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知らぬ間に陥る落とし穴。オーバートレの回避とカラダの対処法6つ

知らぬ間に陥るトレーニングの落とし穴、オーバートレーニング症候群。競技者だけの問題ではないから要注意だ! 常に自分のカラダの状態をモニタリング。これがオーバートレ回避の第一歩。名トレーナー・木場克己さんに6つのチェックポイントを訊きました。

1. 痛めやすい腱を守る方法を知ろう

筋肉は末端で腱という部分を介して骨と繫がっています。そして、トレーニングで痛めやすいのが、この腱なのです。これを避けるためには、最初から関節の可動域いっぱいに動かさず、小さい動きから徐々に大きな動きにしていくようにすればよい。

実は腱が少し傷ついたぐらいでは、気づかない人は多いんです。なぜなら、普段は痛まないから。痛んだ部分に何かが当たったり、衝撃を受けるとズキンと痛みます。こんな場合はしばらく休み、様子を見てほしいものです。

2. トレーニングは軽い負荷から始める

軽い負荷でカラダに違和感がないか確かめることがまずは重要です。たとえばベンチプレス。まずは軽い負荷で自分が鍛えたい部位——この場合は胸なんですが——だけに刺激が入っていることを確認します。そして、目標重量の3割、5割、8割と上げていくのです。そして、違和感があった場合は重量を下げるか、終了します。

ランニングでも気持ちよく走れているならいいですが、太腿やふくらはぎが張ってきたというように、通常とは違った感覚があったら、中止しましょう。

3. ルーティンを決めて、トレーニングに入る

トップアスリートの多くは、日常の習慣を維持することを心がけています。何時に起きて食事、何分休んでトレーニングに入る、というように。こうすることで、いつものように運動ができる状態に仕上げられるし、その日の自分の体調の具合も確認できるからです。

一般の人も、いきなり強度の高いトレーニングを始めるのでなく、ある程度ルーティンを決めたほうがいい。そうすれば、鬼トレにも対応できるし、体調によっては運動量を減らせ、オーバートレも防ぐことができます。

4. 安静時の心拍数を運動量の指針にする

人間は疲れてくると血圧や体温が上がります。それを運動量の指針にするといい。まず、運動をしないで3日間、安静時心拍を朝、夕に測ります。その平均を求めたら、トレーニング開始。

運動を始めた翌日、同じように数値を計測し、安静時心拍数が2割以上上がって、体温も上昇傾向にあったら、それはオーバートレの証拠。我慢してやり続けると疲労が蓄積するし、筋肉の回復も遅くなって、トレーニングをする体力も気力も失うから気をつけてください。

5. 食欲が減退したら、オーバートレを疑え

睡眠や栄養はしっかりとれているか。これも注意しておきたいところ。トレーニングを行い、腹が減ったから食事をして、疲れたからぐっすり眠る。これは、非常にいい状態です。

しかし、オーバートレーニング状態だと、体温が上がって食欲が減退し、睡眠がとれなくなったりします。疲労が蓄積されることで、こういう状態になってしまう。だから、眠れない日が続いたり、食欲がなくなったりしたときは、軽めのトレーニングにして、リカバリーの時間を作ることが重要なんです。

6. 毎日ストレッチでカラダの様子を探る

開脚して床に座り、顎の下に手を置いて床につくまで前傾する。いつもはしっかり脚が開くのに今日は開きにくい。そんなときは、内転筋や、骨盤や腰まわりの筋肉が硬くなっていると考えられます。

毎日同じストレッチを行い、関節の可動域や筋肉のツッパリ感、それにカラダの左右差を確かめる。そして、いつもと違う感じがあったら、その場所を入念にストレッチするとか、有酸素運動を行い、筋温を上げてからトレーニングを始める。こうすることでケガの予防ができます。

教えてくれた人

木場克己さん(こば・かつみ)/長友佑都選手をはじめとした、数々のアスリートのトレーナーとして活躍。全国で指導、治療の場を展開。2014年からはスポーツクラブのプログラムアドバイザーにも。

取材・文/鈴木一朗 イラストレーション/安ヶ平正哉 取材協力/木場克己(KOBA式体幹バランストレーニング協会会長)

(初出『Tarzan』No.690・2016年2月25日発売)

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