片頭痛が起きたら、まず痛む部分を冷やしてみよう。片頭痛のメカニズムと、予防と対策
今日も頭痛という名の解体工事で激しい音が鳴り響く…。寝込んでしまうこともある、日常生活に支障をきたす偏頭痛の予防と対策。
取材・文/鈴木一朗 イラストレーション/林田秀一 取材協力/丹羽潔(東京頭痛クリニック理事長)
(初出『Tarzan』No.703・2017年10月12日発売)
寝込んでしまうこともある片頭痛
数ある頭痛のなかでも、とくに女性に多いのが片頭痛。男性の約4倍の人が悩まされている。男女合わせると、頭痛持ちの8.4%が片頭痛、あるいはその疑いがあるとされている。
頭の片側、あるいは両側がズキズキと痛むのが代表的な痛みだが、稀に緊張型頭痛のように後頭部に鈍い痛みを感じることもある。また、吐き気を伴うことも大きな特徴。1か月に数回痛みが起きる場合が多いが、なかには年に数回、週に数回という人もいる。
片頭痛の起きるメカニズム
この頭痛、何が困るかといえば、日常生活に支障が出てしまうということ。あるデータでは、頭が痛くなったときにいつも寝込む人が4%、ときどき寝込む、寝込まないが支障大という人まで合わせると、74%にもなるのだ。だから、ぜひ、痛みを軽減する方法を覚えておきたい。
まず、片頭痛の起こるメカニズムから。脳にある視床下部という部分が、何らかの理由により興奮すると、脳内の血管が拡張する。と、血管まわりにある三叉神経に刺激が入り、痛み物質も発生して痛みが生まれる。
また、片頭痛にはある前兆が表れることがある。それが閃輝暗点。いきなり、ギラギラやギザギザの光のようなモノが見え、視界に異常をきたす。さらに、匂いや音に非常に敏感になる人もいる。
片頭痛の予防と対策
では予防と対策を探っていこう。まず、片頭痛の大もとの原因は血管の拡張なのだから、それを促すような行為を避けることが重要だ。たとえば、過度な運動や飲酒、それに入浴は血圧を上げ、それが痛みへと変わってしまう可能性がある。
といっても、日々のなかでは、運動もしたいし、ときには酒も飲みたい。だから、体調が悪くて頭痛が発生しそうだと感じたときには控えるようにしてもらいたい。
また、光、匂い、音に対して敏感になる傾向があるので、サングラスを利用したり、騒音や人混みを避けるようにしよう。さらには、ストレスも原因のひとつとなるので、ストレスフルな生活にならないように環境を整えていきたい。
それでも頭痛が発生してしまったら、痛んでいる場所を冷やして、暗い場所で休むのがいい。たとえばデスクワークで抜けられないのであれば、デスクまわりの照明を落として、音を遮断するためにヘッドフォンでリラックスできる音楽を聴くのも手だ。しからば、痛みは軽減できるはずだ。
片頭痛が起きたら、まず痛む部分を冷やしてみよう
痛みが発生したときは、まず冷やしてみる。といっても、氷枕のように後頭部を冷やしてはいけない。ズキズキと痛む部分に集中して施すこと。すると、拡張していた血管が、元の状態へと戻っていくので、少しずつ痛みが減っていくことが多い。
教えてくれた人:
丹羽潔(にわ・きよし)/東京頭痛クリニック理事長。にわファミリークリニック院長。自身も緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛を発症した経験をもとに診察を行う。著書に『めまいを治す63のワザ+α』などがある。