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“スリップインするだけ™”じゃない!《スケッチャーズ スリップ・インズ》快適学。
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目次
ごく少数であるが、この頭痛になる人がいる。とにかく、ひどい頭痛で15~180分間、のた打ち回るほどの痛み、実に片頭痛を1とすると10ぐらいの痛みが続く。そして、これが3~16週間にわたって群発し、痛みにより毎晩、同時刻に目覚めてしまうこともある。
特徴は必ず顔の左側なら左側、右側なら右側に痛みが出ることで、左が痛んだり、右が痛んだりということは決してない。眼の窪みや眼球まわりに痛みが発生するが、後頭部、下顎、歯にまで広がってしまうこともある。
アルコール、煙草を控えて、さらに規則正しい生活をするのが予防法。だが、実際に頭痛が発生してしまった場合は、医師に頼るのが一番。効果的なイミグランという注射があるのだ。これを使うと10分ほどで痛みを解消できる。
ようやく迎えた休日。ずっと楽しみにしていた趣味の時間がやっと取れる。こう思ったときに、急に頭痛が発生してしまう、とっても気の毒な人がいる。
これは、平日に緊張していた心身が急に弛緩したことで、血管が拡張してしまうことで起きる。また、平日に睡眠不足だったりすると、週末に寝だめしようとして生活のリズムが乱れることも原因のひとつだ。
緊張→弛緩を自分で制御するというのは難しいことなので、まずは生活のリズムを平日、休日ともに変えないように努力してみよう。
リズムが整っていくに従い、自律神経の働きも高まり、頭痛を回避できるようになる可能性は十分あるのだ。第一、睡眠というのは、貯金のように貯められるモノではない。1日だけ多く寝たって、何の得にもならない。
『ターザン』読者のなかにはウェイトを使ったトレーニングを行っている人も多いだろう。ちょっと注意が必要だ。片頭痛についての記事でも記したが、血管を拡張するような行為は頭痛を発生させやすい。
ウェイトリフティングで持ち上げ動作を行ったときには、血圧が上昇する。こめかみの血管が拡張して浮き出るのが、その証拠。だから、トレーニングを継続していくと、頭痛が発生してしまうことがある。
こんなときは、まずこれまでの重量を100%としたら、70~80%の負荷で行うようにする。さらに、軽いウェイトから始めて少しずつ重くしていく。これなら痛みは発生しないはず。これで1~2か月続けてみて、調子がよいと判断したら、元の重さに戻してみる。頭痛が発生しなかったら、そのままやり続ければよい。
コーヒーが大好きという人のなかにも、頭痛持ちはいる。その成分であるカフェインは血管を収縮させる作用がある。ということは、頭痛に効く成分ということになる。
しかし、実はカフェインを常用することで、逆に頭痛の原因となってしまう場合があるのだ。それが離脱症状と呼ばれるもので、ずっと飲み続けていた人がしばらくやめると、体内のカフェインが枯渇して、それがために血管が拡張してしまうのだ。
こうならないためには、カフェインを摂取しすぎないのが一番。人によってその量は変わってくるので一概には言えないが、ひっきりなしにコーヒーを飲むというのはいただけない。現在、自分がたくさん飲んでいると思った人は、少しずつ量を減らしていって、カフェインでの頭痛を予防してほしい。
脳は100%糖質を栄養として働いている。糖質以外は一切受け取らないし、脳関門という場所が、常に異物が入ってこないか見張っているのだ。それほどまでに脳は人間にとって大切なのである、当たり前だけど。
で、カラダの中で血液の中にある糖質、すなわち血糖が少なくなるとどうなるか。供給量が減ってしまうので、需要が賄えなくなる。すると、血流を促して血管を拡張させ、より多くの糖を脳内に取り込もうとするのである。
脳の血管の拡張は、頭痛の大きな一因である。だから、頭痛持ちの人は、ダイエットで極端に食事量を減らしたりしないほうがいい。また、忙しいので朝飯抜きというのもNG。3度の食事を栄養バランスよく摂取するのが一番。まぁ、これは頭痛に限ったことじゃないが。
ヒトのカラダには耐性というものがある。カラダが薬に慣れてしまうために、効果が少なくなってしまうのだ。頭痛薬も同じで、頭が痛いからといって安易に薬に頼ると、頭痛が治りにくくなってしまう。
それにプラスして、薬を使用して効いているときは、痛みは発生しないから、脳の痛みに対しての感受性が鈍ってくる。すると、これまではそれほどでもなかった軽い頭痛でも、より大きな痛みとして感じるようになってしまうのだ。
これを避けるためにできることは、薬の量を抑えることだ。用量以上の薬は絶対に飲まないことにしよう。もし、今すでに薬が効かなくなっている人なら、医師に相談することが重要。ただ、薬から離れるときには、本人の強い自覚が一番大切だということを覚えておこう。
教えてくれた人:
丹羽潔(にわ・きよし)/東京頭痛クリニック理事長。にわファミリークリニック院長。自身も緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛を発症した経験をもとに診察を行う。著書に『めまいを治す63のワザ+α』などがある。
取材・文/鈴木一朗 イラストレーション/林田秀一 取材協力/丹羽潔(東京頭痛クリニック理事長)
(初出『Tarzan』No.703・2017年10月12日発売)