ジェンダー以前に考えるべきこと。りゅうちぇるインタビュー
独特のキャラクターで早くからジェンダーを超えていたりゅうちぇるさん。1児の父となった彼が考えるジェンダーとは。ジェンダー以前に考えるべきこととは。(雑誌『ターザン』No.816〈2021年8月5日発売号〉より全文掲載)
取材・文/井上健二 撮影/山城健朗 ヘア&メイク/megu
初出『Tarzan』No.816・2021年8月5日発売

普通の人も評価される社会であってほしい
中学までは、「女の子っぽい!」とからかわれることも多かったので、ずっと自分を隠していました。でも、高校では素の自分を出したいと思い、(沖縄)県内でもいちばん自由な学校を選び、入学式からばっちりメイクをして出かけました。
高校時代に個性を全開で出せたことが、現在の自分のベースになっています。

高校入学前にSNSを始めると共感を呼び、多くのフォロワーを獲得。人気は全国区に。
でも、「メイクするな。目障りだ」と他人に言ったら話は変わる。僕も自分の意見を強要しないように気をつけています。
自分は自分でいいという自己肯定感が足りない若い子が多いと感じます。自分で自身を認めて愛さないと、自らを守れないし、誰も愛してくれません。個々が自分らしく活躍できる時代になると、自己肯定感がより大事になると思います。
ただ、個性がのびのび生かせる世界でも、他人と違って目立つ人たちだけが評価されるようになってほしくない。当たり前で普通であることも素晴らしいし、尊重されるべき個性なのです。

姉のワンピースを着た3歳頃のりゅうちぇるさん。
振り返ると、僕の両親はいつもハグしてくれたし、愛されているという実感がつねにありました。
シンデレラのお話を読み聞かせするとき、息子には「女の子から告白してもいいんだよ」と話しかけますし、おもちゃ売り場では「欲しかったら、バービー人形でもいいんだよ」と伝えています。
