Q. 途中で歩きたくなったら?
A. 歩いてOK。息が整ったら走り出そう。
ランに慣れたら、途中で足を止めるのが嫌になる。勢いに乗って走り続けた方が、心地いいからだ。けど、それは一定のペースで快走できる中上級者ランナーのお話。
初心者は、苦しくなったら、信号機のない公園のコースでも、足を止めて歩いて構わない。走り始めたら、赤信号以外ではストップできないと思うと、大きなプレッシャーになる。いつでも歩けると思うとハードルが下がり、走り出すのが苦でなくなる。しばらく歩いて息が整ったら、また調子よく走り出そう。
初めは走る→歩く→走る…の繰り返しでOK。歩くときは散歩レベルのトボトボ歩きではなく、腕を大きく振った大股の速歩で。その方が、ランに切り替えやすい。
そのうち距離に対する不安がなくなり、歩く時間が徐々に短くなる。いずれ最初から最後まで、歩かずに走り通せるようになるだろう。
Q. 自分のフォームが気になる…。
A. 長い距離を走ると自然に矯正される。
ゴルフのスイングのように後天的に学んだものとは違い、走るフォームの基本は鬼ごっこに夢中だった幼い頃から無意識にインプットされている。大人が大きく変えようとしても、修正は難しい。
だから、無理にフォームを矯正するのではなく、最低限のポイントを押さえればいい。目線を高く保って背すじを伸ばす、胸を張って肩を引く、肘を後ろに引く、脚を股関節から動かす、足裏全体で着地するといったポイントだ。
これくらいは自覚できるし、これができたらフォームはほぼ合格。
フォームで意識すべきポイント
- 目線を高く保って背すじを伸ばす。
- 胸を張って肩を引く。
- 肘を後ろに引く。
- 股関節から脚を大きく動かす。
- 腰を落とさない。
- 足裏全体で着地する。
どうしてもフォームを最適化したいなら、週末などに8〜10kmと長めのランニングをしてみる。痩せラン(痩せるためのランニング)で大事なのは、速く走ることではなく、長く走ること。
8〜10kmと長い距離を走ると、トレーニングの内容に即した成果が得られる「特異性の原則」が働いて、長く走るのに適したフォームが身につく。あわせて重要なのは、翌日に2〜3kmでいいから、走ってみること。
「これは駅伝選手もやっている方法。まだ前日のフォームをカラダが覚えているうちに復習を行い、無意識レベルに刷り込んでいくのです」(フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さん)
Q. 三日坊主の過去がトラウマです。
A. 三日坊主は想定内。めげないで。
ダイエットもトレーニングも、初めは誰でもやる気満々だが、現実にやってみると、さまざまな障害や困難に直面する。おかげで2〜3回でモチベーションがダダ下がりになり、ついには続けられなくなる。こうして勢い込んで始めたランが、三日坊主で終わったとしても、自らを否定してはいけない。
「人は何かをやり始めても、1年以内におよそ8割がそれ以前の習慣に逆戻りするとされています。これは心理学で“逆戻りの原理”と呼ばれるもの。ランが続かなくても、自らをダメ人間扱いしないでください」
自らを否定すると、リスタートする意欲が削がれる。三日坊主になったとしても想定内。
走る→サボる→走る…を何度か繰り返しているうちに、少しずつランという運動に慣れるし、カラダが軽くなるといった前向きな変化が感じられるようになる。それが糧となり、いずれ三日坊主を卒業できるに違いない。
卒業後はランの優先順位が上がり、スケジュールに組み込みたくなる。予定表を俯瞰して走れそうな日を見つけたら、手帳やカレンダーにあらかじめ印を付けておくと続けやすい。
Q. 走るのが遅くて不安になる。
A. 遅いペースの方がむしろ痩せやすい。
痩せランに最適なペースは、「ややきつい」けど、笑顔で話せるニコニコペース。それ以上ペースアップしなくていい。ニコニコペースは、走力や体質に応じて速さが異なる。ベテランランナーには1km5分(時速12km)がニコニコペースかもしれないが、初心者ランナーなら速くても1km6分(時速10km)くらいだろう。
それでも走った距離が同じなら、ベテランでもビギナーでも消費するカロリーはまったく同じ。遅く走っても、速く走っても、痩せラン自体の効能は変わらないのだ。
むしろゆっくり走った方が、運動強度は下がるから、エネルギー源として体脂肪が使われる割合は高くなりやすい(詳しくはこちらの記事を参照)。頑張ってペースを上げる努力をするより、そのスピードを維持しながら月間走行距離を延ばすように心がけた方が痩せやすいのである。
ランを続けると、トレーニング効果で走力は確実に向上。ニコニコペースが知らない間に速くなってくる。ニコニコペースがスピードアップすると、時間当たりの消費カロリーも増える。焦りは禁物だ。