【ストレッチのNG】間違ったやり方をしていると逆効果!
ストレッチにも、やってはいけないNGがいくつもある。すべてくまなく全身やることが重要! 痛いと感じたらすぐやめるようにしている、という人。それNGです…。
取材・文/鈴木一朗 イラストレーション/安ケ平正哉 監修/菅原順二(アランチャ代表)
(初出『Tarzan』No.762・2019年4月4日発売)
目次
1. 「柔軟性は高いほどいい」はNG!
柔軟性が高いということは、関節の可動域が大きいということ。そして、可動域が大きければ、それを動かすために、大きな力が必要になる。つまり、柔らかいことだけが先行してしまうと、筋力が伴わずにケガをしてしまう恐れがある。関節がルーズになりやすく、脱臼などをしてしまったりするのだ。
バレエダンサーや力士は柔軟性に富んでいるが、それに見合った筋肉もついている。だから、あのようなダイナミックな動きができるのだ。ただ柔らかいというだけではダメなのである。
2. 「すべてくまなく、全身やることが重要」はNG!
普段の生活では、自分が使いやすい強い筋肉に無意識に頼る傾向にある。そのため、使われた筋肉は収縮しやすくなり、使われない筋肉は伸びやすい。全身にストレッチを施すと、この伸びた弱い筋肉を、さらに伸ばすことになってしまう。
だから、縮んだ筋肉は伸ばし、弱くなってしまった筋肉はトレーニングで強化して縮めることが大切なのだ。たとえば、なで肩の人の肩こりでは、ストレッチすることで筋肉がさらに伸びて痛みが増すこともある。こんなときは、筋トレがいいのだ。
3. 「伸ばすときに、痛みを感じたらやめる」はNG!
柔軟性を高めたいという人には、ちょっとだけ痛みを伴ったストレッチをしてもらいたい。痛みを感じることは、筋肉が未経験のゾーンに入ったということだからだ。
ただし、すごく痛いと感じるほどやってはいけない。なぜなら、筋肉は強い痛みを感じると、その反応で縮むという性質がある。引き伸ばされて、切れてしまわないための、防御策がしっかりできているのである。
グーッと伸ばして、ジワジワと少し痛みを感じてきたところで、キープするのが正解。さすれば、柔軟性は高まっていく。
4. 「毎朝目覚めてから行い、柔軟性を高めたい」はNG!
起きたときベッドで伸びをする。これは、皆さんやっているだろう。が、こと柔軟性を高める目的で、朝にストレッチをするのは効果的ではない。カラダはまだ起きていないから、敏感に反応してくれないのだ。
人間の生活は自律神経に支配されている。活動するときは交感神経、休むときは副交感神経に、だ。そして、もっとも交感神経が優位になっているのが、昼を過ぎた時間なのである。この時間は血行も良く、筋肉も柔軟になっている。だから、ここが柔軟性を向上させるベストタイムなのだ。
5. 「サウナの中で、伸ばすのは最高!」はNG!
サウナで、グーッと背を反らしたり、カラダをひねっている人をよく見る。でも、あの熱い場所でのストレッチは、絶対にダメ。汗をかいたことで血液の水分は減り、粘度を増しているし、血流を促進しようと心臓は強く脈打っている。そんななかでストレッチしたら、血圧が急上昇して倒れてしまうこともある。
また、腕を肩より上げるような姿勢もよくない。さらに血圧上昇が促される。サウナに入ったら、静かに過ごすのが一番。そのあと休憩場で水を1杯飲み、ストレッチするといい。