最新トピックスの「出汁痩せ」ってホント?|「噂のダイエット」の真偽をただす!
巷にあふれる夢のようなダイエット・メソッド。それ、本当に信頼に足るものだろうか? ここはひとつ信頼できるスペシャリスト、フィジカルトレーナーの坂詰真二さんと管理栄養士の貴堂明世さんに検証してもらうことにしよう。今回は、「出汁ダイエット」の真偽をただす!
取材・文/黒田創 イラストレーション/ホセ・フランキー
初出『Tarzan』No.795・2020年9月10日発売
「出汁痩せ」は最新トピックスのひとつ。果たして真偽のほどは。
昨年あたりから簡単なダイエット法として「出汁を飲むだけダイエット」が話題になっている。概要を抜き出すと、鰹節と緑茶、煮干し、刻み昆布の粉末を合わせた出汁を一日に大さじ1杯、150ccほどのお湯で溶かして飲むだけというメソッドで、自然と味覚が薄味に慣れ、日頃摂りがちな濃い味付けを控えるようになる、というもの。濃い味を控えればコレステロール値の改善や中性脂肪を減らすことにつながるというわけだ。
ただし、鰹節も煮干しも刻み昆布も、すべて一度粉末にしないといけないのが出汁じゃなくてミソ。それって家でも簡単にできるの?という素朴な疑問が残ってしまうのだ。
鵜呑みにするのは考えもの。
「出汁でもスープでも水分を摂ることはダイエットに欠かせませんが、出汁そのものに脂肪を減らす二次的効果がもしあるとしても一次的(直接的)効果はないでしょう。昨今のダイエットは医師が勧めるケースが多いですが、医師は栄養や運動の専門家ではありません。つまり「お医者さんが言うのなら」というだけで飛びつくのは早計です。残念ながら無理な食事制限、効果的でない運動を指南する方もいます」(坂詰さん)
「出汁で痩せる」は言い過ぎ。
「薄めの出汁の味に慣れ、味覚をリセットする点ではおすすめしますが、痩せるか否かは普段の食事のエネルギー量に依存します。高齢者やもともと小食の方ならまだしも、そこから減量効果を謳うのは少々飛躍があるかと。また、かなり手間暇かけて出汁の粉末を作る必要があり、仕事が忙しい方には難しい注文です。だったら、普段からきちんと出汁をとった味噌汁やおいしい緑茶を飲む方が現実的ですし、味覚も変えやすいですよ」(貴堂さん)
「長きにわたり医学的根拠を追求し、最新の運動理論を学んできたので、軽いノリで流行るダイエット法には警鐘を鳴らしたい思いが昔からあります。特に昨今、詐欺まがいの広告などから間違った情報がSNSで拡散するケースが多いので注意深くチェックします!」(坂詰さん)
「栄養学の基本をおろそかにした食べ方や“摂るだけダイエット”は長続きしないし、やり方次第では健康被害をもたらします」(貴堂さん)
痩せようとしてカラダを壊しちゃ元も子もない。飛びつく前に、一度は冷静になるのが正解。