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松田丈志さんも以前から処理済み。男のカラダはツルツルがトレンドです
T・クルーズやC・ロナウドはマンスケーピングも完璧。彼らにここまでされたら皆ツルツルにするしかない!?
鍛えたカラダをふと見ると1本の乳毛…では台なしだ。アスリートを中心にムダ毛処理が浸透中。
グルーミングはパフォーマンスにどう影響するのか。
かつて、マンチェスター・ユナイテッドFCに所属していた頃の香川真司選手がテレビでムダ毛のエピソードを打ち明けて話題になったのをご存じだろうか。チームメイトが皆、脚や腕、アンダーまでツルツルだったのを見た香川選手は感化され、自らのムダ毛をきれいサッパリ剃ったという話である。
このように以前から欧州のアスリートの間ではムダ毛の処理は常識だったが、日本を含めアジア諸国は一歩遅れていた。しかし近年、アスリートはもとより一般トレーニーの間でも剃るのがデフォルトになってきている。
家電メーカーのパナソニックが各分野の現役アスリート104人にグルーミング事情を聞いたところ、実に80%強が体毛のケアを行い、そのことがパフォーマンスやメンタルの向上につながっていると回答した割合は75%にも達したという。

実際のところ、グルーミングはパフォーマンスにどう影響するのか。中学生の頃から体毛を処理してきたという元競泳日本代表の松田丈志さんはこう話す。
「剃る、剃らないでタイムが違うといった客観的データはないですけど、やはり水の抵抗のかかり方を考えると毛があるよりはない方が絶対いいと思います。まず飛び込んだ時の感覚からして全然違っていて、毛があるとどうしても飛び込み時に出る気泡が絡むんですよ。剃った後だとそれがない分、動きもスムーズになる。これは実際の肌感覚として間違いなくありましたね」
松田さんの体毛は薄い方だと言うが、試合前には必ずしっかり剃っていたという。オリンピックの選手村では選手同士、互いに背中の毛を剃り合う光景が繰り広げられるとか。
ムダ毛を剃るメリットはテーピングに現れる。
では、水泳以外の競技でムダ毛を剃る目的はどこにあるのだろう。もちろん見た目は大きいと思うが、もっと実用的な部分も。それがテーピングへの影響だ。
サッカーやラグビーといったコンタクトスポーツでは衝突によるケガが絶えない。当然、テーピングを多用することになるが、それを巻く際に毛があるとないとでは肌への密着度や巻きやすさが全く変わってくるのである。
また、剃ることで試合に向けて気合が入ったり、ゲンかつぎ(毛がない=ケガない)の意味合いも大きいともいわれている。レスリングなど対戦相手とカラダを密着させる競技の場合は、エチケットという側面もあるだろう。

ちなみに、松田さんはどんなふうに処理していましたか?
「基本的にはT字のカミソリですね。毛が濃い人や剛毛の人は、バリカンである程度短くしてからカミソリで剃っていました。ワックスを使うケースも多いし、レーザー脱毛する選手もいます。そういえば自分はタイムを縮めるためにスキンヘッドにしていたこともありますね。昨年『ターザン』で肉体改造の成果を披露しましたけど、あの時もっとしっかり剃っていればより逞しく見えたかも。また機会があればその時は気合を入れて剃ります!」
ハリウッドセレブの脱毛事情は?
一方、海外セレブの間でも体毛のケアはもはや常識。ハリウッドセレブの裏事情に詳しいフリーライター&翻訳者の山縣みどりさんはこう話す。
「彼らの間では“男性が体毛を剃り落とす”を意味するマンスケーピングという呼び名で定着しているようです。その代表格は大御所トム・クルーズ。マンスケーピングがクールなトレンドになるはるか以前から実践していて、完璧主義者らしく常に毛も完璧に仕上がっていないと気が済まないとか。なんでも専属のマンスケーパーがいるという噂も…。
ロビー・ウィリアムズはサロンでワックス脱毛する様子を妻アイダ・フィールドがSNSで公開しました。また世界のスーパースター、クリスティアーノ・ロナウドは見事な肉体美に加えて肌の方もツルツルです」
俳優は役作りで毛が必要なケースも多いため、完全脱毛までは踏み切れない場合もあるが、いずれにせよ気を使っているのは確かなよう。
さあ、あなたの毛はどうする?
教えてくれた人

取材・文/黒田創 撮影/鈴木大喜 イラストレーション/竹田嘉文
(初出『Tarzan』No.768・2019年7月11日発売)