トレーニングへのやる気は十分。もちろん大いに結構だが、逸る気持ちが抑えられずに筋トレ前のストレッチをスキップしてしまう人、意外と少なくない。トレーニング前にしっかりカラダをほぐしておけば、関節の可動域が広がり、より効率よく筋肉を鍛えることができる。「でも面倒だし、早く筋トレしたい…」という読者のために、最低限の種目を紹介する。
ストレッチをサボると筋トレの地道な努力が台無し。ただ伸ばすだけでなくパフォーマンスを高めるコンディショニングを習慣にしよう。
「必要な関節可動域を出す“ムーブメントプレパレーション”を準備運動に、筋トレ時の姿勢を改善。動いた後には駆使した筋肉や腱などの組織を整える“リジェネレーションストレッチ”を習慣化しましょう」(澤木一貴トレーナー)
① ワールドグレイテストストレッチ
6つの動作を一連の流れで行う本メソッドは全身に網羅的にアプローチする“世界一偉大なストレッチ”。柔軟性を高めつつ、体幹の安定化にも有効。各関節の動きを最適化すれば筋トレの準備万端だ!
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スタートの姿勢
両手を肩幅程度に広げて床につき、両足は揃える。右足と同一線上になるよう、左足を真っ直ぐ手の位置に出す。左手は右肩に添える。両足の爪先を正面に向けておく。後ろ側の鼠蹊部がしっかり伸びていることを意識。
エルボートゥフロア
スタートの姿勢から上体をさらに下げ、左肘を床につけて股関節まわりをストレッチ。どうしても肘が床に届かない場合は可能な範囲で床に近づければOK。スクワットで深く腰を落とすために必要な股関節の可動域を広げる。
ソラシックローテーション
肩に添えていた左手を、大きな軌道で真上に上げる。手の動き以上に胸椎を回旋させるよう意識。胸椎に伴い肋骨周辺を動かせば、肩まわりの動きがスムーズに。腰を捻らないよう腹圧をかけたまま行う。
ハムアンドカーフ
上げた左手を下ろし肩幅よりやや広めに両手を床につく。お尻を突き上げ、できる限り両膝を伸ばしてキープ。前脚のハムと後ろ脚のカーフを一つの動作で同時に伸ばす。膝を伸ばすのがキツければ後ろ脚の膝を床につける。
フェンシング
ハムアンドカーフの姿勢からそのままお尻を下げ、膝を曲げて重心を落とす。両脇を締めて、両手をグーの手にして胸の前で揃える。下半身の筋肉や腸腰筋などにしっかり刺激を入れることで筋トレ中の姿勢を安定化させる。
ニーハグ
左脚を軸脚に片脚立ちになり、右脚を両手で抱えて姿勢をキープ。脚を引き上げた方の臀筋群のストレッチ。動作の要となる臀筋群を入念に伸ばすことで、筋トレ全般のパフォーマンスアップに繫がる。
② ダウンドッグ
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手幅を肩幅強に、両足を腰幅強に開く。四つん這いの姿勢になり両膝を浮かせる。
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お尻を天井に向かって突き上げ、ふくらはぎから首元まで背面全体の筋肉をストレッチ。
③ 90・90ストレッチ
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横向きに寝て両手を前に伸ばし、両脚を揃えたまま膝を直角に曲げる。
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上側の手を弧を描くように動かし、胸を開く(写真2枚目)。
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キツい人は弓矢を引くように上側の手を胸まで引く(写真3枚目)。
④ ラテラルフレクション
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両足を肩幅強に開く。両手を組んで頭上に伸ばす。
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息をゆっくり吸いながら上体を真横に倒す。
ストレッチのやり方。
今回紹介したのは「筋トレ前」のストレッチ。①ワールドグレイテストストレッチか、②〜④の3種目のどちらかをチョイス。各動作2秒キープ、左右交互に2〜4セットで実践しよう。
鍛える前に動的ストレッチをベースにしたメソッドを行うことで、筋トレに必要な可動域を出し、正しい姿勢を取りやすくする。体温上昇により神経伝達がスムーズになり、カラダ作りがより効率的になる。
取材・文/門上奈央 撮影/小川朋央 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/村田真弓 トレーニング指導・監修/澤木一貴(SAWAKI GYM)
初出『Tarzan』No.800・2020年11月26日発売
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