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申し込む前に! 健康診断について知っておくべき5つのこと

そもそも毎年なんとなく受けている健康診断って意味あるの? 人間ドックは? そんな疑問にアンサー!

Q. 本当に健康診断でいいの?

A. 自己負担が少ない健康診断は受けて損ナシ。

そもそも健康診断とは、企業側に実施が義務付けられている「一般健康診断」と、全国の自治体が実施している「特定健康診査・特定保健指導」の大きく2つに分けられる。

「一般健康診断」には、雇い入れ時、特定業務従事者、海外派遣労働者、給食従業員に向けた特別な健診もあるが、ここでは労働時間が正規従業員の4分の3以上の者(パート含む)に対して義務付けられている「定期健康診断」を対象に話を進めたい。

「健康診断は現状なんの痛みや症状もない人が隠れた病気を見つけるための制度であり、病気の予防、究極的には寿命を延ばすことが最終的なゴールです。健康診断を受けるべきか否かについての議論もありますが、健康へ近づくことは確率的に確か。信号無視をしても事故に遭わない人もいれば、赤信号を守っても事故に遭う人がいるのと同じように、人には体質があるため一概にどちらがいいとは言い切れない。けれど、健康診断は義務付けられているうえに費用も企業負担。受けておいて損はありません」(大竹真一郎先生)

企業に属さない個人事業主、専業主婦・主夫、アルバイトなどは、40〜74歳までの公的医療保険加入者全員を対象とした市町村などの「特定健康診査」で、企業の健康診断とほぼ同じ項目が受けられる。

Q. 施設はどうやって選べばいい?

A. 信頼できそうなかかりつけ医を見つけることが先決。

企業で健康診断や人間ドックを受ける場合は、施設を選択できることも多い。しかし、選択肢がない場合は何を基準に選べばよいのだろう。

「まず選択肢がある場合は、実際に健診を受けたことがある先輩や同僚に施設の雰囲気医師の対応を聞くのも一つ。選択肢がない場合は、信頼のおける担当医がいるかどうかで判断するといいでしょう」

信頼のおける医師の基準とは、”治療のゴールを明確にしてくれるかどうか”であるという。

「たとえば、健康診断の結果で中性脂肪の数値が基準値よりも高かったとします。そこで中性脂肪を下げる薬を出されるようであれば、医師に対して一考の余地あり。

というのも、中性脂肪の数値を下げる目的はあくまで心筋梗塞や脳卒中のリスクを下げることですが、薬でそれらの罹患率を下げるデータは出ていません。

つまり、目先の数値を下げることは自己満足でしかない。検査結果による将来のリスクを十分に理解して、健康につながるようなアドバイスや、なぜこの治療をするのかきちんと説明してくれるのが本物の医師です」

Q. 人間ドックはどうなの?

A. 過剰診察を受けないよう正しい知識で取捨選択を。

人間ドックとは、健康診断でカバーしきれない無自覚の病気を早期発見するための任意の検査。一見自由そうだが、本人の意思で受診するところに落とし穴があるという。

「人間ドックは検査項目が多数あり、施設によって値段もピンキリ。そのため、どの施設でどの検査を受けるべきか悩む人がほとんどです。そこにつけ込まれ、言われるがままに不必要なオプションを付けてしまうことがよくあります。検診は受ければ受けるだけいいというものではありません。必要のない検査によって病気でなくても病気と見なされるケースや、過度の放射線被曝などで最悪の場合は新たに病気が発症することも。そうなれば患者さんの負担になるだけでなく、医療費の無駄遣いにもつながります」

では、必要・不必要な検査を見極める方法は?

「まずは自分自身で正しい知識を持つこと。または、信頼できる医師にカスタマイズしてもらう。高級ホテル、温泉付き、豪華ランチなど関係のないオプションに惑わされず、見極めることが大切です」

Q. ズバリ、受けるべき検査は?

A. 国が推奨する5大がん検診は時期を見て受診を。

前述の通り健康診断や人間ドックの目的は、症状が表れていない病気を早期発見し、適切な治療により健康を保つこと。そう考えると、やはり進行する前に発見しておきたいのが、男女ともに日本人の死因第1位である「がん」である。

年代別・受けるべきがん検診
年代別・受けるべきがん検診
胃、大腸、肺がんは性別問わず受診したい項目。乳がん、子宮頸がんは女性を対象としている。自治体の制度などを利用して、タイミングを見定めて受診しよう。

「早期発見・早期治療が有効とされるがんは5つ。男女共通で大腸肺がん、そして女性が対象となる子宮頸がん乳がんです。国が推奨するこれら5つのがん検診は人間ドックでも受けられますが、対象年齢になると各自治体でも受けられます。ただし自治体によって通知方法や費用に差があるため、自分が住む町の制度を確認しておきましょう」

死因第1位のがんの後には、心疾患老衰脳血管疾患と続く。

「心疾患と脳血管疾患を起こしやすくする危険因子には、高血圧、脂質異常症、糖尿病などがあります。それらの異常を発見するのが、健康診断。定期的に受けることで病気のリスクは下げられるでしょう」

Q. 実は、受けなくてもいいがん検査は?

A. がんの早期発見には有効といえない検査もあり!

合理性がない過剰診療を避けるためにも、本当に必要か見極めなければならない検査をご紹介したい。

ちょっと待った!の検査BEST3
がんの拾い上げという意味では「ストップ!」といえる3つの検査。だが、状況によっては有効といえる場合ももちろんある。「腫瘍マーカー」は、がんの診断を受けた人の治療の判定や再発の評価に、「PET-CT」はがん患者の治療方針を決める検査として、「血清アミラーゼ」は膵炎の診断に役立つ。

「不必要といえる検査のなかで、最たるものが『腫瘍マーカー』。これは胃・肺・大腸などどのがんでも数値が上昇するため、結局全部の項目で再検査が必要になる。それなら最初からそれぞれの検査を受けた方が、カラダへの負担は少ないですよね。さらに、がんでなくても喫煙者などは数値が上がることもあります」

続いて、がん細胞の活動状況を光とCT画像で知る「PET-CT」

「がん患者のうち、PETで拾い上げられたのは15%のみというデータが出てます。ガイドラインにもがんを見逃す検査だと明記されています」

ラストは膵臓がんの有無を調べるための「血清アミラーゼ」

「アミラーゼは膵臓が壊れた時、つまり痛みがあるだけ数値が上がってくるもの。そんな時は医療機関へ急ぐべき。予防にはなりません」

いずれもがんの早期発見という観点からすると不必要だといえそうだ。

取材・文/黒澤祐美 イラストレーション/安ヶ平正哉 取材協力/大竹真一郎(おおたけ消化器内科クリニック院長)

初出『Tarzan』No.784・2020年3月26日発売

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