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腹式呼吸と胸式呼吸、どっちがいい? 緊張したときこそ正しい呼吸でリラックス!

普段、何も意識せずにしている呼吸は浅くなりがち。このときに腹はほとんど動員せず、横隔膜も大して動かない。安静なら酸素の必要量も少なめだから、浅い胸式呼吸でも間に合ってしまう。

一方、腹式呼吸はへその下10cmあたりの丹田に力を入れ、腹圧を増減させるから、つられて横隔膜はしっかり機能する。その分、肺は押し広げられて、たっぷりの空気が流れ込む。では、どちらの呼吸法がお勧めなのか?

「どちらでも構わないと思います。呼吸を支える呼吸筋群がしっかり伸縮して、胸郭いっぱいに肺を使えれば、ちゃんと吸えるでしょう」とは呼吸法を研究してきた田中幸夫教授(東京農工大学)。

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胸郭を広くキープすることが深い呼吸につながる。
スマホ、パソコン漬けになると、つい猫背気味になり胸郭を小さくしたまま使うようになる。下の図で表した呼吸筋群を動員して、胸郭を大きく使おう。胸郭が狭まっていたら肺は広がれないから。
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呼吸は体幹を走る呼吸筋群によって操作される。
呼気筋(内肋間筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹直筋、腹横筋)が収縮し肋骨が引き下げられると胸郭が狭まり空気が出る。吸気筋(僧帽筋、斜角筋、胸鎖乳突筋、外肋間筋、横隔膜、脊柱起立筋)が収縮し肋骨が引き上げられると胸郭が開き空気が流れ込む。

ただし、たくさん吸おうと全力で取り組むと過呼吸に陥ったり、疲労や緊張から続けにくくなる。

「7〜8割ぐらいの深呼吸にとどめておけば続けやすいでしょう。これに慣れてくると、普段の呼吸が深くなりますから、緊張した際などに呼吸が浅くなると、その変化を自覚できるようになります」

自分はいま緊張しているなと分かれば、呼吸を操作することで自律神経にアプローチできるから、溜まったストレスも逃がしやすくなる。

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胸式でも腹式でも横隔膜を機能させるのがポイント。
横隔膜は胸腔と腹腔の境界であり、呼吸筋であり、随意筋だ。ドーム状の形をしていて、息を吸うときは収縮し、腹腔の方向に下りるが、吐くときには弛緩して胸腔側に引き上げられる。腹を使う腹式だと、この動きはより大きくなる。

「呼吸法の後は立ったまま、でんでん太鼓の要領で、カラダを左右に軽く回転させる、気功でいうスワイショウをお勧めします。これをやるとカラダがほぐれ、自律神経のバランスを整えやすくなるはずです」

緊急事態に即応できるよう、人は緊張しやすく、弛緩しにくくできている。頭でイメージするだけでリラックスするのは、やってみると難しいから、呼吸と気持ちのいい動きでリラックスへと誘導するのがいい。

取材・文/廣松正浩 イラストレーション/加納徳博 取材協力/田中幸夫(東京農工大学大学院工学研究院先端健康科学部門教授)

(初出『Tarzan』No.752・2018年10月25日発売)

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