プロレスラー・藤波辰爾さんに聞いた、肩こり・腰痛克服法
肩、腰に特段負荷のかかるその道のプロたちは、どのようにその不安を克服しているのか。
取材・文/神津文人 撮影/大内香織 撮影協力/ゴールドジム 表参道東京
初出『Tarzan』No.780・2020年1月23日発売
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プロレスラーの“職業病”。
「日本プロレス入門から今年で50年。半世紀になるわけだけど、半分以上は腰痛、ヘルニアとも闘ってきたということになりますね」
藤波辰爾さんの腰痛との闘いが始まったのは、1989年6月に行われたビッグバン・ベイダー戦。バックドロップを受けたことが引き金になり、腰に今までにはない激痛が走った。痛み止めの注射を打ちながら、その後も10試合ほど出場を続けたが、痛みはさらに悪化し長期欠場。復帰までに1年3か月を要した。
「腰痛に限らず、怪我や痛みっていうのはプロレスラーの職業病みたいなものだし、常にそういうものを抱えながら試合をこなしていたんだけれど、あの時は痛みと痺れで立つことすら難しい状況でしたから。病院の診断は椎間板ヘルニア。手術をしないという選択をして、安静と運動の繰り返し。なんとか動けるようになるまで時間がかかりましたよ」
全身の筋肉を落とさないこと。
復帰後も完全に痛みがなくなることはなく、腰痛と付き合いながらプロレスラー生活を続けた。
「2015年に脊柱管狭窄症と診断されて手術を受けるまでは、座薬を使いながらリングに上がっていましたね。若い頃は、腰にメスを入れたくないという気持ちがあって手術は避けていたんです。その分、腰椎に負担がかからないよう周囲の筋肉を鍛えることはよくやりました」
現在は最低週に3回ジムに通って有酸素運動と筋トレを行い、週に1度パーソナルトレーニングを受けている。腰の周囲の筋肉を落とさず、腹筋と背筋のバランスを崩さないことが彼の腰痛対策だ。
「プロレスで腰を壊したんだけど、プロレスのおかげで元気でいられるっていうのも間違いないんですよ。試合でファンに恥ずかしい姿を見せるわけにはいかない。だからこそ、この年齢になっても厳しいトレーニングを頑張れるわけです」