト10時にチャットルームに入り、各自必要事項を報告し、上司の終了アナウンスを聞くと同時に即退出。いや待てよ、今の会議のあの人のあの提案、ちょっとおかしくね?
こんなモヤモヤ気分が残った経験はないだろうか。
「リアルなミーティングは自分と相手の関係性、その日の相手の機嫌などを察しながら進めていくもの。オンラインではそういった配慮が削がれて消化不良を起こしがちです。たとえば、会議の前後に10分間の時間を設け、私的な情報交換をしたり、会議で話し足りなかったことを消化する。そんな方法もまたありです」(吉野先生)
③ 同期仲間でLINEグループを作る
リモートワークでは上司と部下という縦の関係は保たれる一方で、横の繫がりが薄くなる。以前なら別の部署の同期とランチや飲み会に出向き、互いの近況を報告したり愚痴を言い合ったりしていたもの。それが一種のガス抜きになっていたが、効率性重視のリモートワークでは当然、そんな機会もなく。
「リアルに会わなくなると偶発的な出会いが極端に少なくなります。とくに立場が下の人ほど、味方になってくれる人との繫がりが失われがちです。たとえば同期仲間でLINEグループを作るなど、人間関係を活性化させてみては」(吉野先生)
④ シェアオフィスを利用する
独身でワンルームひとり暮らしの生活環境。食事も仕事もプライベートもすべて一緒の空間というのはちょっとキツい。家庭を持っている場合でも、子どもが真横で遊んでいるリビングではPC作業にいまひとつ集中できない。
「自律神経のバランスをとるために、自宅はリラックスする空間として確保しておくことをおすすめします。そのためには、仕事をするときにきちんと空間を切り替えることが重要。家に書斎スペースがないなら図書館やシェアオフィス、駅ナカのブースなどを利用するなどして、オンとオフの切り替えを」(吉野先生)
⑤ カチンとくるメールは1日寝かせる
人間関係はふとしたことでこじれてしまう。とくに表情のない文字だけのメールではなおさらだ。相手のメールにカチンときて、そのまま返信するとヒートアップしてしまうこと間違いなし。
「一番大事なのは即レスしないこと。即レスが欲しいような案件ならば、そもそもメールではなく電話で連絡をしてくるはず。一晩寝かせて冷静になってから返信するよう習慣づけをしましょう。メールにイライラするのはそのときのコンディションにもよります。翌日体調を整えて改めて対処すれば、しなくていい諍いも防げます」(吉野先生)