とりあえず「10回×3セット」の理由|上半身トレの行列ができる負荷相談所①
年300回筋トレを行うコンディショニングスペシャリスト・桑原弘樹さんが上半身トレ、とりわけ「負荷」に関する疑問を解決! 「トレーニングはとりあえず10回×3セット」 と言われるのはなぜ?
取材・文/井上健二 イラストレーション/村上テツヤ
初出『Tarzan』No.806・2021年2月25日発売
筋肉に「効かせる」3カ条。
上半身トレを生かすも、殺すも、負荷次第。どんな抵抗をどうかけるかで、効果に大きな差がつく。
「筋肉に効かせるには、①力を不合理に使う、②短時間に力を使い切る、③速筋を意識するという3か条があります。そのために欠かせないのが、正しい負荷設定です」
と語るのは、年300回の筋トレを欠かさないコンディショニングスペシャリストの桑原弘樹さん。
「①力を不合理に使う」とは、特定の筋肉のみに負荷を集中させること。「②短時間に力を使い切る」とは、筋肉内のエネルギーが枯渇するほどの負荷で鍛え続けること。そして「③速筋を意識する」とは、速筋が目覚めるくらい重たい負荷で筋肥大を促すことだ。
以上の基本を踏まえ、桑原さんに所長をお願いした負荷相談所を開設。負荷の素朴な疑問からマニアックな問いまで何でも答えよう!
教えてくれた人
「10回×3セット」が「近道」。
とりあえず「10回×3セット」 って言われるのはなぜ?
A. オールアウトできる近道だからです。
──なぜ筋肥大には10回×3セットが鉄板なのでしょう。
桑 肝心なのは余力を残さず、筋肉がクタクタのオールアウト状態にすること。すると筋肥大が起こりやすいのだ。その近道が、一度に8〜12回しか反復できない重さで3〜4セット行うこと。それをシンプルに10回×3セットとルール化しているというワケだ。
──オールアウトさえできたら、10回×3セットでなくてもいいんですね。
桑 一度に10回しかできない負荷を10RMという。10RM未満でも回数を増やしてオールアウトできたらOK。
──重たいのが苦手なら、自体重のような10RM未満の負荷でたくさんやればいい!
桑 その通り。腹筋運動なら、まずは限界まで50回やり、少し休んで限界まで25回やり、また少し休んで限界まで12回やり、最後は1回も上体が上がらなくなるまでやり込めば、6パックになれるだろうね。
──そっちの方が辛そう。
桑 10RM未満でオールアウトさせるには時間も手間もかかる。ダンベルなど重めの負荷で10回×3セットで終えた方がラクで続けやすいんだよ。