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トップアスリートの「超回復メソッド」を知りたくて。世界最高峰のIMGアカデミーを訪ねる

世界的トップアスリートを数多く輩出している全米屈指の巨大スポーツアカデミー、IMGアカデミー。なぜこのアカデミーがそれほどコンスタントに優れたアスリートを育成できるのか。聖地に潜む世界基準の「超回復メソッド」を探る。

そもそも、IMGアカデミーとはどんなところなのか。

世界で最も有名なスポーツマネジメント企業であるIMG(インターナショナル・マネジメント・グループ)。その傘下にあるIMGアカデミーは、ここ日本ではテニスの錦織圭選手を生んだ学校として知られており、またプロスポーツに興味を持つ人なら一度は聞いたことがある名称だろう。

しかし、そのIMGアカデミーが一体どんな場所で、どんな規模の施設を有し、どうアスリートを育成しているのか、その実態を知る人は少ないはず。

ということで今回、『ターザン』では、「そこにはきっと知られざる超回復メソッドが存在するはず!」という思いも込め、アメリカ・フロリダ州へと飛んだ。

フロリダ第3の都市タンパの空港から海沿いの道を車で南下すること約1時間。ブレイデントンという静かな町に到着し、しばらく走ると、まだ公道の途中にもかかわらず「IMG ACADEMY」と記された大きなゲートが現れる。そこからさらに車を走らせ、ようやく入り口に到着。目の前に広がったのは、日本では考えられないほどのスケールの施設だ。

IMGアカデミー
中高の校舎。在籍学生には学業の成績が優秀であることが求められる。

まずはその歴史から紹介しよう。前身はテニスコーチのニック・ボロテリー氏が1978年に開校した〈ニック・ボロテリー・テニスアカデミー〉。

世界初の全寮制テニスクラブであり、当時から有能なテニスプレーヤーを輩出する名門として知られる存在となったが、どうやらニック氏は選手育成に情熱を注ぐ一方で経営やマネジメントには長けていなかったようで、その面をサポートしつつ、氏のテニスアカデミーのメソッドを他競技にも拡大できる可能性を見出したのがニック氏の旧知の友人でIMG創設者のマーク・マコーマック氏だ。

1987年、IMGがアカデミーを買収する形で経営統合を果たし、現在のIMGアカデミーがスタート。93年にゴルフアカデミーを傘下に加え、その後フットボール、サッカー、野球などが追加されていった。

「文武両道」がIMGアカデミーの基本。

施設の話に戻ろう。その広大な敷地内には現在、テニスコートが55面、野球場が9面、サッカー場が16面あるほか、最新鋭のトレーニングセンターやメディカル施設などが完備されており、総面積はざっと東京ドーム50個分。徒歩では1日かけても到底回りきれない広さで、テーマパーク感覚でカートを使って各施設を取材した。

敷地は今も拡張中という。

IMGアカデミー
陸上競技用のフィールドはスタンドが付いたスタジアム仕様。ここで大会なども行われる。

しかしながら、これまでアンドレ・アガシ、マリア・シャラポワ、そして錦織圭といった世界的テニスプレーヤーを筆頭に、プロゴルフ、NFL、NBA、MLBなどにも多くの選手を輩出している事実からも、IMGアカデミーに対して「アスリート養成所」というイメージをお持ちの人も多いだろう。

確かにそういった側面があることに間違いはない。しかし、ここはただプロスポーツ選手を育てるための“虎の穴”というわけではない。実はIMGアカデミーは、スポーツアカデミーである以前に大学進学を視野に入れた中高一貫システムの私立学校。

だから敷地内には当然、スポーツ施設だけでなく校舎があり、学生たちはそこでハイレベルな教育プログラムの一環としてスポーツや栄養学を学んでいるわけだ。入学に際して各スポーツの専門性や技量そのものは問われず、初心者でもOK。むしろ学業の成績が重視されるというのも意外だった。

IMGアカデミー
テニスは全米オープン基準のハードコートやクレーコートが55面。生徒の隣で普通にプロ選手が練習し、錦織選手は現在もここを拠点に。

現在の学生数は約1,300人。世界80か国から集まり、多くは寮で暮らしながら“キャンパスライフ”を送っている。うち日本人留学生は70人。将来のプロスポーツ選手を夢見る生徒もいれば、アメリカの有名大学への進学やフィジカルトレーナーを目指す学生もいるという。

少しずつ、IMGアカデミーの本当の姿が見えてきたのではないだろうか。(下記記事に続きます)

取材・文/徳原海 撮影/田中大海

(初出『Tarzan』No.774・2019年10月10日発売)

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