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タンパク質と、何が同じで、どう違う?ジェーン・スーと〈味の素(株)〉社員が語るアミノ酸のこと。
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植物性タンパク質食品の代表格といえば畑の肉、大豆。でも、肉や魚に比べるとタンパク質のクオリティがやや劣ると長らく考えられてきた。
タンパク質のクオリティの評価基準をアミノ酸スコアという。これは体内では作ることのできない9種類のアミノ酸が基準値を満たしているかどうかという数値。
9種類すべてが基準値を満たしていれば100で、良質なタンパク質ということになり、どれかひとつでも満たされていなければ、低いアミノ酸値の評価となる。
それでいうと、大豆のアミノ酸スコアは1985年まで86だった。必須アミノ酸のメチオニンが基準値を満たしていなかったからだ。
ところが、よくよく調べてみるとこれはラットの実験の結果。体毛の成長には大量のメチオニンが必要で、その必要量を大豆が満たしていなかったという。で、85年から基準値がヒトレベルで見直され、大豆は無事アミノ酸スコア100の優良タンパク源となった。
魚や肉、卵などを一切口にしないヴィーガンが筋肥大を目指すとしたらどうすりゃいいのかという話。
オランダの研究グループがこんな実験を行った。牛乳の乳清由来のホエイ、同じく牛乳の乳液由来のカゼイン、そして小麦由来のウィートプロテインをそれぞれ35gずつ摂ったときの筋合成の比較をしたところ、カゼインの筋合成が最も高く、ホエイとウィートではほとんど差がなかった。
また、60gのウィートプロテインを高齢者に投与したところ、筋合成が有意に上がったという。
欧米では動物性プロテインの量産は環境負荷が高く、自然保護団体から批判を浴びている。それなら小麦などの穀物をプロテインの供給源にしてはどうかという考え方が注目されているとか。
小麦タンパクで筋合成が可能ならば、理屈上、厳格なベジタリアンでも筋肥大はできるということ。ひと安心。
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取材・文/石飛カノ イラストレーション/クレメンス・メッツラー 監修/藤田 潤(立命館大学スポーツ健康科学部)
(初出『Tarzan』No.726・2017年9月14日発売)