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“攣る”(つる)とは、筋肉が異常に収縮して痙攣(けいれん)を起こすこと。ミネラルバランスの乱れが原因になる。
目次
脚や肩、腕などをつったとき、条件反射的にストレッチしたくなるものだが、無理に伸ばすとかえって痙攣(けいれん)が悪化することがある。筋肉は伸ばすというよりも縮まったものを元に戻すイメージで少しずつ伸ばしていくとよい。
寝違えやぎっくり腰とは異なり、つった場合は冷やさずに温めることが大切。冷やすと熱を確保すべく、筋肉がさらに縮もうとしてしまうのだ。
大腿部や臀部などの大きな筋肉や首の周辺がつったり、痙攣が広範囲にわたっていると慌ててしまうもの。しかし、慌てると神経の興奮が連鎖を起こし、あちこちに痙攣が飛び火してしまう可能性がある。まずは落ち着くことを心がけよう。
「つる→ストレッチをして伸ばす」が習慣になっている人もいるかもしれないが、強く伸ばそうとすると症状が悪化し、場合によっては肉離れを起こしてしまうこともある。まずは患部をさすったり、手を当てて軽く圧迫するのがおすすめ。
さすったり、軽く圧迫したことで症状が和らいだら、過剰に縮まってしまっている筋肉をゆっくりと伸ばしていく。ストレッチをして強く伸ばすというよりも、縮まってしまったものを元に戻すイメージで行う。無理は禁物だ。
痙攣が起きたということは、体内のミネラルバランスが崩れているということ。スポーツドリンクや経口補水液などで、水分とミネラルを補給しよう。また、冷えが原因になっていることもあるので、毛布などで患部を温めるのも有効だ。
痙攣の予防には、日頃からミネラル不足にならないように気をつけるのも大切。マグネシウムは海藻類やナッツ類、カルシウムは乳製品や大豆製品、カリウムは芋類やバナナ、キウイなどに多く含まれている。冬場は冷え対策も重要だ。
水分とミネラルを補給し、患部を温めながら安静にしていても痙攣が治らない場合、痙攣の範囲が広がっていく場合は、なるべく早く病院へ。運動中の痙攣、長時間の痙攣、繰り返す痙攣は脱水症の場合があるので注意が必要だ。
筋肉は過剰に伸びたり、収縮したりすると、断裂や損傷を起こしてしまう。それゆえ、伸びすぎを防ぐ筋紡錘、縮みすぎを防ぐ腱紡錘という2つのセンサーを備えている。
筋線維の中にある筋紡錘は筋肉が強く伸ばされた際に、腱の中にある腱紡錘は筋肉が縮みすぎたときに、その情報を脊髄に送る。例えばストレッチをしたときに強く伸ばすと痛みが出るのは、筋紡錘が働いて、筋肉に縮めという指令が出るからだ。
「つる」とは、筋肉が異常に収縮する現象のこと。つまり、原因は筋肉の過剰な収縮を防ぐセンサーである腱紡錘の働きの低下にある。
腱紡錘の機能低下の最大の要因は、体内のミネラルバランスの乱れにある。それゆえ、運動中や就寝中など発汗しているときに起こりやすい。特に筋肉の収縮や神経伝達に大きく関わるカルシウム、カリウム、マグネシウムのバランスが崩れると筋痙攣のリスクは高まる。マグネシウム不足は腱紡錘の機能低下に大きな影響を与えるので注意が必要だ。
また、冷えなどによる血行不良、加齢によっても腱紡錘の機能は低下する。痙攣を予防するには、日頃からミネラル不足にならないよう、食事に気をつける必要がある。
取材・文/神津文人 イラストレーション/コルシカ 取材協力/伊藤和憲(明治国際医療大学鍼灸学部教授)
初出『Tarzan』No.803・2021年1月28日発売