アルコールを摂取すると食欲が増すのはなぜ?| 年末年始とお酒④
管理栄養士・漢方アドバイザーの安藤有子さんに聞く、「お酒との付き合い方」シリーズ。今回は、アルコール摂取と食欲増加の関係性について。
取材・文/石川優太、村上広大 イラストレーション/加納徳博 監修/安藤有子(管理栄養士、漢方アドバイザー)
飲み会に参加すると、いつも以上に凄まじい食欲を発揮したことはないだろうか。思うに、アルコールの摂取と食欲増加はイコールの関係性である。実際、関係あるの?
酔うと麻痺する満腹中枢。
「飲み会で食べ過ぎてしまう原因は、酔ってしまうと脳の視床下部にある満腹中枢が麻痺してしまうからです。視床下部には摂食中枢と満腹中枢の2つの中枢があり、胃が空っぽになったときは摂食中枢が働き食欲がわきます。一方で、満腹中枢は食事によって血液中にブドウ糖濃度が上昇することに反応し、摂食を抑える働きをします。満腹中枢が麻痺するということは、摂食中枢が働き続けてしまうこと。その結果、食欲を増進させてしまうのです」
一番の対策は、お酒を飲む前にある程度お腹を満たしておくこと。夜に飲み会の予定がある場合は、朝・昼の食事を抜かずに量を少し減らしてでも食べておくことが、ドカ食いの対策となる。
お酒を飲むことで普段よりもカロリーがプラスされてしまうため、可能であればごはん物の炭水化物を摂らないようにするなどカロリー調整も意識したい。
胃腸への負担はカラダを蝕む。
では、食べ過ぎてしまったときの胃腸への負担はどの程度なのか。
「腸で処理できなくなった食べ物は消化できずに下痢になります。 過剰な食べ物によって必要以上に胃腸を働かせることに血液は集中し、他の器官をめぐるはずの血液の流れが滞ってしまう。翌日は疲れが残り、だるかったり、頭がぼーっとしたりするでしょう」
うまく排泄ができない体質だと、カラダの中に老廃物が溜まる懸念もある。加えて、血流悪化・老廃物の蓄積による肌トラブルにも注意が必要だ。口内炎、ニキビ、吹き出物ができてしまう。胃腸への負担は、想像するだけでゾッとするほど、カラダを蝕む。
飲みすぎたときのアフターフォロー。
飲み会の雰囲気とアルコールに呑まれ、後悔を抱えながら朝を迎えることもある。その場合はどうすればいい?
「自分が記憶している限りで構わないので、翌日は食事量を減らしたほうがいいです。とはいえ、一切食べないのはカラダによくありません。弱った胃には栄養があり消化のしやすい食べ物がオススメ。
アルコール代謝に必要な栄養素はビタミンB1です。お米はビタミンB1が豊富なので、うどんなど小麦製品ではなく、お粥や雑炊(おじや)を食べておくのがいいでしょう」
肝臓のサポートも忘れてはいけない。飲み過ぎによる肝臓機能の低下は、代謝の低下につながる。では、どのようにサポートすべきなのか。
「飲み会の翌日は肝臓がフル稼働していて、熱がこもっている状態です。その熱をとってあげるために、カリウムが豊富な食材を摂りましょう。生姜やシジミが代表的ですが、この季節にオススメなのは、水々しくさっぱりとした大根おろし。代謝には様々な栄養素が必要なので、余裕があれば柿やりんごといったフルーツをとってみるのもよいでしょう」
飲み過ぎないよう自制する努力はもちろんだが、難しければ、相応の工夫をする努力をしよう。
次回は、二日酔いにピッタリな食養レシピをご紹介。
安藤有子さん
教えてくれた人
あんどう・ゆうこ/ 管理栄養士・ペット栄養管理士・漢方アドバイザー。 大手食品メーカー、肥満外来でのダイエットサポート、各メディア監修を経て、 現在オクタウェルにて全国の管理栄養士のスキルアップに従事。