疲れの原因には「動物性タンパク質」で対処する。
コウヒロウ先生(以下、コ) こんにちは。どうしましたか?
患者 この頃、疲れがなかなか取れなくて。テレワーク続きでぐったりして仕事のケアレスミスが多くなってしまいます。
コ 在宅勤務はメリハリをつけにくいですからね。40歳というと働き盛りですが、お仕事はかなりお忙しいようですね。
患者 中間管理職で上にも下にも何かと気を遣います。パソコンの前で早朝から夜遅くまで目一杯働いています。土日や休日の労働も当たり前の状態で。
コ うーん、典型的なニッポンのサラリーマンですね。ズバリ、言いましょう。Aさん、あなたのカラダは酸化しています!
患者 ええっ! さ、酸化!?
コ 私たちのカラダや脳はエネルギーを使うときに必ず酸素を使います。そのうちの数%は活性酸素に変換されます。この活性酸素が悪さをして、疲労や老化、がんなどを引き起こすのです。
用語解説[活性酸素]
大気中の酸素分子が反応性の高い化合物に変化したものの総称。スーパーオキシド、ヒドロキシルラジカル、過酸化水素、一重項酸素などがその代表格。
「活性酸素は細胞を傷つけてがん化させたり、体内のタンパク質を傷つけて老化を促します。それからコレステロールの酸化を促すことも活性酸素の大きな害。コレステロールは酸化されてはじめてアテロームという脂肪の塊を血管内に形成します。ということで、食品から抗酸化作用のある物質を摂ることが推奨されているのです」(日本獣医生命科学大学教授・西村敏英さん)
患者 がーん!
コ おっ、ヘトヘトでもダジャレを言う元気は残ってますね。
患者 ダジャレじゃありません! 先生、一体どうしたら?
コ 抗酸化作用のある栄養素を食品から摂ることが重要です。たとえば、ビタミンAやビタミンC、ビタミンEは強力な抗酸化作用があるビタミンです。
患者 聞いたことがあります。他にも赤ワインのポリフェノールとかお茶のカテキンとかにも抗酸化作用があるんですよね、コウサンカ、じゃないコウヒロウ先生!
コ はい。よくご存じですね。でもそれだけではないんです。豚肉にも抗酸化作用があるということ、知っていますか?
患者 豚、ですか?
肉由来のペプチドには強力な抗酸化作用あり。
コ 豚肉のタンパク質の抗酸化作用を調べた実験があります。それによると、ビタミンCやEに劣らない抗酸化作用があることが分かっています。
タンパク質の結合を細かく切断したものをペプチドといいますが、そのペプチドの状態になると抗酸化作用がさらに高まるのです。
用語解説[抗酸化ペプチド]
ここで言う食肉に含まれる抗酸化ペプチドはカルノシン、アンセリンといったペプチドのこと。
「理由は分かっていませんが、タンパク質より分子が小さくなったペプチドの方が抗酸化力が高いことが分かっています。マウスにストレスをかけると胃の中で次亜塩素酸ラジカルという活性酸素が発生して胃潰瘍ができます。そのマウスに豚肉由来のペプチドを与えると抗酸化作用によって胃潰瘍が軽減されるという結果が出ています」(西村さん)
患者 じゃあ、豚肉をせっせと食べれば疲労回復に?
コ 正確に言うと、回復ではなく予防ですね。それと、抗酸化ペプチドは豚肉だけに含まれるのではありません。牛肉もタンパク質の構造は変わらないので、同様の効果が期待できると思います。鶏肉や魚肉にも抗酸化ペプチドは含まれています。
患者 しまった〜! 言われてみればここ最近、疲れのあまりおかゆとかうどんばっかりで肉も魚も食べてなかった!!
コ それぞれのタンパク質食材には異なる栄養素が含まれているので、バランスよく食べてくださいね。