時差ボケしないハワイ、ニューヨーク、ヨーロッパ旅行のコツ

長距離フライトで旅行者を悩ませる時差ボケも、カラダと向き合って上手に解決しましょう。ハワイ便、ニューヨーク便、そしてヨーロッパ旅行のサンプルとしてパリ便でケーススタディ。新幹線移動での「眠り方」のコツに引き続き、作業療法士の菅原洋平さんに教えていただきました。

取材・文/黒田 創 撮影/大嶋千尋 イラストレーション/安ヶ平正哉 取材協力/菅原洋平(作業療法士、ユークロニア代表)

(初出『Tarzan』No.730・2017年11月9日発売)

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時差ボケは、朝食で調整しよう。

国際線フライト編での眠り方で鍵を握るのが、現地との時差。ハワイは日本よりマイナス19時間、ニューヨークは14時間、パリは8時間となる。

たとえば成田からホノルルへ向かう便は19~22時頃に出発し、現地に朝7~10時頃に着くが、機内から浮かれて飲みまくり、寝るタイミングを失い、ウトウトした頃に到着。寝不足&二日酔いのカラダにハワイの日差しが容赦なく降り注ぐ…。

これ、最悪の時差ボケパターンだ。そんな事態に陥らないためには何をするべきか。

「時差ボケは食事のコントロールである程度防げます。」と言うのは、睡眠改善を中心にコンサルティング事業を行う作業療法士の菅原洋平さん。

「人間の体内時計は、長時間絶食した後の最初の食事、要するに朝食でリセットされ、そこから一日がスタート、と認識されます。つまり、出発の2、3日前から1食だけでも現地時間に合わせて食べるようにする」

「機内にも軽食を持ち込む工夫も考えたい。アンカーミールと呼ばれる方法ですが、これを徹底すれば時差ボケに悩まされることは少なくなるはずです」。

フライトではこう眠れ。目的地別ケーススタディ。

「ホノルル行きのフライトは7時間強で、到着したら朝ですから、その間にどれだけ眠れるかが大事。夕食は搭乗前に済ませ、席についた瞬間からアイマスクなどで眠る態勢を整える。食事サービスなどは一切受ける必要はありません。客室乗務員も、寝ている乗客に対しては食事や軽食を提供しませんからね」

ニューヨーク行きの便ではもう少し工夫が必要になる。

「成田を夜早めに発ち、13時間近くフライトしたら現地は宵の口、という難しいケースですが、できれば出国前に昼寝し、機内では現地時間に合わせて照明が消えようが隣の席の人が眠ろうが自分は眠らないよう心がけましょう。睡眠圧を限界まで高めておき、現地で早めに床につけば翌朝スッキリ起きられますよ」

ちなみに、4日以上の渡航の場合は現地時間に合わせ、4日未満の渡航では帰国後の時差を少なくするべく日本時間に合わせる。このあたりもお忘れなく。

・ハワイ便

ケーススタディ・ハワイ編

これは成田発20時のケース。3日前から18~19時頃に夕食を摂るようにし、その後朝まで絶食するサイクルに。搭乗日は空港で18~19時に夕食を済ませ、機内で席についたら食事サービスは受けずとにかく寝ることに徹する。目覚めた頃にホノルル着。入国手続きの後に朝食を摂れば、普段の生体リズムのままハワイを満喫できる。

・ニューヨーク便

ケーススタディ・ニューヨーク編

3日前から現地時間(日本より-14時間)に合わせ21時に朝食、朝8時に夕食に近いメニューを食べるよう心がけたい。搭乗日はできれば昼寝し、機内では21時前後に食事を摂る。その後は眠気をこらえ、もう1回機内食を摂る。多少の仮眠はOKだ。到着後は夕食を摂りホテルで早めに寝る。これで翌朝からバリバリ動けるぞ。

・パリ便

ケーススタディ・パリ編

3日前から現地時間(日本より-8時間)に合わせて13時に朝食、18時に昼食を食べる。可能ならば24時に夕食メニューも。当日は朝食を控え、機内で13時頃、18時頃に食事。パリ到着の頃は眠いと思うがまだ夕方前。早めに夕食を食べ、21時頃には寝てしまおう。早朝に空腹で目が覚めても、そこで軽く何か食べれば生体リズムが戻る。