運動で疲れるのは、カラダではなく脳だった!?|専門家に聞く「疲労の正体」vol.1
どうして人間は疲れるのか? 頑張る男子くすぶりくんの漫画と疲労の専門家・梶本先生の解説をテーマごとに読めば、謎が解ける! 今回のテーマは、生命活動を調整する自律神経と疲労の関係。はて、疲れるのはカラダ? それとも脳?
取材・文/石飛カノ イラストレーション/沼田光太郎
初出『Tarzan』No.797・2020年10月8日発売
運動で疲れるのは、カラダではなく脳。
くすぶりくん(以下:く) というわけで先生、最初は10km走ろうとしたのに、途中で疲れて全然走れませんでした。
梶本修身先生(以下:梶) くすぶりくん、走った日は暑くなかったですか?
く そういえば、季節外れの夏日でした。
梶 いつもは普通に10㎞走れるんですよね。
く ええまあ、それなりに。
梶 運動量は同じなのに今回は走れなかったのは体温調節で疲れてしまったからです。
く 体温調節、ですか?
梶 呼吸がハアハアするのは体内の温まった空気を外に出すため。発汗もそうです。そういう体温調節をしているのが脳の自律神経です。ちょっとそのへんを小走りしてみてください。
く (小走りして)こうですか?
梶 それだけでも心拍が速くなって呼吸が上がりませんか?
く ふぅ。そうですね。
梶 心拍も呼吸も自律神経が調節しています。つまり、運動するとき一番頑張らなきゃいけないのは脳の自律神経なんです。暑い日に運動すればなおさらです。逆にカラダにはほとんど負担はかからないんですよ。
く じゃあ疲れてるのはカラダじゃなくて、脳ってことですか?
梶 その通り。とくに自律神経の中枢である視床下部と帯状回と呼ばれる部分の前部です。ごく一部の運動、登山とかボクシングとか筋肉を挫滅させるような運動でなければカラダが疲労するということは滅多に起きません。
く ザメツってなんか怖い響きです…。ジョギング程度じゃカラダは疲れないんですね。走った帰りにマッサージに行ってなんか損したかも。