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「過去に劣りたくない。死ぬ時が一番最強でありたい」筋肉図鑑 vol.39|銘苅淳(ハンドボールコーチ)
トレーニングの軌跡を偽りなく物語るもの、それが筋肉だ。第39回は昨年現役引退した元ハンドボール日本代表の銘苅淳(めかる・あつし)さん。コーチとなった今も健在な筋肉に迫る!
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【今回の筋肉】銘苅淳

強いハンドボール選手は例外なくカラダが圧倒的に厚い! 今まで国内外のトップ選手に出会って確信しました。テクニックも大切ですが、その巧みさを発揮する前にぶつかり合いで潰されることはしょっちゅう。
現役時代は体重を102kgまで増やしましたが、ガンガン動けたし、ディフェンスの当たりも全く怖くない。腹筋もバキバキで、フィジカルの充実がメンタルの充足に繫がることも実感しました。
巧みさや駆け引きなどで僕より上手い選手はいつの時代もごまんといた。そのことに気づいてましたし、僕は負けず嫌いなので、トレーニングをやり込んだ。その結果、図らずしてフィジカルが僕の武器になりましたし、海外でプレーできたのはそのおかげだと思っています。

現役時代と比べてボリュームは落ちましたが、シルエットはあまり変わってません。ジムには週2回行きます。なぜなら過去の自分に劣りたくないから。死ぬ時が一番最強で、今は伝説の途中。
努力を惜しむような生き方をしたくないんです。ジムもめんどくさいけど行く。バーベル担いだ自分を鏡で見て「なんだ、結局やるんじゃん」と、微笑ましく思う。その繰り返しです(笑)。

食生活も選手時代のマイルールが結構残ってます。実は甘いものが超好きだけど、自分では絶対に買いません! どんな食べ物も選ぶ時は栄養成分表示を見て、タンパク質が脂質より低ければ買わない。プロテインも1日4〜5回は飲んでます。

コーチになって戦術はファッションだと改めて思います。試合に備えて戦術を磨いても、相手はその戦術を破る方法を必ず考えてくる。
服を一枚一枚剝ぎ取られる時に最終的に残るのは、自分のフィジカル。常に不完全の中の完全だけど、まず自分でそれを好きになることが最強になるための近道じゃないかな。
取材・文/門上奈央 撮影/大内香織
初出『Tarzan』No.802・2021年1月4日発売