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脂肪燃焼も筋合成も!? 注目成分「甘草由来グラブリジン」驚きの実力

甘草

食欲の秋、そしてスポーツの秋! 健康的にカラダを動かして、脂肪を燃やし、筋肉を養う、絶好のシーズン到来。気になるのが、ますます旺盛な、我々の秋の食欲である。そこで「甘草由来グラブリジン」。脂肪と筋肉に同時に働く、“助っ人”登場。

桑原弘樹さん

桑原弘樹さん

教えてくれた人

くわばら・ひろき/15年以上にわたりスポーツサプリメントの企画・開発に携わり、競技やプロ・アマの垣根を越えたコンディショニングの共有を目指す〈桑原塾〉を主宰。〈阪神タイガース〉コンディショニングアドバイザーなどを歴任。

脂肪代謝と筋合成。相容れない機能を併せ持つ「甘草由来グラブリジン」

脂肪や筋肉に関する、星の数ほどあるサプリメント。そうしたサプリメントへの感度がとりわけ高いのが、ボディビルダーたちだ。

「私自身もボディビル経験者ですし、仲間や教え子がたくさんいます。そんな私たちが、あるサプリメント素材に対して、ずっと興味を抱き続けてきました」と語るのは、サプリメントに精通する桑原弘樹さん、〈桑原塾〉主宰である。

桑原さんが注目するサプリメント素材が、「甘草由来グラブリジン」。

「“甘草由来グラブリジン”は、脂肪の代謝を促進しつつ、その蓄積も防ぎます。しかも、筋肉を合成する働きも併せ持つという、従来は相容れないとされてきた性質を持っています。注目すべきは、筋合成の研究が、近年、格段に進んできている点です」(桑原さん)

後述するが、「甘草由来グラブリジン」は、運動との組み合わせで、さらにその威力を発揮するという。

甘草と原液

ヨーロッパでは「リコリス」の名称で、ハーブキャンディなどで親しまれている甘草(写真左)。漢方などで用いられる甘草の甘味成分「グリチルリチン」は、血圧の降圧作用などでも知られる。なお、同じく甘草から抽出される「グラブリジン」(写真右)は苦みが強く、降圧作用の報告はない。

日ごろ、桑原さんに寄せられる質問のダントツは「筋肉をつけながら痩せるには?」。「トップレベルのアスリートにも同じ質問をされます(笑)」。

今まで桑原さんは、「無理ではないが、難しい…」と返答してきたという。と、ココでまず、「甘草由来グラブリジン」の機能の話をする前に、従来の定説をおさらいしておこう。

「定説は、時期を分けて2段階で取り組む方法です」

①「脂肪がついても気にせず、筋肉の量を増やす」時期

②「筋肉を犠牲にしてでも、脂肪を落とす」時期

「まず、①の時期であれば、“できるだけ脂肪をつけないテク”を駆使します。②の時期なら“可能な限り筋肉を落とさず、脂肪だけを減らすテク”を使うという具合です」

本来、“筋肉をつけつつ、脂肪を落とす”ことは、どちらかに軸足を置いて取り組むべきことだという。

「相反することを同時にはできない。そんな夢のような話はない。にもかかわらず、“甘草由来グラブリジン”は、正面からこの話に異を唱えているのです」

しかも、脂肪を減らす仕組みと、筋肉をつける働きが、全く異なるというのだ。

脂肪燃焼を促進。さらに脂肪を溜めにくくする機能もある

脂肪や筋肉などカラダの組織は、つねに合成と分解を繰り返している。合成が優位になれば分解は抑えられ、分解が優位になれば合成は抑えられる。

ご存じのように、脂肪も、皮下脂肪などの体脂肪が運動などによって脂肪酸になり、さらに分解されて、最終的には細胞内のミトコンドリアでクエン酸回路に入り、エネルギーとして代謝される。

「“甘草由来グラブリジン”は、脂肪を分解する際に使われる酵素を活性化し、その結果、脂肪燃焼が促進されることが知られています」(桑原さん)

こうした機能を持つ物質は、カフェインやコレウスなどが知られている。しかし「甘草由来グラブリジン」がユニークなのは、寝ている間など脂肪を合成する際に、その酵素の反応が抑えられる点だ。

「つまり、脂肪の燃焼だけでなく、脂肪を溜めにくくする機能もあるのが、凄いし、面白い。しかも、ヒトの実験で証明されているので、信憑性も高い」

桑原さんは、体脂肪を減らす際、一番ハードルが高いのは、分解だと指摘する。

「分解には、重いウェイトを上げるとか、有酸素で走るとか、自分の努力が必要です。しっかり食べているのであれば、何もせずに分解だけを期待することは、本来できないのです」

「甘草由来グラブリジン」は、単にサプリを飲むだけではなく、運動を前提に摂取することで、その機能をより実感できる素材だという。

「ボディビルで言えば、オフ期からトレーニングを本格化させるオンに入った時に、その前までのシーズンの脂肪のつき方と違うことを、多くの選手が実感していますね」

腹部総脂肪量の変化
腹部総脂肪量の変化 グラフ

「甘草由来グラブリジン」を12週間連続して9mg摂取したヒトによる実験結果。内臓脂肪と皮下脂肪ともに減少、腹部の脂肪全体で落ちている。出典/Jpn Pharmacol Ther(薬理と治療)49(3): 427-438.(2021)

筋肉をつけるメカニズムには「糖を取り込む能力」の個人差も影響

「甘草由来グラブリジン」によって筋肉がつく仕組みは、体脂肪を増やすメカニズムとは違うアプローチだという。

「筋肉がつく際は、糖の輸送体である“グルット4”が関与していると考えられます。この仕組みはまだ不明な点が多いのですが、“グルット4”の影響だと、説明しやすくなるのです」(桑原さん)

エネルギー源である糖を、カラダの中にどれほど取り込めるか? この能力は、カラダを大きくするうえで、極めて重要だ。

「私が指導している関西のプロ野球チームにも、いくら食べても太らないという選手が何人もいます。夏場に体重が減って困ると話すほどです」

一般的には、練習量が多すぎるとか、摂取カロリーと消費カロリーのバランスなどと説明されることが多い。

「でも、同じチームなので練習量もさほど変わらず、摂取カロリーが多いケースもあります」

考えられるのは、糖を摂ってからの能力の違いだという。ひとつは、消化と吸収の能力。そもそも、カラダの中に取り込めていない可能性だ。

「もうひとつ考えられるのは、カラダの中に入ってから、筋肉にどれくらい運ばれているか。つまり、糖の輸送体である“グルット4”の働きの問題です」

「グルット4」の働きが強くなれば、食べた栄養がきちんと筋肉に送られる。そして、さらに「甘草由来グラブリジン」には、筋肉を合成するスイッチ=「エムトール」を入れる働きがあることも動物実験で明らかになったという。

「少なくとも、筋トレ派、有酸素派を問わず、トレーニングで脂肪を燃やして、体重をキープし、しかも筋肉をつけるのであれば、“甘草由来グラブリジン”を選ぶことは理にかなっていると言えます」

大腿前部の筋肉量の変化
太腿前部の筋肉量の変化

大学アメフト選手による、2か月間のトレーニングとの併用実験結果(ランダム化プラセボ対照比較試験)。摂取前に比べ、筋肉厚のアップが実証された。出典/NUTRAfoods,15:263-270, (2016)

筋トレ派も、ラン派も注目。“血糖値が下がる”というデータも!

「最近、“甘草由来グラブリジン”が“血糖値を下げる”というヒトでの実験結果も出されました。これは、筋細胞への糖の取り込みにも“甘草由来グラブリジン”が働くことを示唆しています」(桑原さん)

食事によるインスリン分泌で、血糖値が一気に下がることは、確かに問題だ。

しかし、糖が穏やかに筋肉に取り込まれる結果の血糖値の低下なら、かえって血糖値の安定にもつながる。何より、十分なエネルギーが筋肉内に蓄えられ、いつでも使用できる状態になっていると言えよう。

秋は、主要大会を終えた多くのボディビル系の人たちにとって、シーズンの始まり。有酸素のランの人たちも、シーズンの入り口は秋だ。

「私が2〜3シーズン“甘草由来グラブリジン”を摂取して感じたのは、オフの期間、特にお腹まわりの脂肪が気にならないことでした。ベルトまわりの肉感が違います(笑)」

ラン派のメリットは、さらに大きいと桑原さんは語る。

「多くのランナーが、パフォーマンスを上げるため、必要以上に痩せてしまいがちです。でも、自分の適正体重に調整する際は、筋肉を減らさないことが大切なのです」

さらに桑原さんは、ランナーが陥りがちな、走る前の栄養補給の問題を指摘する。

「”空腹で走るのはよくない”と、ブドウ糖や砂糖を使ったモノを食べて走る方がいます。急激なインスリン分泌と“グルット4”のダブルの効果で、すぐパフォーマンスが低下する理由です」

ランナーあるあるだ。

「“甘草由来グラブリジン”を日常使いすることで、筋肉への糖の取り込みを増やし、パフォーマンスを発揮できるのであれば、その力を実感してみるのは大いにありだと思いますよ」

血糖値の変化
血糖値の変化

「甘草由来グラブリジン」9mgを12週間連続摂取した際の血糖値も減少している。出典/Jpn Pharmacol Ther(薬理と治療)49(3): 427-438.(2021)

取材・文/大田原透 イラストレーション/飛永雄大(vision track)

初出『Tarzan』No.841・2022年9月8日発売

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