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  • 提供:アメリカ穀物協会

腹持ちよく、持久力のあるスーパーグレイン。「ソルガムきび」で腸からカラダを整える

ソルガムきび

ホワイトソルガムはグルテンフリー。粉はパンやパンケーキなどに使用するとさっくりとした食感の軽い仕上がりに。粒は外皮を取った状態のもの。加熱処理して冷ました後、主食やトッピングにも使いやすい。

カラダと心の健康維持に深く関わる腸内環境。バランスを整える腸活界の次世代スターが「米国産ソルガムきび(ホワイトソルガム)」だ。秘められた栄養パワーに、刮目せよ。

話をうかがった方

福島道広さん

福島道広さん

帯広畜産大学副学長、農学博士

栄養生化学専門。オーストラリアCSIRO文科省在外研究員などを経て、現職。令和2年度、日本栄養・食糧学会学会賞受賞。

河村玲子さん

河村玲子さん

管理栄養士、パーソナルトレーナー

食事、トレーニングの両面から専門的な指導が行える稀有な存在として人気。姿勢改善やボディメイクを中心に質の高い指導に定評あり。

ポイント① 注目のレジスタントスターチ、食物繊維が豊富

今や免疫ケアとしても欠かせない「腸活」。生活習慣病のターゲットになりやすいミドル世代にとって、腸内環境を整えることは最優先課題でもある。

要は腸内の善玉菌を優位な状態に保つこと。アプローチも数ある中で、今、腸活界の新星として注目を浴びているのが、米国産の「ソルガムきび」だ。

ソルガムきびは、世界5大穀物のひとつで、日本では“たかきび”と呼ばれるイネ科の穀物。紀元前から栽培され、南アフリカを原産にインド、中国、アジア各国、米国中南部など広範囲に広がったといわれる。

米国ではスーパーグレイン(驚異の穀物)とも呼ばれ、食物繊維やミネラルが豊富だ。身近な穀物と比較しても、全粒では食物繊維は小麦粉の約3.8倍、鉄分は6倍、またタンパク質においては玄米よりも多い。

栄養成分(100g当たり)
ホワイトソルガム全粒粉 白米

玄米

熱量 349kcal 356kcal 350kcal
タンパク質 8.3g 6.1g 6.8g
脂質 3.2g 0.9g 2.7g
糖質 74.8g 77.1g 73.8g
食物繊維 3.9g 0.5g 3g

ホワイトソルガムは、食物繊維が豊富なのもポイント。玄米や白米と比較すると良質のタンパク質、脂質も多く、表にはないが鉄分も圧倒的に多い。五訂日本食品標準成分表および日本食品成分センター調べ

※日本で流通している米国産ソルガムきびは「ホワイトソルガム」。

さらなる注目ポイントは、小腸で消化・吸収されずに大腸まで届く難消化性でんぷん=レジスタントスターチが含まれること。腸内細菌学を専門とする帯広畜産大学副学長の福島道広先生に聞いた。

「レジスタントスターチは、発酵性糖質で、大腸まで届き、腸内細菌叢の乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌のエサになります。実際に私たちの動物実験で加熱済みのソルガムきびを与えたところ、腸内の善玉菌が増えた結果が出ています。

善玉菌は、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸の産生を高めるので、大腸内pHが酸性になり、大腸のエネルギー源になります。腸のpHが酸性になることで善玉菌が育成しやすい環境になり、悪玉菌を抑制する効果も出てきます」

他にも大腸の細胞を守るムチン量の増加内臓脂肪・体重の減少なども確認されたという。善玉菌に短鎖脂肪酸を作らせることで悪玉菌が増えにくい腸内環境を保ってくれるレジスタントスターチの特性は、腸活において救世主。

そんなレジスタントスターチが豊富に含まれるホワイトソルガムを摂り入れて、カラダの内側からアプローチ、腸を正していこう。

ポイント② 多様なパワーをもたらす短鎖脂肪酸を産生

最近では太りにくいカラダづくりにも深く関係していることがわかってきた短鎖脂肪酸。この短鎖脂肪酸を生み出すのも、ソルガムきびが持つパワーのひとつ

短鎖脂肪酸は、ビフィズス菌などの腸内細菌が、食物繊維やレジスタントスターチをエサとして食べることで作られる代謝物のひとつ。酢酸、プロピオン酸、酪酸などの種類がある。この短鎖脂肪酸がカラダにじつにいい働きをしてくれるのだ。

具体的な働きとして体脂肪の軽減、基礎代謝の向上、悪玉菌の抑制、感染や炎症予防など。

体脂肪の低減のメカニズムは、血流に乗って脂肪細胞に到達した短鎖脂肪酸が、脂肪組織に栄養が取り込まれるのを防ぎ、脂肪の蓄積を抑えることで、体脂肪を減らす働きがあるといわれる

ソルガムきびの細かな粒の中に秘められた優れた力こそ、スーパーグレインと呼ばれる所以だ。

ポイント③ 玄米やキヌアの代わりに手軽に摂取

グルテンフリーでもあるホワイトソルガムは、の2種類。前者はパンやクッキー、後者は主食穀物として、さまざまなメニューに応用が可能だ。

今回、管理栄養士の河村玲子さんが、運動する日常にベストな、超カンタン手軽でおいしいサラダおにぎりを考案。レジスタントスターチを上手に摂る方法を聞いた。

「運動する人は効率の良いタンパク質源として動物性の摂取量が多い傾向があります。ですが摂りすぎは腸内環境を悪化させる原因にも。

レジスタントスターチを含むホワイトソルガムを一緒に摂ることで腸内環境は整いやすくなると思います。茹でた粒は冷ました後、冷凍ストックしておけば調理しやすくて便利です」

ポイントは熱処理した後、必ず冷ますこと。熱を加えるとレジスタントスターチの含有量が下がるが、冷ますことで再びレジスタントスターチの一種である老化でんぷんを上昇させるため一度冷ますのがコツだ。

ソルガムきびパワーサラダ

1人分289kcal タンパク質:19.2g

ソルガムきびパワーサラダ

グリルチキンをサーモンやツナに替えてもおいしい。

【材料(1人分)】 

  • 茹でたホワイトソルガム粒:大さじ2
  • グリルチキン(サラダチキンでも):1/2個
  • ケール:1枚
  • パプリカ:適量
  • リンゴ:1/8個
  • クルミ、クランベリー、シュレッドチーズ、オリーブ:お好みで
  • [A]
    • ギリシャヨーグルト:大さじ2
    • レモン汁:小さじ1
    • 砂糖:小さじ1/2
    • ハーブソルト:少々

【作り方】

  1. 各素材を食べやすい大きさに切る。
  2. 各素材を盛り付けたら[A]のドレッシングでよく和える。あらかじめボウルの中で和えても食べやすい。
焼きホッケソルガムきびおにぎり

1個当たり180kcal タンパク質:11.7g

焼きホッケソルガムきびおにぎり

焼きホッケ以外にチルドの焼きサバや焼き鮭でも可。

材料(1人分)

  • ホワイトソルガムご飯(ホワイトソルガム粒と米を1:3で炊いたもの):220g
  • 焼きホッケ(チルド):1個
  • 大葉(細切り)、炒りゴマ:お好みで

作り方

  1. 焼きホッケはレンジで温め、骨を除く。
  2. すべての材料をボウルに入れ、切り込むように混ぜ、塩(分量外)を手に付けておにぎりにする。

ポイント④ 腹持ちよく、満腹感あり。ダイエットにも

ソルガムきびのさらなるメリットは腹持ちがいいこと。難消化性でんぷんが含まれているのでゆっくりと消化されていくのがポイントだ。

「ソルガムきびは、食物繊維、レジスタントスターチ以外にもタンパク質も含む。その中にはレジスタント・プロテイン(消化しづらいタンパク質)も入っている。

消化が遅いのでカロリーの過剰摂取も防げるし、さらに適量の糖質、タンパク質も摂れて腸活にも効果的と考えられます。そういう意味でもバランスの取れた素材だと思います」(福島先生)

そこに運動というファクターを加えることが重要とも。腹持ちよく持久力があるので、ダイエットやスポーツ時に摂り入れるのもいい。

お詫びと訂正(2023.03.06)

ソルガムきび全粒粉の栄養成分(100gあたり)について誤った記載がございました。お詫びして訂正いたします。

誤:脂質74.8g、糖質8.3g

正:脂質3.2g、糖質74.8g

INFORMATION

アメリカ穀物協会

https://sorghum.jp/

取材・文/牧田ちえみ 撮影/小川朋央 スタイリスト/池田沙織 料理製作/河村玲子 撮影協力/UTUWA

初出『Tarzan』No.851・2023年2月22日発売

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