身長と体重からBMIを割り出してみる。
揚げ物を週に4回食べているのに、「いや、油揚げは揚げ物じゃないし」とノーカウントにしてしまうのが人のサガ。というわけで、セルフチェック(詳しくはこちらの記事を参照)でまだ今のところ大丈夫と自己判定した人も、数値による肥満度チェックで体脂肪の現状に向き合おう。
指標となるのはご存じ、BMI。これは体重(kg換算)を身長(m換算)の2乗で割った数値。特別な機器が不要で身長と体重さえ分かれば割り出すことができるため、国際的な肥満の指標として用いられている。
筋肉のボリュームが人並み以上にあるアスリートの場合は、体重の重さで「肥満」レベルに当てはまってしまうこともあるが、一般人はまずこの指標が目安となる。
男女にかかわらず、18.5〜25未満までが標準、25以上は肥満。最も健康リスクが低いのは22とされているため、健康体重は身長の2乗×22。でもこれだと見た目はちょいぽちゃなので、美容的にはBMI20を指標にした数値を目指せばいい。
ちなみに、体脂肪計を使った体脂肪率による肥満の指標は下の通り。男性なら20%未満をキープすることが健康維持の条件だ。
まずは現状を把握。そして継続して量ることがより重要。数値の変化を観察することが、生活習慣の改善に役立つからだ。その際、同じ時間、同じタイミングで計測すること。朝7時トイレに行った後に量る、夜9時入浴後素っ裸で量るなど、1か月間続けてみよう。
内臓脂肪に要注意。 今すぐウェストの計測を。
若い頃より体重が明らかに増えていたら、体脂肪が増えたということ。これは確かにその通り。では、その体重を元に計算式で肥満と判明したら、健康が脅かされている? こちらは一概にそうとはいえない。というのは、ひと口に体脂肪といっても、増えてもあまり害のないものと健康リスクを直に高めるものがあるからだ。前者は皮下脂肪、後者は内臓脂肪だ。
脂肪を溜め込む脂肪細胞が単なるエネルギータンクではなく、ホルモンに似たサイトカインという物質を分泌する「器官」であることは、もう一般常識。通常であれば脂肪細胞はレプチンというサイトカインを分泌して食欲を抑制し、アディポネクチンというサイトカインを出して生活習慣病を防いでくれる。
ところが、中性脂肪をたっぷり溜め込んだ脂肪細胞は一転、不良化。逆に生活習慣病を促す悪玉サイトカインをバンバン出すようになる。で、サイズアップでより不良化しやすいのが内臓脂肪というわけなのだ。
一般的に女性は女性ホルモンの影響で内臓脂肪が溜まりにくく皮下脂肪を溜め込みやすい。一方の男性は内臓脂肪型肥満に陥る傾向が高い。
内臓脂肪は体重やBMIの数値では判定できないので、下のようにウェスト周径(ヘソの高さ)と血液検査の数値から危険度を割り出す。メタボ検診ではウェスト周径に加え、血液検査の数値が2項目当てはまる場合、メタボと診断される。その一歩手前、血液検査の数値が1項目でも当てはまったら予備群ということ。
カラダを守る体脂肪を最低限死守すべき。
ここまでさんざん体脂肪を目の敵にしてきたけれど、適正な量を維持している分には話は別。体脂肪は大事な役割を果たしてくれている。
まず、飢餓状態に陥り、筋肉や肝臓のグリコーゲンが激減したときには体脂肪がエネルギー源になってくれる。日常生活ではまずありえないが、災害時の食糧不足下では命の綱だ。断熱材にもなるので体温の維持にもひと役買ってくれるし、衝撃から身を守るクッションにもなってくれる。さらに、アディポネクチンなど病気を防ぐサイトカインの分泌器官であることは前述した通り。
このように、いざというとき身を守ってくれるとあれば、必要最低限の体脂肪はむしろ不可欠。体脂肪率でいうと、男性なら10%、女性なら20%を切らないよう心がけたい。健康を保つという意味では、ハードな筋トレで追い込み、体脂肪率1ケタを目指す必要はまったくないのだ。
ちなみに過度な運動は運動不足より免疫力を低下させるというデータもある。体温維持装置の脂肪が少なくなって低体温となること、ストレスホルモンのコルチゾールが分泌されて白血球の数を減らしてしまうことなどがその原因だ。
男性の場合、40歳過ぎたら12%程度の体脂肪率をキープすることが、健康維持の秘訣といってもいい。