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究極の自体重、体操トレ「マッスルアップ」で無重力なカラダを手に入れろ!

懸垂とのコンビネーション「マッスルアップ」なら、下半身以外の筋肉をまとめて強化できる。自体重トレがひと通りこなせたら、ぜひ挑みたい。

体操選手が持つ均整の取れたカラダと軽い身のこなしを手に入れる。

体操のエッセンスを取り入れた、鉄棒をメインに使うストリートワークアウト「体操トレ」。狙いは、体操選手のような均整の取れたボディとキレキレの身のこなしを手に入れることにある。

指導は、ストリートワークアウトの第一人者である奥村光紀さん。実演は、自体重トレ研究家の富岡貴広さんだ。

体操選手のカラダがキレイなのは、パワー・ウェイト・レシオ(PWR)が高いから。PWRは、体重とパワーの比率。筋力が高いほど大きなパワーが発揮できるが、余計な筋肉がありすぎると動きは悪くなり、体重が増えて体型も崩れる。

体操トレではPWRが整い、無駄のない機能的なアスリートボディに近づける。

今回取り上げるのは「マッスルアップ」。

マッスルアップは、体操トレのシンボル的存在。下の写真だけ見ると一見簡単そうだが、かなり鍛えた人でもなかなかクリアできない難関エクササイズだ。

マッスルアップの動きは、「プルアップ」(懸垂)と「ディップス」のコンビネーションに因数分解できる。プルアップは“クイーン・オブ・エクササイズ”の異名を持ち、ディップスは“上半身のスクワット”とも称される。

マッスルアップ
1. オーバーハンドグリップ(順手)でバーを握り、両脚を揃えてぶら下がる。手幅は肩幅から拳1個ずつ左右に開く。2. カラダを前後にスイングし、膝を軽く引き寄せる反動(キッピング)を用いて懸垂。3. 胸がバーを越えたら、バーに覆いかぶさるように上体を前傾させる。4. 肘を伸ばして完全に起き上がる。

プルアップ、ディップスいずれも、筋肥大と筋力向上に効果的。プルアップでは背中、ディップスでは胸、肩、腕が鍛えられるし、姿勢を保つために体幹の筋力も欠かせない。プルアップとディップスのコンビであるマッスルアップなら、下半身以外の筋肉はまとめて強化できる。

「複数の関節と筋肉の、タイミングのよい連携が求められるので、フィジカルトレーニングの一環として取り入れるアスリートも少なくありません」(奥村さん)

とはいえクリアは難しい。そこで、エクササイズ!

マッスルアップをはじめとする体操トレはいずれも高難度。一度でクリアするのは無理なので、段階的に成功へ導くためのエクササイズ(プログレッション)を、奥村さんに考えてもらった。

プログレッションでは追い込まず、余力を残して2〜4回×2〜3セットで終えるのがコツ。以下の注意点を守りつつ、鉄棒が使える公園などで安全に十分配慮し、慎重かつ大胆にトライしよう。

  • バーに飛びつかず、台に乗ってぶら下がる。
  • 肘の曲げ伸ばしは両手均等に。片側ずつ行うと故障しやすい。
  • 両脚はできるだけ伸ばしておく。
  • バーに飛びつかず、台に乗ってぶら下がる。

プログレッションは以下の7種目。完成するまで精進を重ねたい。

1. ウェイテッド・プルアップ

ウェイテッド・プルアップ
カラダを引き上げる力を強化する。ディッピングベルトなどでウェイトを下げ、順手でバーを握り、顎がバーを越えるまで懸垂を行う。広背筋や肩甲骨まわりの筋肉を鍛える。必ず台に乗って安全にぶら下がること(以下同)。

2. ハイプルアップ

ハイプルアップ
これもカラダを引き上げる力を強化する種目。順手でバーを握ってぶら下がり、カラダを前後に軽く数回スイング。前方から後方へカラダをスイングさせるタイミングで爆発的な力を発揮。胸がバーを越えるまで懸垂を行う。

3. バンドアシスト・マッスルアップ

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レジスタンスバンドで補助しながら正しい動きを覚える。バンドをバーに通して固定して端を両足を揃えて踏む。順手でバーを握り、マッスルアップに挑む。慣れたらバンドの張力を段階的に下げながら行う。

4. ジャンピング・マッスルアップ

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脚力で補助してマッスルアップを行い、高さへの恐怖を克服。立ってぶら下がった際、両膝が十分曲がる高さの台を用意。順手でバーを握って立つ。膝を深く曲げて台を蹴り、マッスルアップ。台の高さを徐々に低くして行う。

5. キッピング・プルアップ

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膝を胸に引き寄せる反動を使ってカラダを引き上げるエクササイズ。順手でバーを握り、両脚を揃えてぶら下がる。カラダを前後にスイングし、前から後ろに振る際に両膝を胸に引き寄せながら、胸がバーを越えるまで懸垂。

6. クローズドグリップ・プルアップ

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カラダを持ち上げた後、肘を返すときに使われる前腕を強化するエクササイズ。両手が触れるまで手幅を狭め、順手でバーを握り、両脚を伸ばしてぶら下がる。顎がバーを越えるまで懸垂を行う。できるだけ反動を使わないこと。

7. トライセプス・エクステンション

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最後に肘を伸ばして上体を引き上げる上腕三頭筋を鍛える。膝の高さのバーを拳1個分の手幅で握り、肘を伸ばし、両脚を伸ばす。カラダを一直線に保ち、脇を締め、肘を曲げて頭をその間に低く下げ、肘を伸ばして戻る。
PROFILE
奥村光紀さん(おくむら・みつのり)
奥村光紀さん(おくむら・みつのり)/アメリカの自体重トレ大会で部門別の優勝経験を持つ。現在はウェイトと自体重を組み合わせてフィジーク競技にも挑戦中。『自体重トレーニング事典』『改訂版 ストリートワークアウト入門』を電子書籍でリリース。
富岡貴広さん(とみおか・たかひろ)
富岡貴広さん(とみおか・たかひろ)/ストリートワークアウト横浜所属。セルフビルドで構築したジムで〈富岡自体重トレ研究所〉主宰。独自の自体重トレスタイルにより“応用の利くカラダ”を追求。自体重トレ基本動作である“懸垂”の普及にも尽力中。

取材・文/井上健二 撮影/小川朋央 スタイリスト/山内省吾 監修/奥村光紀 撮影協力/Pull Up Park Gym(https://pullupparkgym.wixsite.com/mysite)

初出『Tarzan』No.777・2019年11月28日発売

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