摂取カロリーの目安を把握しよう。
1日3回の簡単体操で「立ち姿勢」を正す。
冷えや便秘、不眠まで。ありがち不調に効く7つのツボ。
腹筋をまんべんなく刺激「リバースクランチ」。
ダイエッターにおすすめの焼き鳥10本。
痩せたい人に最適な「ミトコンドリアに効く筋トレ」。
「脇腹のボコボコ」を強調する種目。
危険な血糖値スパイク。あなたは大丈夫?
  • 公開:

年齢に負けない体力をつけるためのラン、5つのステップ

加齢によって落ちていく体力を引き止め、引き上げるのがランニングの効果だ。

「体力が落ちる最大の原因は、単なる加齢ではなく活動量が減ったため。カラダは使わないと鈍るのです」と言うのは、フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さん。

「活動量が落ちると体力がダウンし、体力が落ちるとさらに活動量が減るという悪循環に陥ってしまいます。活動量を増やして体力をつけるのに有効なのは、運動。それもストレッチのように低強度のものではなく、ランのようにある程度、強度の高い運動なのです」

ただし、漫然と走るだけでは体力はなかなか上がらないし、達成感に乏しくて日々の習慣にもなりにくい。

そこで青山学院大学陸上競技部の箱根駅伝4連覇を陰で支えたランニングの達人である中野さんに、効率的に体力の向上を図るための鉄板プログラムを作ってもらいました。

ステップ1. きびきびウォーク30分×週5〜6回

息が弾むスピードで歩き、走る準備を整える。

持久力を養うのに最適なのはランだが、効果が高い反面、カラダへのダメージもそれだけ大きい。体力がまだ低いうちに背伸びしていきなり走り始めると、膝や腰などに障害が起こる恐れがある。

走ると体重の2〜3倍の衝撃が下半身の関節に加わるので、太っている人はとくに要注意。ビギナーは焦らず息が弾むスピードで歩き、走る準備を整える。

とはいえ、ノロノロとぼとぼと歩くのはNG。とぼとぼウォークでは体力が向上しにくく、次のステップに踏み出せないのだ。「息が軽く弾むペースを守り、腕を振り、歩幅を広げてきびきび歩いてください」(中野さん)。初心者なら時速にすると5km前後になるだろう。

ちなみにランは距離を物差しにする場合が多いが、歩くときは時間を目安にするのが基本。1回30分をできれば毎日、最低でも週5〜6日は続けたい。

ステップ2. ジョグ&ウォーク60分×週2〜3回

目印を定めて走る時間を少しずつ延ばす。

トレーニングを始めて2〜3週間もすると30分のきびきびウォークがこなせるようになる。だからといって「よっしゃ、走るぞ!」と前のめりになってはいけない。目印を定めて走る時間を少しずつ延ばそう。

歩くのと走るのは別物。走り続けようとすると辛く感じて意欲が下がり、挫折するリスクがある。

歩きからスタートして速度を徐々に上げ、思わず走りたくなったら息が切れないペースでジョグを開始。しんどく感じて歩きたくなったらウォークに切り替え、息が落ち着いて走れるようになったらまたジョグへ。

この調子でウォーク⇒ジョグ⇒ウォーク⇒ジョグ…を繰り返す。「いつでも歩いて休めると思うと気がラクで練習に前向きになる。2つ先の信号まで走ろうとか何か目印を決めると走る時間が少しずつ延ばせます」。週2〜3回、歩く&走るで計60分動き続けることを目指そう。

ステップ3. 30分ジョグ×週2〜3回

ランナーはここから! ステップ2とミックス。

ステップ3でクリアしたいのは、途中で足を止めず、一切歩かないで30分間走り続けること。このステージで息が切れないペースの上限はおそらく時速8km前後だろう。距離にすると4kmだ(ラン経験がある人はこのステップから始めるとよい)。

上記のステップ2でトータル60分間動き続けられるようになったら、正味30分ほどはジョグしているはず。30分ジョグは決して無謀な目標ではないけれど、それでも歩いて休めないと思うと心理的なハードルになる。ならばステップ2⇒3と全面的に切り替えるのではなく、その日のノリと体調に応じて両者を使い分けてみよう。

たとえば週2回ペースでトレーニングするなら、時間がある週末にステップ2の[ウォーク&ジョグ]計60分を1回行い、忙しい平日1回はステップ3の30分フルジョグに挑む。

週3回ペースで走るランナーなら、[ステップ2×2回+ステップ3×1回]から[ステップ2×1回+ステップ3×2回]と段階的にステップ3へ移行していくのだ。どのパターンでも週2〜3回、30分間走り続けられたら卒業。次のステップへGOだ。

走っている人

ステップ4. 10kmラン×週2〜3回

ジョグからランへ。10kmを1時間で走破する。

本格的な持久力アップを狙うなら、10kmは走りたいもの。ジョグからランへ、10kmを1時間で走破しよう。忙しくて時間が取れないなら、朝5km+夜5kmに分けてもOKだ。

まずは週2〜3回のうち最低1回は10km走ると決め、残り1〜2回はステップ3の30分ジョグ。その調子で淡々と練習すると、1か月もしないうちに週2〜3回10km走れるようになるだろう。

「距離を目安にすると早く終えたくなり、自然にペースを上げたくなります。この段階ではそれなりに走力も上がっていますから、10kmを1時間きっかり、つまり時速10kmで走り切ることを狙ってください」。時速10kmはもはやジョグではなく立派なランニングだ。

ランはシンプルな動きの連続だから、1時間も続けると退屈する人もいる。そこで自宅周辺にタイプの違うホームコースを一筆書きコースか周回コースで2〜3本用意。景色がいい、適度なアップダウンがあるといった特色あるコースを気分次第で使い分けると、飽きずに走れる。10kmコースだけでなく、素敵な5kmコースがあると時間に余裕がないときでも思わず走りたくなる。

ステップ5. 10km×週1〜2回+20km×週1回

ペースを落とさず20km走る。レースにも挑戦。

いよいよラストステップ。週2〜3回のトレーニングのうち、1回は20kmランを行うのがミッションだ。距離は延ばしても時速10kmのペースは落とさず、余力があればむしろペースアップを目論もう。

10km走れるようになったら20kmは十分射程圏内。月間走行距離は120〜160km。この練習量なら足腰などに障害を抱えることもなく、持久力がさらに上がって年齢を超越する体力の持ち主に変身できるはず。

20kmを薦める理由がもう一つある。「20km走れるようになると、フルマラソン完走という新たなターゲットが視界に入ります。持久力の引き上げという目に見えない目標だけでは、それ以上の距離を踏むトレーニングは続きにくい。レースという目に見える具体的な目標を持ち、その達成に向かって練習しているプロセスで、知らない間に持久力が高まってくるのが理想です」。

手始めはハーフマラソンからトライ。次にフルが完走できたら、サブ5(5時間以内で完走)⇒サブ4.5(4時間半以内で完走)⇒サブ4(4時間以内で完走)と自己ベスト更新を狙って今後も走り続けよう。

取材・文/井上健二  監修/中野ジェームズ修一(スポーツモチベーション)

(初出『Tarzan』No.735・2018年2月8日発売)

Share
Share