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逆に太った人は必読! 専門家に聞いた「チートデイの勘違い」

いつからだろうか、この言葉が人口に膾炙し始めたのは。週1食べまくっても痩せられる、なんて、減量する身にはたいそう魅力的に聞こえるが、そう単純な話でもないようだ。4つの誤解に沿って解説する。

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杉浦克己先生

杉浦克己先生

教えてくれた人

すぎうら・かつみ/立教大学コミュニティ福祉学部スポーツウエルネス学科教授。専門はスポーツ栄養学、フィットネス。アスリートから一般人まで栄養面からのウエルネスを追求する。

誤解① 週1で食べ放題の日を設けている

チートデイとは減量期に食事制限を緩める日。有名なのは、巨大サンドイッチに山盛り寿司という「ザ・ロック」ことドウェイン・ジョンソンがインスタで公開しているチートミール。これがハンパない。

週1食べ放題で痩せられるなら、とチートデイを導入し始める人もチラホラ。スポーツ栄養学の専門家・杉浦克己さんによれば、

「ドウェイン・ジョンソンは常時カラダづくりをしているプロレスラー。カロリー的にはありかもしれませんが、一般の人がキツい食事制限をして極端なチートデイに傾くと摂食障害になる可能性もあります」(杉浦克己先生)

誤解② 代謝が上がると聞いています

減量を始めると最初は順調に体重が減っていくが、やがて訪れるのが停滞期。食事制限で少ないカロリーしか入ってこないと、カラダは代謝を下げて適応しようとする。よって、チートデイの目的のひとつは、低下した代謝のボトムアップ

「確かにチートデイでは栄養素を分解する際に生じる食事誘発性熱産生(DIT)という代謝量が増すと考えられます。ただ、DITは一日の消費エネルギーの10%程度なので、痩せるほどの代謝アップは期待できません」(杉浦克己先生)

一方、チートデイで食欲に抑制をかけるレプチンというホルモンの分泌が上がるという説もある。レプチンは脂肪細胞から分泌されるホルモン。摂食するとレプチンが脳に作用して“もう満腹です”という情報をフィードバックする仕組み。

「20代の女性を被験者にした論文では、チートデイの導入でレプチンの分泌量が28%アップしたという報告があります。とはいえ、レプチンの分泌量が増えた結果として本当に食欲が抑えられるかは、まだはっきりしていません

全体的な代謝は有意に上がらないけれど、食欲を抑える可能性はある、というのが今のところチートデイに関する科学的な見解だと思います」(杉浦克己先生)

誤解③ ご褒美だから存分に食べてよし

好物を我慢してひたすら節制に励むダイエット。そうしたストレスのリリースとしてチートデイを活用する人もいる。

「消費心理学という分野では、節制生活の合間にときどき服を買ったりするなど息抜きを設けると、より長続きするという研究があります。辛いことをやるときには小さなご褒美を与えるという考え方です。ダイエット時のチートデイもそういう効果はあると思います」(杉浦克己先生)

“食べ放題”ではなく、好物の唐揚げ、とんかつ、ピザといったご褒美メニューを決めておき、週に一度解禁するという方法はありかも。

誤解④ 痩せるはずが逆に太ってしまった

週1のチートデイでストレスなく痩せるはずだったのに逆に太った。この場合、チートデイ=食べ放題と勘違いしている可能性あり。

「週に6日は成人男性の必要摂取エネルギーから数百キロカロリー減らす。残りの1日は必要摂取エネルギー、またはそのプラス数百キロカロリーの食事を摂る。1週間のトータルで減量食になっているということが重要です」(杉浦克己先生)

成人男性の必要摂取エネルギーは2300キロカロリー。週6日は1800キロカロリーに制限して、1日だけ2800キロカロリー分の食事をする。1週間の総摂取量は1万3600キロカロリー。2300キロカロリー×7日=1万6100キロカロリーよりマイナスになるので理論上は痩せるはずだ。

「勢いでどんどん食べてしまい、毎日がチートデイになるのが太る原因。チートデイの上限を決めておく、週に一度なのか2週間に一度なのか、体重と相談して頻度を決めるなどの工夫が必要。また、レプチンの増加作用を期待するなら、脂質より糖質メインの食事にすることもポイントです」(杉浦克己先生)

いずれにしろ魔法のようなダイエット法はない。自己管理のもと、チートデイの活用を。

取材・文/石飛カノ イラストレーション/サタケシュンスケ

初出『Tarzan』No.819・2021年9月22日発売

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