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バレエダンサー・宮尾俊太郎さんに聞いた、肩こり・腰痛克服法

肩、腰に特段負荷のかかるその道のプロたちは、どのようにその不安を克服しているのか。

リフトやジャンプは最大の見せ場。

「4年ほど前から、毎年5回はギックリ腰になっていました」

Kバレエ カンパニーでプリンシパルとして活躍する宮尾俊太郎さん。バレエにおいて男性が女性ダンサーを軽やかに持ち上げるリフトやジャンプは最大の見せ場のひとつ。と同時に男性ダンサーにとってそれは腰に最大の負荷がかかる瞬間でもある。

「膝の怪我から来る左右のボディバランスのずれが原因だと思っていました。治療をすれば良くなるけれど、新しい作品に取りかかるたびになってしまうのは死活問題」

こう見えて、僕の第1頸椎ユルユルです。

自身の肉体と常に対峙してきた宮尾さん。あらゆる研究の末辿り着いたのがアレクサンダー・テクニークとピラティスを組み合わせた井手利江子先生のボディワークだったそう。

「第1頸椎周辺の盆の窪と呼ばれる場所の脱力を意識して生活するだけで、ギックリ腰を完璧に克服することができたんです!」

その上、意識的に脱力することでカラダがストレスを感じなくなり、心身ともにすこぶる快調、とも。

「踊っていても背骨の動きが全然違うのが分かります。人は緊張やストレスを感じた時、無意識に肉体が反応して必ず力が入ってる場所があります。そこの力を意識的に抜いておくことで、人間本来の骨格を生かした効率的なパフォーマンスが引き出せるそう。以来、稽古前に欠かせないストレッチでは、とにかく脱力を意識しています。力まずに30秒キープ。息をしっかり吸って吐き切ることもポイントです」

宮尾俊太郎さんのMY克服法。

1. 第1頸椎周辺を広げる感覚で脱力。

バレエダンサー・宮尾俊太郎
意識するのは耳の穴からまっすぐ指を伸ばした首筋の窪んだ辺り。目をつぶってその周辺を軽くさすりながら顎を引く。窪み辺りのスペースを広げていくような感覚で力を抜く。

2. 大腿四頭筋の前面をゆっくり、じんわり伸ばす。

バレエダンサー・宮尾俊太郎
片膝をつき、腿の前面から脇腹の腹斜筋までを意識しながら大きくストレッチ。壁に足の甲をつけるとよりじっくり伸ばせる。

3. 腰をひねって上体を開き、ハムに効かせる。

バレエダンサー・宮尾俊太郎
左右の膝を重ねるように座って脚を組む。上体をひねって肘で膝を押し出すようにして中臀筋から腸腰筋を伸展。息はしっかり吐き切る。

4. 爪先、太腿、腰から肩まで一度にまとめて。

バレエダンサー・宮尾俊太郎
お尻を突き出すように腰を落として右膝を軽く曲げ、壁に右手をついて肩を開く。腰から脚の裏面まで全体的に伸ばす。逆足の爪先を巻き込んで足の甲も。
PROFILE
バレエダンサー・宮尾俊太郎
宮尾俊太郎(みやお・しゅんたろう)/1984年生まれ。2004年Kバレエ カンパニーに入団し現在プリンシパルとして活躍。2月2日まで渋谷のオーチャードホールにて『白鳥の湖』を上演。

取材・文/門上奈央 撮影/大内香織 ヘア&メイク/佐野健行

初出『Tarzan』No.780・2020年1月23日発売

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