入浴中のストレッチは、熟睡に一役買います

バスタブは絶好のストレッチギアである。一日の疲れを癒やすバスタイムに、1つでも2つでもゆっくり行えばその晩は良質の睡眠が待っている。

取材・文/井上健二 イラストレーション/山崎真理子 監修/清水忍(IPF代表)

初出『Tarzan』No.793・2020年8月6日発売

お風呂×ストレッチは良質な睡眠への近道。

ストレッチの鉄則その1は、カラダが温まった状態で行うこと。ならば、バスタイムこそはベストタイミング。ことにお薦めなのは、バスタブ内で行うスタティック・ストレッチ。

湯船で芯からカラダを温めるには、39〜40度程度のぬるま湯に15〜20分ほど入ると効果的。その間をストレッチタイムに充てると時間が有効活用できる。

都市型のマンションなどではバスタブもコンパクトだが、それはむしろストレッチに有利。「小ぶりのバスタブに足を乗せたり、手をかけたりすると、ストレッチのポジションが作りやすいのです」(スポーツトレーナーの清水忍さん)。

1つからでも、全部でもOK。バスタブ・ストレッチ9選。

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太腿後ろ(ハムストリングス)

ハムストリングス

バスタブの縁、もしくは壁に片足を上げて膝を伸ばす。両手でバスタブの縁を持ち、胸を張って背すじを伸ばしたまま、前屈して太腿後ろ側を伸ばす。左右各30秒。※前屈時に背中が丸まらないように。前屈の角度は浅くても背すじを伸ばすことを優先。

お尻(大臀筋)

大臀筋

左のくるぶしを立てた右膝の上に乗せる。両手でバスタブの縁を持ち、胸を張って背すじを伸ばしたまま前屈する。左の下腿は両肩と平行にキープしておく。左右各30秒。

上背(僧帽筋)

僧帽筋

両膝を立ててバスタブに坐ったら、右手でバスタブの左側後方の縁を握る。右腕を伸ばし、上体を右側に押し出すようにひねり、右側の上背を伸ばす。左右各30秒。※バスタブを持つ位置が前方になると効果が下がる。できるだけ後方を持つようにしたい。

胸(大胸筋)

大胸筋

バスタブ内に両膝をついて立ち、両手でバスタブの後方の縁を摑む。左右の腕を伸ばして、肘を近づけるように胸を張り、視線をやや上に向けて30秒間キープする。

体側(前鋸筋)

前鋸筋

バスタブ内で正座をするように坐り、両手でバスタブの縁を摑む。肘を立て、胸を張りながら水面に向かい胸を押し込む。前鋸筋は猫背だと凝りやすい脇の筋肉。30秒。

股関節(大臀筋)

大臀筋

バスタブ内で立ち、左足をサイドの縁に乗せる。両手で前方の縁を摑み、右足を内壁につけて滑らないように固定したら、左膝の内側にカラダを沈める。左右各30秒。

下背(広背筋)

広背筋

バスタブに坐り、壁側の肘を壁につける。上腕が床と垂直になり、肘の位置が頭の真上に来るようにしたら、肘を壁に強く押しつけて体側をストレッチ。左右各30秒。

肩関節(僧帽筋/広背筋)

僧帽筋・広背筋

中腰で立ち、両手を肩幅に開いてバスタブの前側の縁に伸ばす。膝を曲げながら、胸を張って背すじを伸ばし、両腕の間に頭を押し込み、肩まわりを伸ばす。30秒。

太腿内側(内転筋群)

内転筋群

バスタブの内側の壁にカラダを向け、両足を大きく開いて四股を踏むように腰を深く下ろす。両膝を内壁に強く押しつけ、太腿の内側を伸ばして30秒保つ。上体は垂直。

水シャワーで高まる温熱効果。

途中で暑くなったら、バスタブの外に出てひと休み。足に水シャワーをかけて火照ったカラダをクールダウンすると、温熱で広がった血管が縮まる。これを何度か繰り返すと、お風呂の温熱効果がさらに高まり、全身の血液循環が活発化する。

ただしバスルームは滑りやすいので、転倒の防止には細心の注意を払いたい。