「ペッ」と吐き出すのはもったいない? 5つのマル秘成分を解き明かす、スイカ学
夏到来。遊んで騒いで…が難しい今年は、家で過ごす時間が多いはず。旬のスイカを齧りつつ、その栄養価を学ぼう。水分が約90%を占めることもあってさっぱりした味わいだが、実は栄養豊富だ。
取材・文/門上奈央 撮影/北尾 渉 イラストレーション/高橋潤
初出『Tarzan』No.793・2020年8月6日発売
筋力の増強も期待できる!
「最たる特徴は“スーパーアミノ酸”とも呼ばれるアミノ酸の一種、シトルリンを多く含むことです」と、100年以上スイカの研究を行う萩原農場の萩原佑介さん。
「一酸化窒素の産生を促すシトルリンには血管の拡張作用があるとされます。血流改善や疲労回復、筋力の増強などを期待できます」
水分や糖分の補給も兼ねて運動前後にスイカを食べてもよさそうだ。管理栄養士の河村玲子さんが注目した栄養素はリコピン。
「抗酸化成分のリコピンが豊富なので、運動により発生する活性酸素を除去する点でも『ターザン』読者にいいですね。米国農務省のデータによればトマトの約1.5倍ものリコピンを含んでいます」
実際アメリカのスイカは赤みが強いが、スイカから多くのリコピンを摂れるのは確か。
「リコピンは、夜より朝に摂る方が有効活用されるので朝食にするのがおすすめ」(河村さん)
お肌の健康維持にも。
また緑黄色野菜か否かの基準となるβカロテンをスイカは多く含むことも特筆すべき点。
「可食部100グラム中600マイクログラム以上のものが緑黄色野菜に分類されますが、スイカはなんと830マイクログラムも含みます」(河村さん)
「βカロテンは体内でビタミンAになります。皮膚の健康維持や視機能の改善にも」(萩原さん)
長時間の動画観賞で疲れた目をスイカがいたわってくれそうだ。汗を大量にかいたら体内のミネラルも失われてしまうが、スイカはカリウムも多く含む。スゴいぞ!!
「血中の免疫細胞増加にも働くビタミンCも摂れます」(萩原さん)
「1食の目安量は約500グラム(S玉4分の1カットほど)。200キロカロリー以内ですので間食にも許容範囲かと」(河村さん)
夏の風物詩を侮るべからず。