「肩の前側の段差」を強調する|部位別・深彫りトレ

筋肥大で大きくするより、普通に服が着こなせて、脱いでも着てもサマになる。そんなフィットしたカラダを目指すなら、「深彫りトレ」がおすすめだ。今回は「三角筋全部と上腕二頭筋長頭の間」のカットを出すトレーニング。

取材・文/石飛カノ 撮影/山城健朗 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/村田真弓 監修・指導/岡田隆(日本体育大学准教授)

初出『Tarzan』No.805・2021年2月25日発売

斜めの溝で引き締まった腕に。

盛るのではなく刻む。個々の筋肉を大きくするのではなく筋肉と筋肉の境目を強調する。深彫りトレーニングで理想のカラダづくりを実現しよう。これまでの筋肥大を目的としたトレーニングはアウトラインに着目したもの。一方、深彫りトレが着目するのは筋肉と筋肉の境目=セパレーション。これを強調した、いわゆるカット出しだ。

ひとつのカットを形成するふたつの筋肉を個別に使い込んでいくというのが最大のポイント。重いウェイトを持ち上げるのではなく、筋肉単体を最大に収縮させたり伸展させてカットを深くしていく。この方法なら1〜2か月で目的部位のカット出しは十分可能だ。

今回鍛えるのは「三角筋前部・上腕二頭筋長頭」。

三角筋前部と上腕二頭筋の外側

肩関節の前側を覆う三角筋前部と上腕二頭筋の外側、長頭のカットを出す。横から見たとき、肩から上腕前部に斜めのカットが刻まれると男前度がアップ。自体重トレをクリアしたらチューブとダンベルで仕上げよう。

自体重トレでカットを出す2種目。

フロアショルダープレス(三角筋前部)

フロアショルダープレス
  1. 両手と両足をやや広めに開き、床につく。
  2. お尻を天井に向けて突き出し、頭を下げたポジションからスタート。
  3. お尻を上げたまま肘を直角に曲げ、頭を床に突き刺すようなイメージで上体を沈める。

 

アームカール(上腕二頭筋長頭)

アームカール
  1. 軽く足を開いて立ち、右腕を伸ばす。
  2. 左手で右手首を摑み、上から強くプッシュ。
  3. その力に逆らって肘を巻き上げるようにして右腕を上げる。
  4. フィニッシュで力を入れたまま2秒キープ。
  5. 15回行ったら逆も同様に。

ギアを導入したトレーニング。

自体重トレを15回×3セット、きっちり行えるようになったら段階的にダンベルチューブを取り入れたトレーニングへと駒を進めよう。常に刺激の種類を変えて筋肉を混乱させることが、短期間でカット出し効果を得るコツだ。

チューブで鍛える2種目。

 

チューブフロントレイズ(三角筋前部)

チューブフロントレイズ
  1. 両足の下にチューブを通したら脚を揃えて立つ。
  2. チューブのグリップを順手で握る。
  3. この状態でチューブがピンと張っていることを確認。
  4. そのまま額の高さまでチューブをゆっくり引き上げる。

 

チューブアームカール(上腕二頭筋長頭)

チューブアームカール
  1. 今度はチューブのグリップを逆手で握る。
  2. 腕は伸ばし切らずに肘を軽く曲げ、背中を丸める。
  3. そのまま肘を曲げてチューブを引き上げる。
  4. フィニッシュで得られるチューブの最大負荷をしっかり味わおう。

ダンベルで鍛える2種目。

 

ダンベルアーノルドプレス(三角筋前部)

ダンベルアーノルドプレス
  1. 両脚を揃えて立ち、左右の手でダンベルを逆手で持つ。
  2. まず肘を曲げてダンベルを肩の高さにセット。
  3. 次に肘を真横に開く。
  4. 続いてダンベルをまっすぐ上方に。このときダンベル同士をくっつけるつもりで。
  5. 逆の軌道で元へ。

 

ダンベルコンセントレーションカール(上腕二頭筋長頭)

ダンベルコンセントレーションカール
  1. 椅子に座って脚を90度開き、片手でダンベルを持つ。
  2. 反対側の手は膝に置いて前腕を床と垂直に。
  3. ダンベルを持っている側の肘を太腿の内側にくっつけて固定。
  4. そのまま肘を最大に曲げてダンベルを持ち上げる。逆側も。

「深掘りトレ」のポイント。

基本的に2種目ワンセットでひとつのカットを出していく。まずは自体重トレを15回×3セット、きっちり行えるようになったらダンベルやチューブなどを使ったアドバンスト種目へ進もう。

ちなみに、ダンベルはすべてのレンジで負荷をかけることができるが、垂直方向にしか負荷をかけられないので体勢が限定される。一方のチューブはレンジが限られるが主にフィニッシュ動作で最大負荷をかけられる。それぞれのメリット、デメリットを理解したうえで導入してほしい。

深彫りトレで最も重要なことは筋肉の最大収縮(筋肉を最大まで縮ませる)と最大伸展(筋肉を最大まで伸ばす)を狙うこと。短期間でのカット出しはそれができてはじめて実現する。とくに最大収縮させたときの筋肉の“ギュッ”という感覚を大切に。 

深彫りトレ4つのポイント
  1. 筋肉をギュッと縮める意識を持つ。
  2. まずは自体重トレをクリアすることから。
  3. レップ数は15回、丁寧に。
  4. 頻度は最低週2回、できれば3回。