漢方医学的視点からカラダづくりを応援する、漢方薬店kampo’s(カンポーズ)薬剤師・薬学博士の鹿島絵里です。
「不通則痛(通ぜざればすなわち痛む)」
東洋医学において、カラダの巡りの停滞が痛みを引き起こすことを表した言葉です。日本人は特に感じやすいとされる肩こりですが、これもまた巡りが悪くて起こる症状の一つです。
多くの人を悩ませる肩こり、漢方薬には対応できる処方がたくさんあります。肩こりに漢方薬なんて意外と思われるでしょうか。かの有名な葛根湯も肩こりに効く漢方薬のひとつですが、それだけではないんです。
今回はちょっとディープに、肩こりに悩む人のための漢方処方をご紹介いたします。
① 葛根加朮附湯(かっこんかじゅつぶとう)
先に述べた葛根湯にさらに二つの生薬を加味しています。ひとつは水の滞りを整える生薬、もうひとつは温めて痛みを取る生薬です。葛根湯そのものにも水を動かして痛みを取る効果がありますが、これをよりパワフルにした処方です。
体力がある(若い)、寒気、肩から背中に及ぶ痛みなどにあてはまれば良く効くでしょう。
※葛根加朮附湯も葛根湯もずっと飲み続ける処方ではありません。数日の服用を目処にしてください。
② 加味逍遙散(かみしょうようさん)
ストレスからくる肩こりに有効です。ストレスは気の流れの停滞を生み、これがさらに血の流れも滞らせます。
気血(きけつ)の停滞が引き金となった肩こりは、イライラしやすい、目の下のクマ、便秘と下痢を繰り返すなどの症状を伴いやすいです。婦人科の代表的な処方でもありますが、男性にももちろん使います。
③ 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
熱がこもって血の流れが極端に悪く、気がカラダの上のほうにのぼりがちで巡らないのを改善します。これが合う体質の人は冷えのぼせ、発汗、げっぷ、頭痛など、身体の上のほうに発作的な症状が出やすく、また便秘を伴います。便秘も「不通」のひとつですね。
一般的に肩こりの解消法と言えば、ストレッチや入浴が浮かぶと思います。
筋肉をほぐして血行を良くするのは大事ですよね。これらが有効なのは言うまでもありませんが、「不通則痛」の原則から、様々なアプローチで肩こりを治してくれる漢方薬もいい選択肢です。
知らないではもったいない、肩こりに効く漢方薬。ご紹介の三処方だけでなくまだまだありますので、肩こりに伴う悩ましい症状や気血水の詰まりなども一緒に、専門家に相談してみるといいですよ。
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