「筋肉量が増えると、滞空時間をより長く感じます」|石川祐希・勝負のカラダづくりvol.8
以前公開した記事ではダイナミックかつ美しい跳躍を披露してくれた、バレーボール・石川祐希選手。現在、イタリア・セリエAのチーム〈シエナ〉で活躍する彼は、自分のカラダとどのように向き合い、世界最高峰のリーグで勝負をしているのか。
『Tarzan』本誌の特集テーマをお題に、日々のカラダづくりの裏側に迫るWEB限定連載!
取材・文/石飛カノ 撮影/角戸菜摘
回数を飛んでも、浮いてる、という感覚が続く
『Tarzan』No.760は「体組成」特集。シーズン初めの頃より筋肉量が増えたという石川祐希選手、何かプレイに影響は?
「パフォーマンスは確実に上がったと思います」
おおっ、具体的にはどんなときそれを感じるんでしょう。
「筋肉量だけによるものではないと思いますが、一番は “跳べている”という感覚です。バレーボールは練習も試合もジャンプをたくさんしますが、1回のジャンプが高く跳べている、滞空時間が長く感じる、という感覚と実際のパフォーマンスは何かしらの因果関係があると思います」
なんだか“ゾーン”ぽいですね。赤バットの川上哲治はボールが止まって見えたといいますが、そんな感じなんでしょうか(違うか)。
体組成の変化で他にはどんな影響が?
「動き全体の俊敏性が高まった感覚もあります。例えば、予測しづらいボールが来たとき、体格の大きな選手に比べると、そこにたどり着くまでの動作数は必然的に多くなります。瞬時の状況判断から、動き出してボールを触るまでの動き全体が早くなることで、拾えるボールも増えます。僕の場合は、それも筋肉量の数値と関係しているように思います」
筋肉量が増えて俊敏性が高まれば、自分より体格が勝る選手にも引けをとらない、ということですね!
「あとは、一つのプレーだけでなく、回数をこなしても、1回1回のその感覚が落ちないというのもありますね。バレーボールは試合時間が長く、そして毎週試合があるので、膝や腰などにかかる負荷を筋肉でカバーしてケガの予防にもなったり。僕にとって体組成の変化は、シーズン通して高いパフォーマンスを維持するための指標の一つです」
つまり、石川選手の勇姿をそれだけ多く見られるということ。ファンにとっても嬉しい好影響です!
今シーズンは残り3試合!
「今シーズン、残す試合は3試合になりました。チームの結果は、2勝21敗(3/8現在)で、14チーム中13位と厳しい状況、悔しい結果が続いています。今期は『試合に出続ける』という目標を立てて、自分のコンディション管理や技術の向上に取り組んできました。“大きなケガもなく試合に出続けられていること”や、さまざまなスキルアップ、試合に出続ける中で“チームメイトからの信頼を獲得できたこと”は、少なからず自信に繋がっています」
「だからこそ勝ちたい。強いチームには強い選手がいます。でも、バレーボールは一人の力では勝てません。自分の調子がいい時にこそ、調子の悪い選手をどう助けられるかを考えてプレーして、チームとして勝利をつかみたいです」
「今はシエナでの残りの試合に全力を尽くすことだけを考えています。毎試合、会場に来てくださるファンの方や、日本からご支援をいただいている方々が、またISHIKAWAのプレーを観たい! と思っていただけるように、残りの試合で今しかできないチャレンジを続けていきたいです」
石川選手が所属する〈シエナ〉の残り3試合の日程
3/10(日) | vs モデナ(ホーム) |
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3/16(土) | vs モンツァ(アウェイ) |
3/24(日) | vs ラヴェンナ(ホーム) |
石川祐希
いしかわ・ゆうき/1995年生まれ。小学4年でバレーを始め、2014年に日本代表入りを果たす。同年から世界最高峰リーグの一つであるイタリア・セリエAのチームでプレーし、2018年4月、大学卒業と同時にプロ宣言。今シーズンは同じくセリエAのシエナに所属。
instagram:yuki_ishikawa_official