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【細マッチョへの近道】短距離ランのフォームと4つの基礎知識

ジョギングぐらいはしたことあるけど全力疾走するなんて何年ぶりだろう? そんな方は特によく読んでください。短距離と長距離ではこんなにフォームが違うんです。

そもそも、フォームが違う。

短距離ラン+筋トレが細マッチョへの近道だというのは、この記事で解説している。では、短距離と長距離でどんな違いがあるか見てみよう。

スプリントの走りとマラソンの走りではフォームが大きく異なり、カラダの使い方も違う。

マラソンでは、腕振りは小さいし、ストライド(歩幅)も広くはない。そして、上体は垂直かやや前傾する程度。すべてエネルギー消費を抑えて長時間走れるようにデザインされた非常に効率的なフォームになる。

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長距離ランニングのフォーム
前傾が少ない。ストライドが狭くてピッチが少なく、重心の上下動が最小限に抑えられるので疲労が少ない。短距離に比べて下半身の動きが小さいので、腕振りが小さくても上半身が安定する。重心の真下で着地するのはどちらも同じ。

長距離ランニングのフォーム
フォームは常に一定である。長距離ランでは、これが大切。いかに同じリズムを刻んでいけるかが、長距離の大きなテーマなのだ。背すじを伸ばして、重心の上下動を少なくするのが理想。すべてがエネルギー倹約のため。

ところが、スプリントは逆。ストライドは広くなり、腕振りも大きく力強くなる。また、スタート時には加速のために深い前傾姿勢となるし、加速後も長距離に比べて前傾状態が保たれる。瞬発力を発揮するために、こんなフォームになるのだ。

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短距離ランニングのフォーム
スタート時は前傾が深い。倒れ込むような体勢だからこそ、重力を利用して加速することができる。前傾したカラダと蹴り出した脚が一直線になるので力の伝達も合理的なのだ。上体だけの前傾では、加速しにくい。

短距離ランニングのフォーム
加速がついたら、スピードを殺さず持続させる必要がある。スタート時に比べると上体が起きるが、それでも長距離と比べると前傾していることがわかる。背すじをしっかり伸ばし、ストライドを広く保ったまま走る。

短距離ランは、故障と隣り合わせ。

スプリントのダイナミックなフォームは、大きな力を出す分だけリスクもある。カラダに負担がかかって、故障に繫がる可能性がマラソンより高い。準備不足のお父さんが運動会でいきなり走って肉離れというのは、非常によくあることだ。

だから、短距離ランでは安全性の確保がテーマのひとつになる。最初から全力疾走しないで、徐々に出力を上げていくのだ。そうすれば、カラダが走りに適応し、無理なく運動強度を上げて、短距離ランの恩恵を受けられるようになる。

その手順をこれから示し、具体的なトレーニング法に入っていこう。焦りは禁物! 紹介するプログラムを着実に実践すれば、2か月後にはきっと細マッチョなカラダになれる。ぜひ、やり遂げてほしい。

短距離ランニングを始める4つの基礎知識。

1. どこで走る?

川沿いのランニングコースや、高速で走ることが可能な公園を利用してほしい。トラックがあれば理想的。フラットな場所で、石ころなどの異物や凸凹がないところを選ぼう。スプリントは急に止まれないので公道はNG。

2. どんなシューズで走る?

短距離専用シューズは手に入りにくいので、ソールが薄くて軽い中上級者向けのマラソンシューズがオススメだ。短距離ランは着地の反発を生かして走るので、ソールの厚い初級者用マラソンシューズは不向きだ。

3. どんなウェアで走る?

ダイナミックなフォームで走る短距離ランの場合、腕や脚の激しい動作が制限されないウェアがよい。体幹の姿勢を正してくれるコンプレッションウェアも適している。正しいフォームを得やすいのだ。

4. どんなスピードで走る?

50mを10秒台で走ることから始める。女子マラソンのトップランナーがだいたいこのペースで走っている。これなら、決して無理な速度ではないし、まずカラダを痛めることもない。2か月かけて徐々に速度を上げる。

取材・文/鈴木一朗 撮影/山城健朗 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/村田真弓、中田真代 監修・指導/坂詰真二(スポーツ&サイエンス)

初出『Tarzan』No.781・2020年2月13日発売

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