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生理前のイライラにはパクチー&ローズマリー! 目的で選ぶ摂りたい栄養素【不安知らずなカラダに!編】

基本的には、十分に元気。でも、さらにもう一段上に行きたい。そんなときはどんな成分を摂るべきか。ケースワーク別に摂りたい栄養素の指針をご紹介! 今回は【不安知らずなカラダに!編】。胸焼けや花粉症、疲労対策や生理前の不調を解消したいというあなたが摂るべき栄養素とは?

サプリは薬ではないから、摂ればこうなると言えないのが建前。ならば何を選べばいいのか。目的別の指針を提供しよう。

サプリはあくまで栄養“補助”食品なのだ。メインではなく、アシスタントだ。つまり、食事を摂ることが大前提であって、食事の代わりになるものではないから、朝飯抜きをフォローしてくれるものではない。というわけで、出社前にいそいそ買い食いをと…。

「店頭に並ぶ持ち帰り食品に何かが欠けているわけではありません。そもそもあそこには何もない、エンプティだと考えてください」

そう語るのは本間龍介医師(スクエアクリニック理事長)だ。大切なのは食事と生活習慣。サプリなど枝葉だと断言する。ジャンクフードにエネルギーはあっても、ビタミン、ミネラルは乏しく、保存料など食品添加物はどっさり。こういうものを解毒するため、体内のビタミン、ミネラルや酵素を消耗するから、栄養泥棒を体内に導き入れるようなもの。

だが、「ビタミン、ミネラルにはあまり機能性はなく、体内で調整能力を発揮するのはむしろファイトケミカルでしょうね」と話すのは岩崎真宏医学博士(日本栄養コンシェルジュ協会代表理事)だ。

「近年、トマトのリコピンが体脂肪の燃焼にいいとか、肝機能にいいとか議論が盛んですが、こういうサプリが注目を集めています」

もちろん、ビタミン、ミネラルも大事だが、ユニークな機能を持つ栄養素に関しても勉強しておきたい。求めるものが何かによって選ぶべき役者は変わる。いま知るべき選択肢の整理を試みた。知れば次にサプリの売り場に出かけたときに、迷うことなく素早く正解に辿り着けるだろう。

1. 胸焼けが嫌だ

摂るべきは……【ビタミンU(キャベジン)、ムコ多糖類】

起床時にもやもや。空腹になるとさらに募る症状。病院に駆け込みたくなるほどではないが、どうにも不快な胸焼けをどうする?

「胃酸の分泌過多ならカフェインとアルコールを控え、ビタミンU(キャベジン)を摂ってください。本当によく効きます!」と岩崎博士。

また、腸内細菌も影響するようだ。

「小腸内に細菌が増えすぎるSIBOという状態になっても胸焼け、胃もたれを生じることがよくあります。呼気ガス検査で分かりますよ」と本間龍介医師は語る。

粘膜の不調も影響するという。

「粘膜を強化するにはぬるぬる成分のムコ多糖類を摂るといいでしょう」と矢澤博士は提言した。

2. 生理前にイライラしたくない

摂るべきは……【ローズマリー、パクチー、マグネシウム】

時期が近づくにつれイライラ、カリカリ。分かってはいるが、つい険悪な気分になるのを避けられないものだろうか?

「生物としては受精を求める時期で、それを待っているためのイライラです。メンタルのマネージメントには食材というより、論文も多く出ているローズマリーなど、ハーブを使うのがいいでしょう。女性に人気のパクチーもよさそうですよ」と岩崎博士は勧める。

この時期は更年期に味方になってくれるイソフラボンもいいが、

「ストレス対策としては、多くの方が不足しているマグネシウムを補充して、リラックスを心がけてください」とは本間龍介医師。

3. 花粉症が辛い!

摂るべきは……【じゃばら、べにふうき、亜鉛、ビタミンD】

多分、人はこれでは死なない。けれど、死にたくなるほど不快だ。季節のたびに繰り返す、この悩みは何とかならないものか?

「免疫力の亢進が問題なので、バランス調整のため和歌山名産の柑橘類、じゃばら(邪を払うの意から)を摂ると特有の成分、ナルニチンが症状を軽減させてくれる可能性があります。お茶として飲まれてきたべにふうきは、成分のエピガロカテン・ガレートが症状を和らげてくれるという報告があります」と矢澤博士。

現代人特有の栄養不足も影を落としているようだ。

「風邪をひきやすい人もそうですが、花粉症の方は圧倒的にビタミンDと亜鉛が不足しています。他のビタミンが必要量を満たしているなら、この2つを底上げするだけで大抵の場合よくなっていますよ」と語るのは本間龍介医師だ。ぜひお試しを。

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4. 便秘を解消したい

摂るべきは……【糖質、脂質、タンパク質、カプサイシン】

腸内環境を整えれば便通がよくなるはずだから、食物繊維や乳酸菌を日々せっせと摂る人は多い。

「既に便秘なのに消化管の上からさらに食物繊維を詰め込んだら、もっと詰まって腸閉塞にもなりかねません」と誤解を正すのは岩崎博士。

きのこ、海藻、こんにゃくや玄米など食物繊維の豊富な食品はとりあえずお休みにして、小腸で吸収し終わる三大栄養素でしばし待つ。

「そうすると、出ます。また、カプサイシンもいいですね。荒療治ですが、辛み成分で一時的に大腸に炎症を起こせば、大腸内の水分量が増えるので恐らく翌日には出ます。食物繊維や乳酸菌を摂って、予防に励むのは開通後がお勧めです」

5. 疲れにくくなりたい

摂るべきは……【BCAA、ロイシン、ショウガ、マルチビタミン、カプサイシン、ナッツ、アボカド、オリーブ、ケルセチン】

事務で疲れてジムに行く。こいつは何だか悪循環だ。

「疲労に強くなりたければ、筋力強化と活性酸素の除去に尽きます」とは矢澤博士の信念だ。

「運動後はアミノ酸、特にBCAAかロイシンでもいいでしょう」

岩崎博士は持久力強化には真っ先にマルチビタミンを推した。

「少なくとも代謝に関わるビタミンB群、酸化を防ぐCとEは摂っておきたいところです。血行を改善するショウガもお勧めですね」

意外なところではカプサイシンもいいという。

「カプサイシンを摂ると、筋肉内のミトコンドリアが生み出すエネルギー量の増えることが分かっています。同様のことはケルセチンでも知られていますよ」

持久系運動では体脂肪を消費するのでナッツ、アボカド、オリーブに果ては動物性の脂肪も摂って、余力を増しておくのもいいだろう。

「ただし、既に体脂肪の余裕がたっぷりの人にはお勧めできませんが」

取材・文/廣松正浩 撮影/小川朋央 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 イラストレーション/越井 隆 取材協力/岩崎真宏(日本栄養コンシェルジュ協会代表理事、医学博士)、本間龍介(スクエアクリニック理事長)、本間良子(スクエアクリニック院長)、矢澤一良(早稲田大学研究院教授、農学博士)

(初出『Tarzan』No.753・2018年11月8日発売)

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