なぜグルタミンとビタミンを摂ると、免疫力の低下を防げるのか
免疫力の低下を防ぐために摂りたい注目の栄養成分が、グルタミンとビタミン。カラダのなかでどのように作用し、どんなサプリ、食材から摂ることができるのかを解説する。
取材・文/井上健二 イラストレーション/三宅瑠人 取材協力/桑原弘樹(桑原塾、コンディショニングスペシャリスト)
初出『Tarzan』No.794・2020年8月27日発売
マスク、手洗い、グルタミン。
コロナ禍でバカ売れしたアミノ酸があるそうな。それはグルタミン。
「僕が通うジムでは、“マスク、手洗い、グルタミン”という張り紙があったくらいです」(コンディショニングスペシャリストの桑原弘樹さん)
グルタミンが人気なのは、免疫低下を食い止める効果が期待できるから。活躍の舞台となるのは、小腸だ。
食べ物が体内に入る玄関は、口ではなく小腸。小腸では、最終的な消化吸収が行われて、必要な栄養素が吸収されている。そこで栄養素に紛れて侵入しようとする外敵を水際で叩くために、全身の免疫細胞の7割ほどは腸管に集まる。
小腸を作る細胞の主要なエネルギー源となるのは、ほかならぬグルタミン。グルタミンが足りないと、小腸の細胞の活動が下がり、免疫細胞が十分に作り出せなくなるケースも考えられる。
アミノ酸には、体内では合成できないため食べ物などから摂るべき必須アミノ酸と、体内で合成できる非必須アミノ酸がある。グルタミンは合成できる後者なのだが、疲労時などには消耗度が半端ないため、一時的に欠乏して免疫力ダウンを招く恐れがあるのだ。
グルタミンを摂るならサプリから。1回5gを起床時と眠る前に摂ると、血中のグルタミン濃度が維持されて、免疫力が下がる心配がなくなる。
ビタミンで免疫細胞を守り、防御力をアップ。
ビタミンは免疫力の低下を防ぐ。その担い手はビタミンエースといわれるA+C+E、それにビタミンD。ビタミンエースには抗酸化作用があり、免疫で働く白血球を活性酸素による攻撃から守ってくれる。
加えてビタミンエースは、それぞれ個性的な役目を果たしている。ビタミンAは、ウイルスなどの侵入者を水際で追い返す粘膜を丈夫に保つ。ビタミンCは、細胞が分泌するインターフェロンの合成に必須。インターフェロンは白血球でも合成され、自然免疫の主役であるNK細胞でも作られる。ビタミンCは免疫の守り神だ。ビタミンEは、粘膜で守備に就くIgAという抗体を酸化から守る。
「VEは活性酸素と相打ちとなり、VEラジカルとなり、自らが有害な酸化物質となります。このVEラジカルを正常に戻してくれるのが、VCとCoQ10です」(桑原さん)
VDは、免疫力全般を調節している。日光を浴びると皮膚でコレステロールから合成されるが、日焼けを嫌がる現代人はVDが不足気味。5年ぶりに改定された「日本人の食事摂取基準(2020年版)」でも、VDの摂取目安量は主要なビタミンでは唯一増やされている。これらビタミンとCoQ10が食事で十分摂れないならサプリで摂ろう。