ポイントは“時間と偏り”。体重・体脂肪をキープする食べ方ガイド
適正な体重と体脂肪をキープするための、食べ方のルールを解説。もちろん食事の絶対量も大事だが、体脂肪の増加を予防するために着目すべきは「体内時計と偏り」なのだ。「食べ過ぎてしまった…」というときの、効果的なリカバリー方法も紹介。
取材・文/石飛カノ 撮影/谷尚樹 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 取材協力/根来秀行(医師、医学博士、ハーバード大学医学部客員教授、ソルボンヌ大学医学部客員教授)
初出『Tarzan』No.799・2020年11月5日発売
体内時計のリズムを整え、 夜間の体脂肪増を防ぐ。
体脂肪、とくに男性が蓄えやすい内臓脂肪の増加をいかに防ぐか。食事の内容をあれこれ考える前に、真っ先に取り組んでほしいのが体内時計のリズムを整えること。
体温、血圧、ホルモン分泌、自律神経のバランスなど、ほぼすべての生体リズムは体内時計がコントロールしている。日中エネルギーを消費し、夜間カラダを休めて再生できるのも体内時計リズムのおかげ。
そこで、睡眠時間は最低でも7時間確保する。睡眠時間をこの程度とれれば、抗酸化力が非常に高いメラトニンというホルモンが分泌され全身に循環する。また、コルチゾールという抗ストレスホルモンが起床2〜3時間前から覚醒時まで分泌され、脂肪を増やさないことに貢献する。
一方、眠る時間6時間を切るとカラダが酸化して炎症を起こしたり、コルチゾールが過剰に分泌されて血糖値が上がる。眠っている間に糖のエネルギーは必要ないので、内臓脂肪としてどんどん蓄えられてしまう。
なので夜の11時から朝の6時、または深夜12時から朝7時までは睡眠時間を確保。体内時計のリズムを決めるのは朝一番の光と朝食なので、朝の欠食は厳禁だ。さらに夕食は眠る3時間前までに済ませる。食事が消化吸収されるまでにはそれだけの時間が必要。眠る直前に食べたものは体内で消費されず、内臓脂肪として蓄積される可能性が高い。
よく眠り、朝はよく食べ、夕食は早めに済ませる。まずはこれを試してみて。体内時計のリズムが整えば出腹も自ずと凹んでくるはずだ。
体内時計リズムを整える3つのマスト。
- 睡眠時間は最低7時間を確保
- 朝食は必ず食べる
- 夕食は就寝3時間前までに済ませる
栄養とボリュームの偏りを防ぐ食べ方を。
脂肪を溜め込んで太りやすい人には、ひとつの傾向がある。食生活のどこかに偏りがあるという傾向だ。朝食を食べない。夜の遅い時間にものを食べる。あるいは1日3食のうち、夕食のボリュームが明らかに大きい。または、油っこいものばかりを異様に好むなどなど。
そこで、体内時計リズムに従った食事のタイミングに慣れてきたら、次は栄養素のバランスや1日3食のバランスを考慮してみよう。
まずは3大栄養素。炭水化物(C)は約50%、脂肪(F)は20〜30%、タンパク質(P)は15〜20%のバランスでいただく。ご飯を茶碗1杯、揚げ物以外のメインのおかず、野菜の副菜と汁物をセットすれば、大体このバランスになる。
続いて1日3食のバランス。理想は朝3:昼4:夜3だが、どうしても夕食が就寝3時間前までに済ませられない場合は、朝と昼の比率はそのまま、夕方に主食とおかずを食べて夜は副菜と汁物だけ、というように分食スタイルを取り入れてみよう。
ちなみに、ひと口目に炭水化物を食べるのは厳禁。血糖値が急上昇することでインスリンが過剰に発動し内臓脂肪の合成に繫がる。サラダを片付け、メインのおかずを食べた後、汁物とともに炭水化物をいただく。この食べ順を基本に。
血糖値を上げない食べる順番。
- 野菜
- タンパク質
- 炭水化物
食べ過ぎてしまったら効果的リカバリーで挽回。
一年365日、毎日規則正しい食生活を続けていけるくらいの自制心があれば苦労はしない。人間、どうしてもタガが外れることもある。でもそこで元の食生活に戻ってしまっては、これまでの苦労が水の泡。
やらかした後は、むしろラッキーと思ってほしい。効果的なリカバリー法を取り入れれば、以前より健康度を増すことだってできるからだ。その方法のひとつが「カロリーリストリクション」と呼ばれるもの。
これ、日本語にすると「カロリー制限」。なーんだと思うなかれ。これまでの食事よりカロリーを少々カットするとアンチエイジングを促す「サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)」が働き始める。サーチュイン遺伝子がオンになると新陳代謝が促され、血管や脳などの器官が活性化し、免疫力や生活習慣病の改善にも繫がるという話。もちろん、内臓脂肪が減少することは言うまでもない。
本来のカロリーリストリクションは糖質、脂質、タンパク質、ビタミネの五大栄養素のバランスを保ったうえでカロリーを30%カットする方法。だが、20%カットでも効果は期待できる。ご飯やおかず、汁物といったすべての食事を20%ずつ減らすだけでいい。普段ご飯を10口分食べているなら2口分減らせばよし。
食事のカロリーオフとともにひと駅分歩くといったウォーキングの習慣をつけるとより効果的だという。「Go Toキャンペーン」でもしハメを外してしまったら、3週間のカロリーリストリクションで挽回を図ってみてほしい。