懸垂はどうやったら回数をこなせるようになりますか?(30代男性)
読者から寄せられた質問に、『ターザン』が誇る一流トレーナーがズバリ回答! 筋トレ・ボディメイクの悩みには、日本体育大学体育学部准教授にして現役ボディビルダー、「バズーカ岡田」の異名でも知られる岡田隆先生が向き合います。
取材・文/黒田創 イラストレーション/unpis
岡田隆先生
教えてくれた人
おかだ・たかし 日本体育大学体育学部准教授。柔道全日本男子チーム体力強化部門長、理学療法士。「バズーカ岡田」の異名で筋トレなどを各メディアで解説。現役ボディビルダーで2016年日本社会人ボディビル選手権大会優勝。著書多数。
今回の質問
鉄棒などでの懸垂が5~10回くらいしかできません。筋力も足りないしやり方も間違っているのかもしれませんが、どうすれば回数をこなせるようになれるでしょうか。インスタなどで懸垂のあと鉄棒の上まで上がる動画を見て、雲の上の人の様に見ています。(30代男性)
懸垂は、ビルダーでも苦労する
確かにインスタで「#筋トレ」とか「#筋トレ動画」で検索するとカッコいいトレーニング中の動画がたくさん出てきますよね。あなたの憧れる気持ちはよくわかりますし、僕も懸垂をひたすらこなせる人を目の当たりにすると惚れ惚れしますよ。
懸垂は、われわれビルダーにとっても意外と簡単じゃないんです。理由は自分の全体重をまんま負荷にするしかなく、筋トレを行ううえで基本となる漸増抵抗負荷(徐々に負荷を高めていくこと)ができないから。
ベンチプレスだっていきなり最初から100kgを挙げろと言われても無理な話で、40kg、60kgと少しずつ負荷をかけていくもの。懸垂は、いきなりベンチ100kgでやれというのに近いんですよ。だから余程の筋力の持ち主じゃないといきなり何十回もこなすのは難しいんです。
ネガティブチンニングがおすすめです
背中や肩回りなどを鍛えるなら、ジムには必ずあるラットプルマシンを使ってご自身にあった重量を選択した上で、懸垂に近い動きができるラットプルダウンを行うのがいいでしょう。せなか
シートやベンチに座る事で安定した状態になるので狙ったパーツをより意識しながら鍛えられますし、鉄棒にぶら下がって不安定な体を安定させるような余計な負荷がかからない分、回数をしっかりこなすことができます。不安定を安定させるからこそ得られる効果もあります。
ラットプルダウンのやり方
あなたが懸垂を5~10回程度できるのであれば「ネガティブチンニング」もおすすめ。台からジャンプしてバーに飛びつき、あらかじめカラダを持ち上げてバーに引き付けた状態から、5秒程度かけてゆっくり下ろしていくのを繰り返す。
自分で挙げられなくなってから、さらなる追い込みで利用するのもいいでしょう。これは、僕たちビルダーもよくやりますね。長めのゴムバンドで足とバーを縛り、ゴムの張力を使ってカラダを持ち上げても構いません。
懸垂が上手な人は、カラダを持ち上げるコツ(反動のタイミング)を掴んでいますね。だから、見た目が筋肉隆々であればできるというものでもない。筋肉をつけるのが目的であれば、他にもやり方はいろいろありますよ。