ランの「疲れた!」に効く4つの戦略
長く走っていれば疲れも蓄積してしまう。ランニングを続けるうえで避けられない疲労と、どのように付き合っていくべきか悩んでいる人は多いはず。現役ランナーの佐藤悠基さんに聞いた、「疲れた!」に勝つための4つの戦略を日頃からの習慣にしよう。
取材・文/酒井政人 撮影/谷 尚樹 イラストレーション/コルシカ
(初出『Tarzan』No.751・2018年10月11日発売)
1. 運動後の栄養補給が回復のカギ
ランニングをすると、喉が渇く。水分補給も大切だが、リカバリーを考えると適切な栄養補給がポイントになる。まずは運動直後。30分以内の栄養補給がゴールデンタイムだ。速やかに糖質とタンパク質を摂取することで、筋肉の張りが戻りやすくなる。とはいえ、すぐに食事をするのは難しいので、プロテイン、ゼリー、サプリメントなどでスマートに補給するのがベター。そして少し落ち着いたらゆったりと食事に入る。
疲労回復の基本は普段から栄養バランスの良い食事を摂ること。トレーニング量に応じて、食事の量も調整したい。ハードなトレーニングの後は、良質なタンパク質を多めに摂るなど、筋肉にもご褒美をあげよう。
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2. アクティブレストは攻めの回復術
マラソンランナーのトレーニングは超ハードだ。佐藤選手は本格的な練習に入ると、40km走や50km走を行うこともある。そんな日の午後は部屋でグッタリしているかと思いきや、プールなどで軽く運動することが多いという。それがアクティブレスト。
疲れたからとベッドでゴロゴロするのではなく、積極的にカラダを動かすことで、疲労物質や老廃物とオサラバする方法だ。「散歩やサイクリングなんかもいいですね。動くと筋肉の凝りがほぐれるので、リカバリー効果もあります」。完全休養か、アクティブレストか、それとも温冷交代浴か。ココロとカラダで判断しよう。
3. 温冷交代浴で、心身ともにスッキリ
シャワーは汚れが落ちても、疲れは取れにくい。疲労を取るなら湯船にしっかり浸かろう。お風呂好きの佐藤選手がイチオシするのが温冷交代浴だ。
熱めのお風呂(42度ほど)に全身浴で3~5分、水風呂(15~20度)に1~2分。これを3セットほど行う。血管が拡張・収縮を繰り返すため、筋肉の血流量が増加。水圧作用で血流が押し出されることもあり、末梢血管が広がり、疲労物質の除去が促進される。交感神経と副交感神経が交互に刺激されるため、気持ちもスッキリする。自宅で入る場合は、湯船と冷たいシャワーでOKだ。
4. 睡眠は量だけでなく質も重要
疲労を取るには睡眠も非常に大切だ。普段から睡眠時間が不足しないように気をつけて、疲れているときは意図的に睡眠時間を増やそう。
また睡眠の質も大きく影響する。熟睡できる温度・湿度を保ち、自分に合ったベッドや枕を使用したい。大会前日は現地に宿泊する場合もある。枕が変わると眠れない人は、枕の高さや硬さをタオルで調整するといい。緊張して眠れなくても、横になっているだけで疲労は取れることも覚えておこう。
電子機器の画面が放つブルーライトは目が冴えてしまうため、就寝前のスマホは要注意。就寝する1時間ほど前から部屋を暗くすると、自然な眠りに入りやすい。
教えてくれた人
佐藤悠基さん
さとうゆうき/1986年生まれ。日清食品グループに所属する日本長距離界のエース。箱根駅伝で3年連続の区間新記録、日本選手権1万mで4連覇など数々の記録を持つ。現在はマラソンに本格参戦。9月のベルリンでは6位に入った。
※製品情報は掲載当時のものです。