【ランニングのNG】健康のために走ったつもりが危険な場合も!?
「サブ4をクリアしたら、次はサブ3.5だ」「10kmくらいなら、水を飲まなくても平気」など、走ることになれてきたランナーが陥りがちな5つのNG。
取材・文/神津文人 イラストレーション/森拓馬 取材協力/牧野仁(マラソン完走請負人)、齊藤邦秀(スポーツウェルネス代表)
(初出『Tarzan』No.762・2019年4月4日発売)
目次
1. 「10kmくらいなら、水を飲まなくても平気」はNG!
ハーフマラソンやフルマラソンのレースでは、距離が長いせいか、緊張感があるからか、ランナーたちの水分補給への意識は高い。だが、普段のトレーニング中となると、水分をこまめに摂取するランナーは少なくなる。ペースや気候によるものの、15〜20分に一度、100ml程度の水分補給を心がけたい。
5〜10kmの距離だと水分補給せずに走り切れるかもしれないが、熱中症や脱水症のリスクは確実に高まるし、パフォーマンスも低下する。体内の水分量が足りていなければ、脂肪燃焼効率だって落ちる。喉が渇いた、と感じてからでは遅いのだ。水分摂取はマメに!
2. 「ペースメーカーに付いていく」はNG!
大きな大会になると、目標タイム別のペースメーカーがいる。サブ4を目指すなら、4時間設定のペースメーカーに張り付いて走るのが、手っ取り早いように思えるが、あまりおすすめではない。
脚力のあるペースメーカーも、スタートからゴールまで完全なイーブンペースで走るわけではない。アップダウン、風、補給のタイミングなどでペースは変わる。無理にペースを合わせようとすると自分のリズムが乱れ、必要以上にスタミナを奪われることになる。35kmを過ぎて、近くにペースメーカーが見えたら、目標達成のためにゴールまで食らいつくぐらいの心算でいよう。
3. 「サブ4をクリアしたから、次はサブ3.5だ」はNG!
サブ4を達成すると、次の目標をサブ3.5に設定するランナーは多い。キリがいいからというのが理由だろうが、サブ4からサブ3.5までには、大きな壁があることを理解している人は少ない。イーブンペースで走ったとして、サブ4はキロ5分41秒、サブ3.5はキロ4分58秒ペース。1kmあたり40秒以上違うのだ。
いきなりそれだけ縮めようと思ったら、練習はオーバーワークになり、シンスプリントなどのランニング障害を起こす可能性が高い。サブ4からサブ3.5までは、5分刻みでベスト更新を目指すぐらいじゃないと、無理があるのだ。
4. 「サングラスや帽子は煩わしいので身につけない」はNG!
できるだけ身軽で走りたいという理由で、サングラスや帽子を身につけない人がいるかもしれない。が、夏に限らず紫外線対策は一年中必須。日差しの強い日に帽子を被らないと、熱中症のリスクは高まるし、髪や肌にもダメージがある。紫外線のダメージは、シミやシワの原因にもなる。
眼球が受けるダメージはもっと深刻だ。急性のものだと、紫外線結膜炎。スキー場や、雪山でなることがある雪目に代表されるもので、結膜の充血、異物感、眼痛が生じる。慢性型の眼病で考えられるのが、進行すると失明に至ることもある白内障。目は、サングラスでしっかり保護したい。
5. 「トレッドミルだけの練習でレースに出る」はNG!
ジムのトレッドミルは、最高の練習環境である。雨、風はなく、花粉も飛んでいない。室温は快適で、夜も安全。そして、ペースは一定に保ちやすい。しかし、トレッドミルでの練習だけで、フルマラソンに挑戦するのは、無謀だ。
アスファルトの上とトレッドミルでは、着地時の衝撃が違う。また、ランニングは、地面からの反力を推進力にするが、トレッドミルの上では、床から足さえ離れれば勝手に前に進めてしまう。ロードを走って脚力を養い、ロードを走り続けるためのフォームを作っておかないと、レース本番でケガをしてしまう可能性が高いのだ。