思わず見惚れる細マッチョ「ボクサー・ボディ」の作り方
ライトフライ級世界王者・寺地拳四朗さんは、鍛え上げられた究極のカラダの持ち主。どんなトレーニングしてるのか教えてほしい!
取材・文/石飛カノ 撮影/小川朋央
初出『Tarzan』No.781・2020年2月13日発売

ある1日のトレーニングメニュー
- 10kmラン……1時間
- 筋トレ(自体重、マシン、フリーウェイト)……30分
- ボクシング(サンドバッグ、ミット、スパーリング)…… 2時間
- 10kmラン……1時間
練習はオフでもランニングは欠かさない。その目的はダイエット。
「何もしていないと太りやすい体質。今、めっちゃ太ってます」
現役日本選手では最多防衛を誇る世界チャンプは、屈託なく笑う。ライトフライ級のリミットは48.9kg。試合に臨むときの体脂肪率は約8%。
「今の体重は58〜59kg、体脂肪率は15%くらいだと思います」
なんと、体重にして約10kg、体脂肪率はおよそ倍の変動率。というのも、この取材のタイミングは2020年1月初旬。前年末に行われた7度目の防衛戦の勝利直後。連日の祝勝会で食事量が増え、練習は完全オフという時期だった。
「太るのは一瞬ですよね。なんでなんですかね?」

と言いながら、毎回、計量は一発でパス。バキバキのカラダにきっちり仕上げてくる安定感がある。少し前までは早めに行っていた水抜きも計量2日前からに短縮し、より効率的に減量ができるようになったという。
「体脂肪率を測るようになってから減量が楽になりました。調子がいいときは1週間で体脂肪率2%くらい落とせます。脂肪の重さにしたら1kgくらいですかね」
体重コントロールのベースとなっているのはランニング。試合後の完全オフの時期でも毎日10kmの距離を1時間かけて走る。
「減量中は練習前と練習後にそれぞれ10kmのランニングをします。長距離ばかりではなく、400mや800mダッシュをして心拍数を上げて走ることもありますね。もともと走るのは得意だし、まったく苦ではないです。ボクシングのスタミナをつけるというより、ダイエットをする感覚でゆっくり走ってますね」
土台なくして家建たず。カラダづくりのプロはそれを熟知している。
パンチの破壊力は肩甲骨を意識した筋トレで養う。
対戦カードが決まり本格的な練習が始まると、ランニング後の筋トレが日課となる。
「トレーナーに教わった種目を試合の1か月前くらいまで行います。その日の気分によりますが、自体重、マシン、ダンベルと、行う種目は大体決まってます。種目名? ええと、何て名前なんだろう?」
というわけで、実際トレーニングをしながら解説してもらうことに。
まず自体重トレのプッシュアップ。
「筋トレの目的はボクシングで使う筋肉をメインに鍛えて、パフォーマンスアップを狙うこと。とくにパンチの破壊力に関わる肩甲骨まわりが大事です。腕立て伏せも肩甲骨まわりを使って行います」

肩甲骨の可動域はハンパない。寄せた肩甲骨の間に何かを挟めそう。
懸垂やダンベルプレスでも肩甲骨の動きを意識。マシンでのレッグプレスでは脚の踏ん張り機能を磨く。
「デビューしたときはヒョロヒョロ体型。筋トレでカラダを大きくしたらパンチも打ちやすくなって見栄えもよくなりました。見栄えは大事。結果が出て鏡見る回数が増えると頑張ろうという気になります。今? 鏡を見たくないです。ヤバいっすよね〜、どうしましょう?」
スタミナはボクシングの動きで十二分に養える。
ランニングと筋トレの後はいよいよ本丸、ボクシングの練習を2時間かけてみっちり行う。

「ボクシングのスタミナを養うには、やはりサンドバッグ、ミット打ち、スパーリングなどのボクシング練習が一番効果的。個人的には動かないサンドバッグを打つより、相手がいるミットやスパーリングの方が好きです」
軽快なステップで相手を翻弄し、フックやカウンター、強烈なボディで仕留めるという典型的なアウトボクシングスタイル。サンドバッグを打つときの目にも留まらぬステップに動体視力が追いつかない!
「スタミナには自信があります。試合の前半、こっちのステップについてこようとすると大体、相手が疲れてきて自滅します。意識的にそれを狙っているところはありますね」
ベビーフェイスに騙されちゃいけない。したたかな勝負師の一面が垣間見えた。

「今、28歳ですけど20代前半に比べて体力が落ちたとは全然思いません。筋トレでカラダも大きくなったし、KOも増えた気もするし、むしろ右肩上がり。あと2年で具志堅用高さんの13連覇の記録に並びたいと思います」
今後2年、刮目して見るべし!