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ボディビルダーに聞く! 「超回復」表ワザ&裏ワザ

全日本TOP10入りするレジェンドは、定説だけに縛られず、禁じ手にも果敢に挑戦。ビルダーに、エビデンスにかなった超回復の表ワザと、ホンマかいなの裏ワザを聞き出した。参考までに読んでおこう。※本記事はジャガー佐藤さんの個人的見解であり、万人に適した方法とは限りません。

筋肉は、超回復で太くなる

見よ黄金の肉体を! 写真の人物は〈ゴールドジム〉が誇るビルダーにして、同社のサプリメント開発主任、佐藤貴規氏。通称・ジャガー佐藤。彼の筋肉は30代にしてなお堂々たる超回復を続けている。

ご存じの方はすっ飛ばして結構だが、不案内な読者のために念のため、ここで超回復に関しておさらいを少々。下のグラフをどこかで見たことがあるだろうか。

これはトレーニングと筋力の関係を表す概念図。ウェイトトレーニングで追い込むと、筋線維にはミクロレベルの損傷が生じ、筋力は一時的に急降下する。

うまくいけば、こんなふうに成長する。
個人差はあるものの、ウェイトトレーニング後、48~72時間で筋力は以前よりもちょびっとだけ増すと考えられている。当然、次回のトレーニングではその分、高い負荷で行う必要はある。

ウェイトトレーニングは言わずと知れた無酸素運動。そのエネルギー源は主としてカラダに蓄えているグリコーゲンだ。ウェイトトレーニングはこれを絞り切るから終了後は補給が必要になる。傷んだ筋肉の補修には、その材料となるタンパク質も欠かせない。そこで、急ぎ栄養補給を行い、しっかり休息をとる。

すると、筋肉は見る見る力を取り戻し、グラフの線もぐーっと上昇する。トレーニング後、おおよそ48~72時間後にはそれ以前よりパワフルな状態になっているとされる。

そこで再度トレーニングに取り組めば、より高いレベルで行えるし、終了後の回復で筋力はさらに増す。かくして筋肉は太く、たくましく成長し、筋力レベルは高まっていく。これがいわゆる超回復だ。

近年ではこの現象に対して懐疑的な意見も存在するようだが、30代でもちゃんと筋肥大できることは写真から一目瞭然。そのトレーニング強度が高いのは当然だろうが、他に彼はどんな工夫をしているのか?

エビデンスにかなった超回復の表ワザと、ホンマかいなの裏ワザを聞き出した。参考までに読んでおこう。

表ワザ!

〈ゴールドジム〉が誇るビルダーにして、同社のサプリメント開発主任、佐藤貴規氏
ジャガー佐藤さん/1979年生まれ。THINKフィットネスGGPサプリメント開発主任、ボディビルダー。2007~08年東アジア選手権65kg級優勝。12~14年日本クラス別選手権優勝。15年日本選手権5位。以前、坊主頭がジャガイモに似ていたことからこのあだ名になったとか。

1. トレーニング直後にクレアチン。

肝臓で合成され、筋肉に蓄えられるクレアチンは、大きなパワーを要するスポーツで瞬発力の向上に貢献すると考えられている。

「普通、トレーニング前にサプリメントで摂って、パフォーマンス向上を目指しますが、ぼくはトレーニングで消耗してしまったクレアチンを、直後にリカバリーを目的に摂っています。それが次回のトレーニングに向けての超回復につながると思います」。

2. トレーニングできない時は、いい休日だと捉えてます。

社員でもある佐藤さんの日々は多忙。ジム直結の職場にいられれば就業時間外にトレーニングできるが、打ち合わせや会議に取られれば、超回復後のトレーニング再開にベストなタイミングを逃すことも。

「選手だからつい完璧を追ってしまい、計画が狂うとネガティブ思考に陥りがちなんですが、そういうときは腹をくくって、いい休日として前向きに捉えるよう心がけます」。

3. ストレッチはしないです。

ケガ予防や可動域の確保のため、トレーニングの始まりにストレッチを入念に行う人は多い。だが、驚いたことに佐藤さんは「トレーニングの前も真っ最中も、ぼくはストレッチを一切やりません。筋肉の張力が弱くなって、限界まで追い込むのが難しくなるからです」。

ただし、「疲労した筋肉に酸素と栄養を送り込む目的で、帰宅後の休息時だけ、ちょっとやってます」。

4. 理想は半熟卵なんですよ!

アミノ酸スコア100の鶏卵は、廉価でおいしいトレーニングのよき友。当然ながら佐藤さんも「朝は生卵ぶっかけご飯をよく食べますが、生だと吸収率があまりよくないので、理想を言えば半熟か温泉卵。加熱しないとタンパク質の吸収を妨げる成分が失活しないんですよ」

「けれど、固茹でだとタンパク質が変性して、また吸収率は下がってしまいます」と茹で加減にもこだわる。

5. お酒は筋肉を分解する気がするんです…。

「お酒はほぼ飲みませんが、大会の終わる10月ぐらいから年末までのオフだけはいただきます。この時期は来シーズンに向けてカラダを大きくする時期でもあるんです」

なぜ、シーズンには飲まないか? それはアルコールは基本的に薬物であり、カラダにはストレスとなる。その結果として発生するストレスホルモン、コルチゾールには筋タンパクを分解する働きがあるからだ。

裏ワザ!

〈ゴールドジム〉が誇るビルダーにして、同社のサプリメント開発主任、佐藤貴規氏

1. トレーニングは、6日に1回です。

トレーニング後の超回復に48~72時間を要するなら、週2~3回は行える、はず。なのに、佐藤さんは「全身を6分割し、毎日1か所を鍛えますから、同じ部位を再度鍛えるのは6日後。つまり、回復に中5日を見ています」。

一般人とはトレーニングのレベルが違うため、回復にはただならぬ時間を要するようだ。でも、翌日には他の部位も鍛えるから結局トレーニングは毎日です。

2. 野菜は食べません。あ! タマネギだけ食べます。

「料理はほとんどしません。スーパーに並ぶ安い野菜に抗酸化ビタミンは期待しづらいので、何がどれだけ配合されているかはっきりしているサプリメントで摂ります」

唯一レンジでチンし、味付けもせずまるごと食すタマネギは含硫アミノ酸、アリインが筋肥大に関わるテストステロンのレベルを高めるという。「包丁で切ると、アリインが分解されてしまうのでまるごとなんです」。

3. トレーニング後にアイシングはやりません。

トレーニング後は損傷箇所の補修のため免疫関連細胞が駆けつけ、各種発痛物質を生み出すので炎症が起こり、痛む。

そこで、運動後はアイシングを、となるところだが、佐藤さんは「しません。筋肥大には炎症反応も必要です。炎症を起こすためにわざわざトレーニングをするんです。アイシングによる早い回復を選べば、筋肉の成長も抑えてしまうことになると感じています」。

4. ワークアウト後は上白糖30g。

トレーニング終了直後に固形物は摂らない。「筋タンパクの合成を急ぐので、プロテインよりも吸収の速いペプチドと同時に、インスリンの分泌を高めるために単糖も摂ります。ぼくは毎回、上白糖を30g。飲み物と一緒に摂っています」

「シャワーでも浴びて、30分後ぐらいにはおにぎりを食べて、糖のタイムリリースを図ります。ペプチドも30gがぼくの適量ですね」。

5. ヒートショックプロテインで回復を意識しています。

アイシングを避けているのと同様に、筋肉を冷やすことは禁物だと考えている。

「冷やすこと自体が筋肉にいいとは思えません。どうせやるなら温める方がいいでしょう。温めてからトレーニングを行った方が筋肥大は起こりやすいはずですし、傷んだ細胞を修復するタンパク質、ヒートショックプロテインが体内に生じると、回復が早くなります。保温パックを使うのもいいでしょう」。

6. 空腹だと寝起きがいいんです。

「いまのカラダはオフのものだと、必ず書いておいてくださいね」と佐藤さん。そうなのだ、シーズンに入れば食事は激変。減量期には糖質ががくりと減る。

「成長ホルモンは就寝中、血糖値が高いままだと分泌されにくいから、夕食は早めに済ませています。いまは無理をして食べているので、胃腸に負担が大きく、疲れが取れにくいです。減量中で空腹の方が寝起きはすっきりします」。

7. 休養日はアクティブレストもしません。

ウェイトトレーニングで追い込んだ後の休養日には、ウォーキングなどの軽い運動で疲労物質の排出を目指せ。それがアクティブレストの理念だが、「ぼくはしません。有酸素運動でも軽い負荷で体力を発揮してしまうから、回復が遅れると思います」

「血流さえ良くすればいいのだから、ストレッチや整体で血流を促し、補給した栄養を消耗した筋肉に届けることに専念しています」

※本記事はジャガー佐藤さんの個人的見解であり、万人に適した方法とは限りません。

取材・文/廣松正浩 撮影/水野昭子、 取材協力/佐藤貴規(THINKフィットネス)

(初出『Tarzan』No.690・2016年2月25日発売)

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